上海で年商20億円を達成するも売却。60歳までの次なる15年は日本で新たな挑戦
オーナーの島原慶将氏が中国・上海に渡ったのは2004年。それまではサラリーマンとして生活していたものの勤めていた会社の倒産により無職に。しばらく「フラフラしていた」というが30歳を目前に一念発起。父がまぐろ漁師だったことや、現地ではまぐろが高級品として認知されていたこと、当時中国は万博やオリンピックを控え、景気の見通しがよいことなどから、中国でまぐろを扱う飲食店の事業に挑戦することに決めた。単身で上海に渡り、上海天家飲食管理有限公司を創業。まぐろ専門店「天家」を最盛期で直営14店舗、FC3店舗展開し、年商は20億円を突破するまでに成長させた。
順風満帆のように見えた島原氏だが、2018年夏、中国での事業を売却し帰国。その理由について聞くと、さまざまな要因があるとしつつも「単純に、疲れてしまって」という返答。「30歳のときに中国に渡った私も今年で45歳。これからの人生を考え、60歳までの次の15年は日本で新たに飲食店をやりたいとの考えに至りました」と島原氏は話す。
心機一転、日本で新たにビジネスを始めるべく準備を進め、日本1号店として神保町にオープンしたのが「鮪のシマハラ」だ。
刺身から寿司、焼きしゃぶまで、まぐろを多彩なバリエーションで楽しませる
「鮪のシマハラ」のメニューは中国の時と同様にマグロ尽くし。中国では現地の人に合わせてアレンジした和食、“日式料理”を提供してきたが、同店では日本では日本人に好まれる、日本の居酒屋的メニューを揃えた。
イチオシは「『シマハラ』のマグロ刺身全部盛り」(1人前880円、2人前から注文可)。島原氏の目利きで選んだ、天然本マグロと畜養インドマグロのそれぞれ大トロ、中トロ、赤身の計6切を贅沢に盛り合わせ、破格で提供する一品。その他「マグロざんまい寿司(6貫+細巻き)」(1800円)や、薄くカットした大トロをさっと炙る「大トロ焼きしゃぶ」(1100円)、赤身とアボカドをわさびマヨネーズで和えてワインに合う「マグロのタルタル 山盛りのっけパン」(780円)など、多彩なバリ―ションのまぐろ料理を13品用意。さらに「茹でたて枝豆」(550円)、「冷え冷えトマト」(400円)などのサイドメニューも23品と充実する。
ドリンクはビール(480円~)、ハイボール・チューハイ(450円~)、焼酎(500円~)を揃える他、島原氏の故郷・高知県の地酒が「土佐鶴 本醸造」(550円)、「四万十川 吟醸純米」(600円)など6品と充実。ワインはまぐろとのペアリングを考慮し、スペインのオーガニックにこだわる作り手「CASA ROJO(カサ・ロホ)」の泡・白・ロゼを用意し、グラス600円~、ボトル3500円~で提供する。
多店舗化を睨み、業態力を高めて低投資で開業
神保町の同物件は、「イカセンター」の居抜き。元の作りを生かし、ほとんど造作をせずに開業投資額を抑え、2000万円でオープンさせることに成功した。「お金をかけない店づくりもモットーのひとつ。店がまえよりも、商品さえ美味しかったらお客様が来てくれる、今はそういう時代になりつつあるのではないかと思います」と島原氏は話す。
「立地はコンセプトに合う場所ならどこでもよかった」と島原氏。同店は駅から徒歩3分ほどの利便な場所だが、それは狙ったものではなく当初はもっと駅から離れた場所も視野に入れていたという。「多店舗展開を視野に入れているため、立地の力で集客するのではなく、店の力で集客したかった。高い家賃を払って繁華街に出すのではなく、駅から多少離れていてもわざわざ訪ねてもらえる強い業態を作ることが、多店舗化には必須だと考えたからです」と話す。
「5年後に年商30億円」を掲げ、仲間とともに邁進
「この店が軌道に乗れば、年内にあと2店舗を出店したい」と島原氏。さらには「5年後に年商30億円」という大きな目標を掲げる。「この目標を達成するのは容易ではないのはわかっています。ですが、この年齢からわざわざ新しいことをやるからには、相応の覚悟が必要。正直、飲食業は儲かる業種でない。そんな業種で、加えて人手不足の今の世の中、それでも私のもとに集まってくれた仲間に対する責務でもある。成功を皆で分かち合いたい」と島原氏は話す。
店舗データ
店名 | 鮪のシマハラ |
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住所 | 東京都千代田区神田小川町3-16 鈴木ビル1F |
アクセス | 神保町駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6811-0948 |
営業時間 | 17:00~23:00(LO22:30) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 25坪64席 |
客単価 | 5000円 |
運営会社 | 株式会社鮪のシマハラ |
オープン日 | 2019年6月5日 |
関連リンク | 鮪のシマハラ(FB) |
関連リンク | 島原慶将氏 note |