「店を出すのは府中・調布エリアのみ」というドミナント方式で拡大する、ばさら厨房(東京都府中市、代表取締役 横川尚行氏)の新店が11月1日、府中駅徒歩3分の場所にオープンした。府中市内では同社が展開する3店舗目(ほか、調布市にも1店あり)で、既存の「和酒厨房ばさら」とはコンセプトを変えた、新業態店である。
元「スーパーの鮮魚担当」から海鮮居酒屋を出店
代表の横川氏は大学卒業後、新卒で大手スーパーマーケット企業に就職。鮮魚売り場の担当社員として5年間みっちり魚修業を積んだのち、飲食店での勤務も経て2006年、自身の30歳の誕生日に海鮮居酒屋「和酒厨房ばさら 府中本店」を開業した。「閉めた店も含め、失敗は数多くしてきた」と話しつつも、その4年後の2010年に2店舗目の調布店、2014年には新業態で、なおかつ府中市内初のオイスターバーとなった「牡蠣BASARA」を出店。順調に拡大を続けている。そして今年11月にオープンしたのが、今回の「大衆BASARA ごっちゃん」(以下「ごっちゃん」)だ。
「いままでよりも、もっとお客さんとスタッフが近い店、来店時に顔を見て『ああ、どうも!』とすぐ声をかけられる店を作りたくなったのです」(横川氏)との言葉通り、「ごっちゃん」のコンセプトは「気軽にいつでも、ふらりと飲みに来られる店」だ。コの字カウンターに同社初の「立ち飲みスペース」も一部設け、メニューは「もつ煮込み」(380円)、「肉豆腐」(480円)、「じゃがいも」100 円、「串カツ」各種(レンコン、ニンニク、玉ねぎ、ししとう、なすび、いずれも100円)に、ドリンクはハイボール、サワー、ビール、焼酎、ホッピーなど大衆的で親しみやすい商品が並ぶ。
「ドミナントならではの利点」を実感
開業前は「もっと若い客層を見込んでいた」そうだが、府中市内に立ち飲み店も串カツ専門店もなかったからか、予想に反してシニアの男性客も多く訪れているそうで、年齢問わず地元客に愛される店になっている。
また、同社の展開する「牡蠣BASARA」が徒歩1分の超近距離にあるため、「牡蠣〜」が満席の際は「ごっちゃん」で席を提供し、スタッフが「牡蠣〜」から商品を運んでお客にはCODで支払ってもらう(=1席で2店分の売り上げが立つ)といった、ドミナントならではの利点も早々に実感しているという。
お客との距離が近いと、スタッフの満足度も上がる
横川氏の経営の根幹となっているのは、「人(店のスタッフ)の力」だ。そもそも、店名の「ごっちゃん」も、同店店長の愛宕遥(あたご・はるか)氏のあだ名「ごっちゃん」から付けたもの。経営者の仲間たちからは相当反対されたそうだが、「24歳でうちの社員で一番若いのに、誰よりも熱心に働く愛宕に、スポットライトを当てたい。目指しているのは、アガリコのあっちゃん(池袋「アガリコ」の女性看板店長)のように、飲食業界のスターに育てることです」と横川氏。
また個室利用が多い「和酒厨房ばさら」の運営に10年以上関わってきた経験から、横川氏は「お客さんとスタッフの距離が近い店の方が、従業員の満足度が高い気がします。ごっちゃんではお客さんが店に来ると、スタッフが楽しそうで。経営者としてはそれが一番嬉しい。今後も多くの出店を目指し、将来は『府中市と調布市の主要駅に必ずごっちゃんがある』ようにしたいですね」と語る。
年商10億ある会社は簡単につぶれない
そんな横川氏の今後の目標は、「あと8年後、会社設立20周年までに20店舗・年商10億円を上げること」だ。居酒屋業態で年商5000万円の店は、利益のみを考えるとそれほど儲からず、経営者の間では議論が分かれるという。
「しかし僕は広い店より、スタッフとお客さんとの距離が近い、小さな店をもっと増やしたいのです。店舗が増えれば、一緒に働く仲間も増えます。その仲間が長い期間安心して働き続けられる、つぶれない会社を作りたい。売り上げが10億円ある会社は、そう簡単にはつぶれません。そうやって小規模でも、スタッフが喜んで働ける会社を着実に作っていきたいです」(横川氏)
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店舗データ
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