7月1日、不動前駅から徒歩3分、のどかな住宅街のそばに「U-TOKYO(ユートウキョウ)」が開業した。「クラフトメンチカツとリモンチェッロサワーの店」をテーマにする、約13坪18席のこぢんまりとした酒場だ。運営は、10年前に創業し「豚しゃぶ だんだん」などの飲食店を島根県に5店舗、東京に2店舗を展開するだんだん(福岡県福岡市、代表取締役:尾添優一氏)。この物件も、もともとは同社の「豚しゃぶ だんだん」だった場所。それを業態変更してオープンした店だ。
「昔からメンチカツとレモンサワーの組み合わせが好きで。これを東京で仕掛けようと企画しました」と話すのは、同社代表の尾添氏。実は同店開業の前段階として、今年の2月に島根県松江市で、「メンチカツとレモンサワー」をテーマとした酒場「U」をオープンしている。「U」では、WEBを使った販促に注力。17年にわたってアパレル業界でマーケティングに携わってきた、店長の松本浩利氏がPRを担当し、SNSやWEB広告を駆使した。口コミが広がりメディアにも多数掲載され、「U」は1カ月ほどで軌道に乗ったという。手ごたえを感じたことで、松江のオープンから半年足らずで不動前での開業に踏み切った。
「東京では“ワード”から仕掛けて、トレンドを作りたかった」と松本氏は話す。「メンチカツとレモンサワー」よりもインパクトを出したいと、「クラフトメンチカツとリモンチェッロサワー」というキャッチーなフレーズを採用。印象に残るロゴマークデザイン、SNS運用などを戦略的に仕掛けたことで、やはり同店でも売り上げは順調に推移。オープンから1カ月ほどだが、前業態の「豚しゃぶ だんだん」から売り上げを2倍に伸ばすことに成功している。
その人気を支えているのは、PR戦略だけでなく、総料理長の日下延也氏による商品の力も大きい。松江の「U」では、ベースとなるメンチカツはスタンダードな豚肉ベースのメンチカツで、チーズやパクチーなどをトッピングしてバリエーションを出しているが、同店では、メンチカツのタネそのものを変えてバリエーションを表現。「海老とパクチーとナンプラーのメンチカツ」「ホタテと韓国のりのメンチカツ」「ゴルゴンゾーラチーズとりんごのメンチカツ」(各390円)など、14種類あるレパートリーの中から日替わりで10種類ほどを用意する。「クラフト」と謳うだけあり、一貫して手作りにこだわるのが信条だ。素材を厳選し、タネの挽肉には鹿児島産の純粋六白黒豚を、揚げ油には胃もたれしにくいパーム油をチョイス。試行錯誤の末に生み出した製法で、「食べ疲れず、週に2回来店できるメンチカツ」(尾添氏)を実現した。このほかにも、「豚しゃぶ だんだん」時代、テレビ番組で紹介されて話題になった「ともだちのポテサラ」をはじめとする酒に合う一品料理も約15品そろえ、メンチカツが揚がるまでのアテにぴったりとなっている。
リモンチェッロサワーは、ベースとなるリモンチェッロは広島県大崎大島産の無農薬レモンにこだわり、1ヶ月をかけて皮をスピリタスに漬け込む。スタンダードな「クラフトリモンチェッロサワー」(480円)をはじめ、「パクチーリモンチェッロサワー」「塩リモンチェッロサワー」「国産生姜リモンチェッロサワー」(各480円)など、7種類のバリエーションを用意。基本は辛口の「ドライ」だか、甘みのある「スイート」にもできる。それ以外には日本ワイン、焼酎、ビールなどをラインアップする。
客層は、地元の20代後半~40代が中心。「トレンドを仕掛けたい」という思いはありつつも、見据えるのはしっかりと地元に根差した店だ。引き続きSNSでも積極的に発信し、地元以外からの集客も狙っていく。9月以降は冬に向けて、同社が得意とする鍋にも注力する予定だ。「クラフトメンチカツとリモンチェッロサワーで、ゆくゆくは大手企業に真似されるような店になりたい。もしそうなったら、のれんに『初代』と入れたいですね(笑)」と尾添氏は意気込む。クラフトメンチカツとリモンチェッロサワーという、新しいムーブメントの予感を感じさせる同店。飲食関係者にとっても注目必至の1軒だ。
店舗データ
店名 | U-TOKYO(ユートウキョウ) |
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住所 | 東京都品川区西五反田4-8-4 |
アクセス | 不動前駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6431-9137 |
営業時間 | 18:00~翌1:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 約13坪18席 |
客単価 | 2500~3000円 |
運営会社 | 合同会社だんだん |
オープン日 | 2018年7月1日 |
関連リンク | U-TOKYO(FB) |