「俺の」ブランドとの出会いで知った飲食業界の楽しさ
全長1300メートル、東京で一番長いと言われる「戸越銀座商店街」は、メディアにもよく取り上げられ、週末ともなると遠方から訪れる人も多い人気の観光スポットだ。多彩な店がにぎやかに連なる商店街の一角に「イタリアンとフレンチのカゼ」がオープンした。
オーナーの高坂 進氏は、2010年代に一世を風靡した「俺のイタリアン」の立ち上げメンバー。その経歴は異色だ。大学在学中にお笑い芸人としてのキャリアをスタートし、その傍らアルバイトでチーズケーキ販売や居酒屋などで働いた。バイト先で実力を認められ、責任ある仕事を任されるようになると、ライブハウスでお笑いを披露するときの喜びと、飲食業でお客と接するときの喜びとの差があまりなくなってきたことに気づいたという。やがて、その喜びが逆転するようになり、芸能活動を辞め、飲食業に専念すべく、俺の株式会社の前身、バリュークリエイトに入社した。そこで当時、社長を務め、後に「俺の」ブランドを作った坂本孝氏と出会い、氏の薫陶を受けながら同社で活躍するようになる。「その時から今まで、ずっと人生のピークですね。それまではお金を稼ぐことと、やりたいことが別だった。でも飲食業界に入ってからは、好きなことをやってお金がもらえる。それがすごく楽しくて、飲食は自分に合っていると思いました」と当時を振り返り、高坂氏は語る。
2011年、東日本大震災が起こり、飲食業界全体が冷え込んでしまう。その年、坂本氏の発案で高級レストランと立ち飲みという全く異なる業態を掛け合わせ、一流の料理を低価格で楽しめる「俺のイタリアン」が誕生した。そして坂本氏の抜擢で高坂氏が店長に就任。当初1カ月は閑古鳥が鳴くという状態。ただ、参加したミシュラン三ツ星レストラン出身シェフたちは「この内容の料理をこの値段で出しているんだから、絶対、大丈夫」と落ち着き払っていたという。その自信を裏付けるように、口コミサイトで高得点が付くようになると同時に、連日、行列ができる大人気店となった。「安くておいしいというのは永遠だなと思いました。時代が変わっても、おいしいものを安く食べたいという気持ちは変わらないというのが自分の中の信念になったんです」(高坂氏)。

「イタリアンとフレンチのカゼ」という店名を「ダサいでしょ」と言う高坂氏。俺の株式会社、坂本会長の「店名はカッコいいヨコ文字よりダサい方がいい。その方が覚えてもらえる」という言葉を守ってつけた店名だ
店舗データ
店名 | イタリアンとフレンチのカゼ |
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住所 | 東京都品川区戸越3-2-3 |
アクセス | 浅草線「戸越」駅より徒歩2分、池上線「戸越銀座」駅より徒歩4分 |
電話 | 03-4400-9196 |
営業時間 | 火~金:16:00~23:00(L.O. 22:00)、土:12:00~23:00(L.O. 22:00)、日・祝:12:00~22:00(L.O. 21:00) |
定休日 | 月曜 |
坪数客数 | 21坪35席 |
客単価 | 3000円~4000円 |
オープン日 | 2025年5月21日 |
関連リンク | イタリアンとフレンチのカゼ(Instagram) |