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学芸大学に「囲炉裏バル カルボ」がオープン。中目黒「スペイン料理 パブロ」オーナーの独立2店舗目は、”薪や炭火で焼き上げる世界の郷土料理”がコンセプト

2020年1月6日、学芸大学に「囲炉裏バル カルボ」がオープンした。駅から徒歩3分の建物2階に立地。国際パエリアコンクール日本大会で2年連続準優勝、全日本タパスコンクール大会で優勝した経歴を持つ由利拓也氏による、中目黒「スペイン料理 パブロ」に続く2店舗目だ。”薪や炭火で焼き上げる世界の郷土料理”がコンセプトで、スペインをはじめ、イタリア、アルゼンチンなど各国の郷土料理をアレンジした原始焼きが名物だ。

駅から徒歩3分、路地裏に位置するビルの2階。同じビル1階には人気店「大衆酒場レインカラー」が営業する。「視認性は良くなくても駅近ですし、何より料理の腕に自信があったので問題に感じなかった」と由利氏
約15坪29席の店内。食材で彩られたカウンターではお客とスタッフの会話が弾み、店内に活気が生まれる。カウンターのほか、テーブル席もあり、一人客でもグループ客でも入りやすい
名物の「ハーブ香るポルケッタ」はイベリコ豚を使用。ソースのアレンジがフレンチ、イタリアン、スパニッシュと、その時によって違うのも見どころ
自家製レモンチェッロを使った看板ドリンクの「カルボサワー」と「エストレジャードス」。「エストレジャードス」は、フライドポテトにアリオリソース、生ハム、半熟目玉焼きをのせたスペイン料理。全てをしっかりと混ぜ合わせて食べるのがポイントで、ジャンクフードといわれる通りクセになる味だ
左からシェフの根津直樹氏、オーナーの由利拓也氏、スタッフのミッキー氏

(取材=福井 晶)


フレンチビストロを経験後、スペインでは一つ星レストランで修行

オーナーの由利拓也氏は調理師専門学校を卒業後、フレンチビストロに就職し料理人として3年間勤め、店長へ昇格したのちに退職。「もっと幅広く、世界の料理を知りたい」との想いでスペインに渡り、4年間、現地の料理を学んだ。スペインを選んだのは由利氏の直感から。「米料理や魚介料理が豊富で、日本人の肌に合いそうだと思ったんです」(由利氏)。現地ではバルセロナの街場のレストランでカタルーニャ料理を3年間、カタルーニャの山奥サガスでミシュラン一つ星を獲得した自給自足型レストラン「Els Casals(エルス カサレス)」で1年間修行を重ねた。「『Els Casals』はスペイン滞在当初から、働きたいと夢見ていた店でした。オーベルジュもついていて、この店だけのために海外からもお客様が訪れます。牧場や農場を営み、食肉加工、調理までを一貫して行い、食を通じて命を扱う。本当に多くのことを学びました」と同氏。

帰国後は数々のスペイン料理の大会で表彰され、実力を発揮

日本に帰国後は、知人の店で働きながら独立や留学を検討していたところ、飲食店オーナーから声がかかり、スペインバル「バル・ビスカ」のシェフとして3年間勤務。在籍中に国際パエリアコンクール日本大会で2年連続準優勝という輝かしい功績を残した。退職後は「海外だけでなく、日本の食文化や食材にも触れたい」と思い立ち、70日間で47都道府県を訪ねて、現地の食材でパエリアを作る旅に挑戦。その後、中目黒で「スペイン料理 パブロ」を開業し独立を果たした。「友達のたまり場」がコンセプトのカジュアルなバルで、本場のスペイン料理を提供。自慢の腕を振るい、2019年全国タパス大会では優勝の座に輝いた。

物件ありきで生まれた、世界の郷土料理と原始焼きをかけ合わせた囲炉裏バル

「囲炉裏バル カルボ」オープンは、物件との出会いがきっかけだ。「独立から1年経った頃、エリアを定めずになんとなくネットで物件を見ていたら、ここを見つけました。以前から、私やスタッフの経歴を活かし、スペイン料理のカテゴリにとらわれない店をやりたかったこともあり、2店舗目の開業を決めました」と同氏。同時にイタリアンを得意とするシェフの根津直樹氏をはじめ、チームでの店づくりがはじまった。

“囲炉裏バル”という発想は、日本の炉端焼きや原始焼きに世界各国の郷土料理との共通項を見出し、生まれた。「世界から見ても”薪や炭火で焼く”調理法は料理の原点。これまで訪ねた国々でも炭火を使った郷土料理が多く根付いていました。囲炉裏なら省スペースで多数のメニューが展開できるのでは、と閃きました」と話す。また、学芸大学エリアで駅近の物件であれば、若者からファミリーまで幅広い層が取り込めると判断。あえてターゲットを絞らず、一人呑みやディナーなど様々なシーンで利用できる店づくりを目指した。

囲炉裏をエンターテイメントに仕上げるレイアウト

物件は新築。スペインの市場の中にあるバルをイメージし、内装をイチから手がけた。壁は漆喰、カウンターはタイルばり。厨房を囲うようにカウンターを設け、中央には囲炉裏。お客がどこに座っても、調理風景を見て、楽しめるレイアウトだ。カウンター上には魚介や野菜が並び、厨房のいたるところに食材をディスプレイ。「市場のど真ん中に構えるバルは、真横で魚や野菜を売っていて、臨場感がすごいんです。お客様にもそれを感じて欲しくて」と由利氏。メニューを見なくとも食べたいものが注文したくなる市場の感覚を再現した。「囲炉裏や食材を魅せる店のつくりは原始焼き店にも多く、スペインの市場と原始焼き店のいいところどりをした雰囲気の店内に仕上がりました」と話す。

原始焼き、モツ煮、パスタなど、酒飲みにもファミリーにもウケる多彩なメニュー構成

料理の目玉は、なんといっても原始焼きだ。名物の「ハーブ香るポルケッタ」(200g 1200円、250g 1800円、300g 2600円)や、由利氏が「原価は無視」と笑う、オマール海老を半身使用した「オマール海老と魚介の地中海仕立て」(1200円)、「国産牛の炭火焼ハンバーグ 赤ワインソース 200g」(1200円)など、8品を用意。また、「スペイン料理 パブロ」でも人気のスペインのジャンクフード「エストレジャードス」(700円)や、由利氏が全国タパス選手権で優勝した料理、中東でポピュラーなカダイフで白身魚を巻いた「鮮魚のパリパリ包み揚げ マッシュルームソース 2P」(700円)など、サブを固めるメニューも多国籍で主役級の一品料理が揃う。加えて、半熟卵ののった「カルボのポテトサラダ」(450円)、「イタリアン塩モツ煮」(480円)など、酒飲みに対応するおつまみは30品以上。契約農園の野菜を使用の「契約農園のバーニャカウダ」(980円)、「焼きロメインレタスのシーザーサラダ」(850円)、「ブラータチーズとトマトのサラダ」(950円)まである。パスタや丼ものも揃え、由利氏が現地で習得した「本場バスクチーズケーキ」(450円)などのデザートもぬかりがない。

メニューの構成、開発は時間をかけて練り上げたもので、「トリュフ入り焼き餃子」はラビオリとも呼べるが、キャッチーさを考えて餃子と命名するなど細部までこだわったという。「ジャンルは多岐にわたり、メニュー数も多くなったが、スタッフの力量を信じてメニュー数を絞るのをやめた」と由利氏。

ドリンクメニューは「生ビール カールスバーグ」(大900円、中500円、小300円)や「角ハイボール」(大750円、中400円)などの定番ドリンクを揃えつつ、サワーとワインカクテルの種類を豊富にラインナップ。サワーは自家製レモンチェッロ使用の「カルボサワー」(650円)、フルーツのコンポートのピューレと白ワインをトニックで割った「本日のまんまサワー」をはじめとする12種類。ワインカクテルは「サングリア 赤白」(480円)や「カリモーチョ」(480円)など7種類を全て480円で提供する。ワインは「ワイングラス 赤白泡」は各600円、ボトルは約20種類を全て3500円で揃える。ワインのセレクトは由利氏が担当し、イタリア、フランス、スペイン、オーストラリアなどの産地のものを中心に仕入れる。最近は、お客の要望に応えてナチュールも用意しているという。

店舗展開を目的とせず、強いチーム作りに注力

現在の客単価は4000円ほど。狙い通り、サク飲み目的からファミリー客まで幅広い層の近隣住民が訪れ、満席になることも珍しくない。「このエリアのお客様は飲み慣れている方が多く、いろんなご要望をいただきます。今後もメニューをブラッシュアップしていきたい」と同氏。また、開店時間は周辺エリアに少ない15時に設定しているため、昼飲みも少しずつ浸透させていきたい考えだ。

同氏は今後の積極的な店舗展開は予定しておらず、店舗スタッフの”強いチーム作り”をミッションに掲げる。「基本的に2店舗とも店舗展開を想定した業態づくりはしていません。これからも志のある仲間を増やし、チームでステップアップしていきたいと考えています。今回もそうでしたが、その上で何かやってみたいとなったタイミングが、新たな店を作るときです」と話した。

店舗データ

店名 囲炉裏バル カルボ
住所 東京都目黒区鷹番3-7-13 ホワイトウエル鷹番 2F

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アクセス 学芸大学駅から徒歩3分
電話 03-6303-2236
営業時間 15:00~24:00(フードL.O.23:00 ドリンクL.O.23:30)
定休日 月曜日
坪数客数 約15坪29席
客単価 4000円
オープン日 2020年1月6日
関連リンク 囲炉裏バル カルボ (FB)
関連リンク 囲炉裏バル カルボ (Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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