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三軒茶屋に「Whim SAKE & TAPAS」が開業。どぶろく醸造所を併設し、日本酒&タパスを提供。次世代による日本酒ベンチャーの挑戦が始まる!

三軒茶屋駅から徒歩5分ほどの新築物件を取得し開業した。ガラス張りの戸で、外からも醸造の様子が見えるつくりだ
店内には4.5坪ほどのどぶろく醸造スペースを併設。コンクリートの壁には醸造の様子を開設したイラストを描いた
貴醸酒仕込みの「LUNA」。濃厚な甘みとフルーティな香りが特長。麹米につや姫を使用する「三軒茶屋のどぶろく」は、米の粒感を残した仕上がりだ
写真左は、どぶろくとヨーグルトに漬けて焼き上げた「どぶグルトチキン」、右は自社製品「FONIA」シリーズの「TERA」でマリネした「柿と秋刀魚のTERAマリネ」(680円)
写真左から、代表の稲川琢磨氏、店長の佐藤拓海氏

(取材=大関 愛美)


三軒茶屋駅から徒歩5分ほど、栄通り商店街に「Whim SAKE & TAPAS(ウィム サケ アンド タパス)」が開業した。店内にはどぶろくの醸造スペースを併設し、自家醸造の日本酒やタパス(小皿料理)を提供する“日本酒ブルーパブ”だ。運営は、日本酒メーカーのWAKAZE(山形県鶴岡市、代表取締役:稲川琢磨氏)。現在30歳の若き経営者、稲川氏が2016年に創業した日本酒メーカーだ。和のボタニカル素材が香る「FONIA(フォニア)」、オーク樽熟成の日本酒「ORBIA(オルビア)」などの製品を世界6か国の飲食店や小売店に展開している。同店は、そんな同社のショールーム的店舗として7月28日にオープンし、注目を集めている。

30歳の若き経営者による日本酒ベンチャーが誕生

稲川氏は大学卒業後、外資系コンサルの会社に就職。留学経験があったことから、もともと海外に向けて日本の文化を発信するような事業で起業したいとの思いを持っていたが、あるすし店で食事をした際に日本酒の魅力に開眼。「日本酒は世界に誇れるアイテム。“日本酒を世界酒にしたい”という思いが芽生え、日本酒メーカーの起業を決意しました」と稲川氏は話す。そんな折、同社の醸造技術を担当することになる今井翔也氏と出会い、意気投合。稲川氏は会社勤務の傍ら、週末起業として今井氏の実家である群馬県の聖酒造の協力を得て、日本酒に関するマーケティングなどの準備を進めてきた。そして会社を退職し、2016年1月に同社を興し、委託醸造で日本酒の製造を開始した。

日本酒の概念を覆す、ニュータイプの酒が大ヒット

「歴史ある蔵に比べて僕らのような後発ベンチャーでは、何か印象に残る圧倒的な美味しさが必要。ユズや山椒などを加えた『FONIA』シリーズや、オーク樽で熟成した『ORBIA』など、これまでの日本酒の概念を覆すような、新しいコンセプトの酒を開発しました。世界に発信するという意味も込めて、洋食とのペアリングも重視しています」と稲川氏は話す。ところが創業当初は鳴かず飛ばずで、最初の半年間は役員報酬0だったほどだという。しかし、その後、山形県鶴岡市に会社を移し、そこで開発した「ORBIA」シリーズの「LUNA」がヒット。これを機に同社は売り上げを伸ばし、今年の販売本数は3万本を突破し、さらに来年は約6万本の売り上げを見込んでいるという。現在、同社の製品は「レフェルヴェソンス」「エスキス」など名だたる星付きレストランを始めとする飲食店で提供されているほか、小売りにも対応。国内のみならず、世界6か国にも輸出している。

どぶろく醸造所併設の“テーマパーク型店舗”を開業

事業が軌道に乗り、次は自社製品を提供する飲食店の開業を考え始めた稲川氏。「僕らがやりたいのは、日本酒という文化を発信すること。文化発信に適した街という観点で候補に残ったのが、三軒茶屋と代々木上原でした。ただ代々木上原はワインの街。よりカジュアルにはしご酒を楽しめる街として、三軒茶屋を選びました」と話す。

単なる飲食の場にとどまらず、醸造スペースを併設するテーマパーク型店舗にしたことが最大のこだわりだ。「通常の日本酒に比べてどぶろくは醸造免許の取得が容易。19坪のうち4.5坪をガラス張りのどぶろく醸造スペースとし、醸造の様子を眺めながら飲食が楽しめる設計にしました」と稲川氏は話す。

ドリンクは、店内で醸す「三軒茶屋のどぶろく」(時期により数種類のレシピのものを用意、各650円)はもちろん、自社製品の「FONIA」「ORBIA」シリーズ(850円~950円)の日本酒がそろう。どぶろくをビールで割った「どぶビー」(800円)なども。

料理は、山形県庄内地方の生産者から産直で仕入れる素材を取り入れたタパス(小皿料理)が並ぶ。「柿とくるみの白和え」(550円)、「豚のトンポーロ 豆鼓の効いた蜂蜜バルサミコソース」(1380円)、「どぶグルト(どぶろく×ヨーグルト)チキン」(980円)、「つや姫のカオマンガイ」(980円)など、ジャンルにとらわれず自社の日本酒に合う品を25品ほどラインアップする。

世界で“酒蔵大航海時代”がやってくる!

「当社の本領はあくまで日本酒メーカー。今後も、『日本酒を世界酒にする』というビジョンのもと、生産量を増やし、国内外に日本酒をアピールしていきたい」と稲川氏。来年にはパリに自社の醸造所を開設予定だという。「食文化のレベルが高いフランスで醸造することで、商品開発力のアップや、ブランディングを図りたい」という狙いだ。「僕はこれから世界各地に蔵が乱立する“酒蔵大航海時代”がくると予想しています。そんな中でも、日本人としてサムライ魂を持って、日本酒の可能性を広げるよう、先陣を切っていきたい。現在、日本酒の市場額は6000億円ほどで他の酒類に比べれば低い。それを数兆円規模の市場にしていくことが目標です。そして当社を時価数千億円規模の企業に成長させていけたら」と語る稲川氏。同社は現在7名の社員スタッフ(アルバイト除く)によって運営し、平均年齢は28歳だという。若い世代による日本酒ニューウェーブは、すぐそこまで来ている。

店舗データ

店名 Whim SAKE & TAPAS(ウィム サケ アンド タパス)
住所 東京都世田谷区太子堂1-15-12 1F

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アクセス 三軒茶屋駅から徒歩5分
電話 03-6336-1361
営業時間 【月〜土】18:00~23:00(LO food 22:00 / drink 22:30)【日】15:00〜21:00(LO food 20:00 / drink 20:30)
定休日 水曜
坪数客数 19坪22席
客単価 3500~4000円
運営会社 株式会社WAKAZE
オープン日 2018年7月28日
関連リンク Whim SAKE & TAPAS(FB)
関連リンク WAKAZE(FB)
関連リンク WAKAZE(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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