JR中央線で新宿からおよそ20分の国分寺。高円寺や吉祥寺ほどの派手さはないが、個性的な店が点在し、中央線文化の一翼を担っている。駅周辺はすっかり再開発され、大きなツインタワーも今後さらなる発展が予想される。そんな上昇気流をとらえ、“鳥とサワーが旨い店”というコンセプトを打ち出した「鳥どシ」が8月17日にオープンした。運営はアーミーアント(東京都国分寺市、代表:船木崚氏)で、同店は「ありんこ酒場」(国分寺市)、「鳥ッス。」(小金井市)に続く3店舗目の出店となる。
代表の船木氏は17歳のときに新宿の居酒屋でのアルバイトをはじめた。「お通しの存在も意味も知らず、オーダーを管理するハンディ端末の使い方がどうしても覚えられなかった」などという苦い体験をもあったが学業の傍らで飲食業に携わり調理や接客技術を身につけた。大学では経営学部に在籍していたが、20歳を迎えるころには独立志向が強くなり、資金に目途がついたタイミングで大学在学中の21歳でを起業を果たした。
国分寺という個性的な街を選んだ理由を聞くと、「たまたま国分寺の駅に降り立っただけですよ」と、意外と素っ気ない答えが返ってきた。「再開発の真っ只中の街を眺め、『これから来そうだ!』という直感が働きました。それから、不動産屋を片っ端から回り、『国分寺ならどこでもいいからやらせてください』とアピールして回ったところ、手ごろな物件を取得し、1号店である「和風居酒屋ありんこ酒場」を2015年にオープンすることができました」とのこと。看板メニューの「船盛り唐揚げありんこ号」は大ヒットし、1か月に鶏もも肉400キロを使用し国分寺一の入荷量とまで言われるようになった。大量入荷による安価な仕入れが可能となったため、購買力を活かして骨付き鳥と唐揚げをメインに据えた「鳥ッス」を2017年に、国分寺の隣駅の武蔵小金井駅にオープンさせた。今回の新店は、地下にある1号店の地上部分1階。前テナントは中華料理店だったが、内装も厨房設備も一新した。勘所は、「焼き場メニューとそこにかける人件費を抑制し、その分を売りであるドリンクに注力すること」と潔い。
店名通りに「鳥とサワー」が同店の二大看板で、鳥は、「信玄鶏のどシ焼き」(もも・むね各1,200円)が主力商品。朝締めの信玄鶏を特製漬けダレで下味をつけ、スチームの効いたコンベクションオーブンで火入れし、皮はパリッと中はジューシーに仕上げる。そのほかの一品料理も鳥中心で、鹿児島産の新鮮な親種鶏を用いた「炙り刺し」(もも・むね各650円)、鶏もも一枚肉の中に餃子の種を仕込んだボリューム満点の「鉄鍋焼き餃子」(590円)などをラインナップ。
一方のサワーは、「レモンサワー」と「フルー酎」の2系統。サワーは四季を通してレモンサワーに注力しており、広島瀬戸田産レモンを用いたレモンサワーは「生絞りレモン」(480円)、「煮込みレモン」(500円)など、メニューは全5種。「フルー酎」は、生搾りや果実を用いた色鮮やかな酎ハイ。常時10種のフルーツを使い、480円~680円で提供。SNS映えするフォトジェニックな商品メイクを意識している。秋のメニューの一例に、「しゃりしゃり和梨サワー」(520円)、「シャインマスカット酎」(630円)、「長野パープル酎」(580円)などがある。
船木氏には強力な経営パートナーほか優秀な社員に恵まれ、連携を取りながら業態・メニュー開発を行っている。最後に、今後の展望についてたずねると、「2020年までに、フランチャイズを含めて10店舗の展開が目標です。現代はコンビニにイートインスペースがあり、お酒とお惣菜を買えばもう居酒屋だし、ファミレスでもチョイ飲みができる時代。そうしたニーズも意識しつつ、一線を画した魅力あるメニューやサービスを追求します」とのこと、冷静な分析と戦略で、さらなる飛躍を目指す若き経営者の思いは熱い。
店舗データ
店名 | 鳥とサワーの店「鳥どシ」 |
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住所 | 東京都国分寺市本町2-8-6 大澤ビル1F |
アクセス | JR線ほか国分寺駅北口から徒歩3分 |
電話 | 042-316-8499 |
営業時間 | 【日~木】17:00~24:00、【金・土】17:00~翌5:00 |
定休日 | なし |
坪数客数 | 8坪 25席 |
客単価 | 3,500円 |
運営会社 | 株式会社Army Ant |
オープン日 | 2018年8月17日 |
関連リンク | 株式会社Army Ant(HP) |