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二子玉川のクラフトビールづくりをはじめて4年。街のコミュニティづくりを軸にした「ふたこビール醸造所」が念願のオープン

二子玉川駅から徒歩5分。ガラス扉で中の様子が伺える
20坪30席の店内。席間はゆったりしていて、子ども連れも歓迎
左から、「フタコエール」、「フタコエール026」(各Regular 680円、Large 980円)、「コーヒービール」(Regular 780円、Large 1080円)。グラスもオリジナル
手前から、バケットに塗るおつまみ「2種盛り合わせ」(780円)、大人味のフライドポテト「塩ガーリック」(580円)、「ジューシーな鶏の唐あげ ニンニク醤油味」(680円)
真ん中がふたこ麦麦公社 代表の市原尚子氏。両脇はスタッフ

(取材=福井 晶)


二子玉川駅徒歩5分、駅近くの裏路地に様々なショップが立ち並ぶコンセプトエリア“柳小路”がある。運営は玉川高島屋S・Cも手がける東神開発。エリア内で北角、西角、東角、錦町、仲角、まるうめ、といった商業施設を運営し、11月30日に南角がオープンした。
南角2階に同日オープンした「ふたこビール醸造所」は、近隣住民にとって待望の店。運営はふたこ麦麦公社(東京都世田谷区)、代表の市原尚子氏だ。同氏は二子玉川のクラフトビール実現のため未経験でビール造りに臨み、ふたこビールというブランドを誕生させた発起人。起業当初から目指していた店舗化を4年越しに叶え、“街のコミュニティ”となるブリューパブに成長させるべく、店づくりに奮闘している。

地域のプレゼン大会からはじまったビールブランド

「ふたこビール醸造所」の開業は、代表の市原氏と副代表の小林氏が、二人三脚でふたこ麦麦公社(東京都世田谷区)を設立したことにはじまる。起業のきっかけは「二子玉川を自分たちの夢を叶える街にしよう」という声で始まった地域のプレゼン大会。「副代表の小林が何かプレゼンしてほしいと依頼されてしまったんです。どうしよう…と頭をひねっていたら、『二子玉川にはビールとゆるキャラがないね』という話になって。そこから発展して、”街のクラフトビールづくり”をテーマに発表しました。その時は実現するなんて思ってもいませんでした」思いがけずその内容が評価され企画を進めることとなり、会社員として働きながら、休日は“クラフトビールづくり”のために醸造所やブリューパブをリサーチする日々が始まった。各地を訪ねる中で、多くの出会いが生まれ、“ブリューパブ文化”や人を繋いでくれるビールの魅力を実感。同氏の目指す“コミュニティづくり”にリンクし、大きなモチベーションにつながったという。

4年越しの店舗開業

2015年2月、研究の末、ふたこ麦麦公社を設立するも、店舗開業までの道のりは険しかった。ビールの醸造は遠方の醸造所の場所を借りスタートしたが、店舗の物件探しが難航。当初は立ち飲みを想定して10坪ほどの物件を希望していたが、決まりかけては断念の繰り返しだったという。4年がかりで、柳小路 南角の物件に出会い、予定より規模は大きかったものの、“これまでにない、地域に根ざした”施設全体のコンセプトに賛同。開業を決めた。

念願が叶った醸造スペースのある店舗

店内は、20坪30席。物件確定後も内装や機材の運び込みに苦労したという。その奮闘ぶりは同氏が「自分が大家だったら、絶対に貸したくない」と語るほどだが、周囲の助けもあり、イメージ通りあたたかみのある店舗が完成。2019年春からは厨房内、約4坪の醸造スペースでビールの醸造が始まる。
醸造タンクは200ℓが3本。醸造したものは店舗での消費がメインだが、飲食店にも卸す予定だ。「小さいロットなので定番に加えて、お客様のこんなビールを飲んでみたいという要望を取り入れていきたいです」と、市原氏らしい想いをのぞかせた。

ふたこビールをメインに据え、ソフトドリンクにもこだわりを

店内に7タップあるうち、4タップは自社ブランドの“ふたこビール”をラインアップ。人気の「フタコエール」や「フタコエール026」(各Regular 680円、Regular 980円)をはじめ定番4種類とシーズナリーで入れ替える限定1種類の中から選定している。残りの3タップは、地域のクラフトコラボとして、近隣の焙煎所「WOOD BERRY COFFE ROASTERS」のセレクトしたコーヒー豆を漬けこんだ「コーヒービール」、同じ豆を使用した「ナイトロコーヒー」、全国各地のビールを月替わりで提供する「旅するビール」だ。「旅するビール」は、その月に取り扱った醸造所に次月扱う醸造所を紹介してもらうリレー形式だ。また、アルコール以外にコーヒーや麦茶などにもこだわり、お酒を飲めない人へのアプローチも忘れない。

フードはビールに合うものを揃えながら、地域の食材を使ったメニューも配した。二子玉川の老舗の品を使用した「須田豆腐店のお豆腐の『肉豆腐』」(780円)、世田谷の香取農園の朝どれ野菜を使ったおつまみなど、地産地消を意識。全体のラインナップは、今後客の反応をみてブラッシュアップしていく予定だ。

地域のコミュニティづくりを目指したコミュニケーション

コンセプト通り、客層は近隣住民を中心に老若男女が入り混じる。ファミリーでの来店も多く、子どもも馴染む空気感だ。「スタッフも赤ちゃん連れで働いていたりしますし、自然と多様性を広く認められるお店になりました」と市原氏。また、店舗でのコミュニケーションにとどまらず、ベランダで作ったホップでビールを作る「世田谷ホッププロジェクト」や、お酒が飲めない人でも参加できる「麦茶プロジェクト」など、様々な活動を通してコミュニティづくりに努めている。

今後の展開について尋ねると、「まだまだ営業するので精一杯」と答えつつ、目を輝かせながら次から次へとアイデアを語ってくれた。来年からはコミュニティづくりの一環として、コーヒーの焙煎教室、荷物の預かりシステムを兼ねたランニングチームの結成や、キッチンカーでたこ焼きとビールを気ままに提供したい、と夢が溢れた。「みんなのやりたいことが叶うようなスペースにしたい」夢を叶えてきた彼女から、希望の連鎖が生まれる予感だ。

店舗データ

店名 ふたこビール醸造所
住所 東京都世田谷区玉川3-13-7 柳小路南角 2F

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アクセス 二子玉川駅から徒歩5分
電話 03-6411-7125
営業時間 11:30〜23:00(L.O 22:30)
定休日 無休(年末年始などを除く)
坪数客数 20坪30席
客単価 3000円
運営会社 株式会社 ふたこ麦麦公社
オープン日 2018年11月30日
関連リンク ふたこビール(HP)
関連リンク ふたこビール醸造所(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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