居酒屋NGの条件をひっくり返して念願の出店
純情商店街やあづま通り商店街など、昭和の面影を残す高円寺駅北口エリアに「たん焼きと小皿」がオープンした。オーナーの粕谷純氏は、山形出身。高校卒業後は大工として働いていたが、飲食店への興味から上京し、高円寺での暮らしを始める。居酒屋「おいしい研究所 伊達」で6年間店長を務めた後、三鷹の焼鳥店「鶏や まると」の立ち上げに参画。10年にわたり店主の右腕として運営全般を担い、実務と経営の両面で経験を積んだ。
独立先に選んだのは、高円寺と南北に隣接する野方。2019年11月、牛タン酒場「野方 たん純」を開業する。当初は牛たんと焼鳥の二枚看板を掲げる予定だったが、開業直前に焼鳥を外し、牛たん専門店として勝負に出た。その決断が功を奏し、地域住民の注目を集める存在となった。コロナ禍では厳しい状況が続いたが、牛たんチャーハンや牛たんとろろ丼などのテイクアウトに挑戦し、利益を確保。コロナの影響が落ち着いた現在では、13坪の店舗で最高月商550万円を記録する繁盛店へと成長している。
「野方 たん純」は売上が堅調に推移し、今年に入って社員を増員。これを機に、2店舗目の展開に向けて動き出した。候補地は、高円寺や中野、そして1店舗目のある野方で、物件の内見を重ねながらタイミングを探っていたという。
そうして出会ったのは、高円寺駅北口から徒歩2分のもつ鍋店跡地。以前から狙っていた理想のエリアだったといい、粕谷氏は「ガード下や南口には安価な酒場が多くにぎやかな一方で、北口は地元住民の暮らしに根ざした店舗が多く、落ち着いた雰囲気がある。それが自身の目指す店の空気感とも重なっていた」と話す。当初、大家からは居酒屋の出店を断られていたが、1店舗目の実績や熱意が認められ、念願の出店が実現した。

高円寺駅北口から徒歩2分、芸術会館通りと高円寺あづま通り商店街に挟まれた、小粋な飲食店が立ち並ぶ一角に立地。落ち着いた木目調のファサードが街並みに馴染み、大きな窓からは店内の活気が通りへとにじみ出る

10.7坪22席の店内は、調理場を囲むL字型カウンターを中心に、テーブル席、スタンディングスペースを配置。1店舗目の経験をもとに最適化した動線と収納はスタッフから好評だという。厨房はドリンク担当が店全体を見渡せる構造で、そこにあえてアルバイトを立たせることで視界の広さが責任感や主体性を促し、業務の楽しさにもつながっている
店舗データ
店名 | たん焼きと小皿 |
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住所 | 東京都杉並区高円寺北2-10-7 ヴィラグリーン 1F B号室 |
アクセス | 高円寺駅北口から徒歩2分 |
電話 | 03-5356-8200 |
営業時間 | 16:00~22:00(LO 料理21:00、ドリンク21:30) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 10.7坪22席 |
客単価 | 5200円 |
オープン日 | 2025年8月17日 |
関連リンク | たん焼きと小皿(Instagram) |
関連リンク | 野方 たん純(記事) |