中学生時代からの友人をシェフに迎え、共同運営
代表の蟻塚氏は飲食業界未経験。昨年までは人材派遣業のサラリーマンだった。「今から12年ほど前、24、25歳あたりから、いつかみんなが集まれるような場所を作りたいと思っていました。飲食店をやりたいと思ったのは、東日本大震災のあと、東北の復興支援へ行き、現地の食材に出会ったのが大きかった」と同氏。東京では出回っていない野菜や魚貝類を食べ、その味に感動。東京でも東北の食材が食べられるような店を作りたいと感じたという。
その後、地元である中野周辺の再開発が始まった。変わりゆく中野の姿を見るなかで、自分も地域を盛り上げる一端を担いたいという想いも加わり、ほとんど使用していなかった自宅1階を改装し、飲食店を開業することを決意した。
蟻塚氏とシェフの岸田氏は中学時代の同級生で同じバスケ部仲間。長年、友人として付き合い「一緒に店を持ちたい」と話していたが、タイミングが合わずお互い別の道を歩んでいた。今回の開業に伴い蟻塚氏が岸田氏に声をかけ、念願の共同運営となった。
路地裏立地での集客フックにスパイス料理を採用、押上の「SPICE Cafe」で修業
店の主軸であるスパイス料理は岸田氏のアイデア。同氏はグローバルダイニングをはじめ様々な飲食店でホールやキッチンの経験を長年にわたり積んできた。店の計画段階で、路地裏の人目につきにくい立地でも集客を狙えるコンセプトを検討。岸田氏が「スパイスは人を惹きつける力がある」と提案したところ、「居酒屋の多い中野で、新しく面白い試みができそう」(蟻塚氏)と意見が一致。この後、岸田氏は押上の人気スパイス料理店「SPICE Cafe」で半年ほど修行した。
店舗は祖父の代から受け継いだ2階建て家屋で、築60年。内装の壁や梁は地元の仲間の協力を仰ぎ、1週間かけて塗った。ゆったりした席配置など「SPICE Cafe」をお手本にしつつ、建物の持つ味を生かして空間を作っていった。1階を10名程度のスタンディングスペースとテーブル17席のフロアにゾーニングし、立ち飲みでちょっと1杯の軽い利用から着席でしっかりと食事を楽しむまで、幅広いニーズを吸収する作りにした。将来的には2階部分も客席にする予定だ。
ひとひねりしたスパイス料理とナチュールワインが主軸
フードは「フェンネルとミント香るズッキーニ」や「カスリメティとカラスミ香るしいたけロースト」をはじめ全8種類から選べる「spice&前菜盛り合わせ」(3種 750円、4種 950円、5種 1200円)、「タコのハーブオイルマリネとかぶ」(800円)などのスパイス料理が並ぶ。スパイスの香りが素材の持ち味と調和する、やさしい味わいが特徴だ。スパイス料理店らしく「グリルと野菜とチキン(ライス付き)」(1400円)、「ポークビンダルー (ライス付き」(1000円)などのカレーも自慢。今後は東北の食材も取り入れていきたいという。ドリンクはナチュールワインを中心にスパイス料理に合うものをラインナップし、赤、白、ロゼ、スパークリングなど常時10種類。グラスで500円から提供する。
同店はオープンから1ヶ月足らずながら、満席となる日も多い。客層は年齢層も幅広く、60代の近隣住民も訪れる。今後について蟻塚氏は、「まず店を繁盛させるのが第一目標。中野の外からもお客さん来てくれる店を目指しています」と語る。対して岸田氏は「シェフとしてこの店を通じて、スパイス料理を広げたい」と想いを述べた。2人に共通する「面白いことがしたい」精神は、中野を盛り上げてくれるだろう。
店舗データ
店名 | roji spice & _____(ロジスパイス&アンダーバー) |
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住所 | 東京都中野区中野3-35-1 |
アクセス | 中野駅から徒歩2分 |
電話 | 03-6454-1703 |
営業時間 | 18:00~24:00 |
定休日 | 日曜日 |
坪数客数 | 19坪 スタンディング10人、テーブル17席 |
客単価 | スタンディング 3000円、テーブル 4500円 |
オープン日 | 2019年3月20日 |
関連リンク | roji spice & _____(Instagram) |