新宿西口の大ガード西交差点からすぐ、裏通りながら飲食店が立ち並ぶエリアに6月21日、「DRAEMON7(ドラエモンセブン)」がオープンした。渋谷の「パンチョス」、恵比寿の「レッジャーノ」をはじめ、東京や愛知で14店舗を持つDREAM ON COMPANY(愛知県一宮市、代表取締役社長SEO:赤塚元気氏)が手がける新型ワインバルだ。
今回の店は、渋谷・道玄坂にある同名のイタリアンワインバル・渋谷DRAEMONの「姉妹店」の位置付けだが、ファサードには日本古来の瓦屋根とのれん、店内の壁には昭和30年代の銭湯を思わせる藍色のタイルを貼るなど、業態はワインバルながら和の雰囲気と、「古新しさ」感を随所に出している。
店名に数字の7を入れたのは、同社が「東京で展開する7つめの店」の意味だ。赤塚氏によれば、立地は特に新宿に限定したわけではないが、今後も東京での出店を増やしていく計画で、既存店の渋谷や恵比寿から近い場所を探しているうち、最適な物件が出たことで決めた。
主なターゲットは20〜40代の男女客、客単価はドリンク・フード・チャージ(200円)込みで3200円を想定。新宿界隈で飲む大人客の、「きちんとしたものを飲み食いしたいが、来店頻度も上げたいので価格は抑えてほしい」というニーズに響く仕かけを盛り込んでいる。結果、オープンから2週間たった現在(取材時点)では、近隣で働く会社員のグループなど、想定通りの客層が訪れ、平日を含めて毎日1.5回転分(2時間制)の予約は先まで埋まっている状態だという。
料理は、カプレーゼのようなバル業態で定番の小品のほか、パスタやピッツァなどのイタリアンメニューがベースとなっている。しかし「和の要素を入れ、季節ごとの日本の魚・野菜・フルーツを入れたグランドメニューを必ず月替わりで更新する」という難易度の高いルールも設定している。
(取材時の)7月のメニューを見ると、完熟宮崎マンゴー(アンティパストの「完熟宮崎マンゴーとマスカルポーネ」680円)や、水ナス(「水茄子とマスカットとモッツァレラのカプレーゼ」880円)、万願寺シシ唐(「万願寺シシトウと卵と生ハムのピザ」880円)など、日本の夏を思い浮かべる食材が列記されていた。
また、季節性で表すオリジナリティのほか、「驚き」もメニューで表現。日本人におなじみの、あのカップ容器をそのまま使った「フォアグラのプッチンプリン」480円(お客が食べる際、自分でプチンと折って取り出す)や、市販のズワイ蟹缶からオムレツが浮き上がる「ずわい蟹缶のスフレオムレツ トリュフソース」380円、お客の目の前でかき氷を削って仕上げる「フルーツトマトと白ぶどうのクレソンサラダ ブラッドオレンジかき氷」780円など、ワッと声が上がるような楽しさを考え抜いている。
ドリンクはレモンサワー8種、サングリア6種、モヒート4種が中心。グラスワイン各種(一律500円)、ボトルワイン各種(一律2500円)も取り揃えるが、ビールは極力注文を抑えるためメニューの中でも扱いが小さい。またリキュールを使ったカクテルも、モヒートとサングリア以外提供しない。そうしたドリンク構成の理由は、
「DRAEMON7に限らず、うちはどの店も『ドリンクの原価は下げ、その分の原材料費をフードに回す』のがポリシーです。ドリンクにリキュールやフルーツを使い、コストをかけるほど、料理に回らなくなります。料理の原価を下げると、安さで一時的に人気が出ても『単なる安いだけの店』として飽きられます。長期間繁盛する強い店を作るには、ドリンクよりフードのコストパフォーマンスを上げることが必須です」(赤塚氏)。
こうした赤塚氏自身の経営哲学は、大学時代に4年間没頭した居酒屋「汁べゑ」(東京・世田谷の楽コーポレーション、代表取締役:宇野隆史氏)でのアルバイト経験から培われた。同業の経営者仲間から「赤塚くんの店作りは、働いているスタッフの人間力やサービスが突出していて、真似もFC化もできない」と言われるそうだが、人を育てる考え方も「汁べゑ」で学んだという。
「僕は42歳で、テレビとともに育ち、幅広く情報収集してきた世代です。一方で、最近の20代前半の若い子たちは情報の取り方が限定的で、ネット動画で関心のあることのみを深く突き詰める傾向にあります。しかし、決して昔の若者より能力が低いのではありません。逆に一度好きになると徹底してやり尽くす世代なので、彼らが仕事や仲間を好きだと思えるような入口さえ作れば、誰もが素晴らしいスタッフに成長する可能性を秘めています」
その入口作りとして、アルバイトスタッフ含めたパーティーやボーリング大会、社員旅行などスタッフ同士のイベントを定期的に開催。赤塚氏も必ず参加し、一緒になって楽しむ。また営業中も「自分が笑顔で仕事をすればお客様も笑顔になる」「来店時のお出迎えよりお見送りにさらに力を入れる」「スタッフ間でキレたりイライラするのは禁止」などのルールを徹底。この積み重ねが「ここで働くのは楽しい」「仕事仲間が好き」という各人の思いや仕事への情熱に変わり、接客力も上がって店全体から強大なマンパワーが生まれるという。
今後は、上場を目指し、1年に3店舗のペースで新規出店を計画しつつ、M&Aによるグループ拡大も目指している。「M&Aでも、後継者不足で辞めたいなどネガティブな売却理由の企業ではなく、前向きに連結し、力をつけて一緒に大海に漕ぎ出したいという仲間を見つけたいです。そして僕たちが乗った大きな船が力をつけて、いつか社会にも貢献できれば嬉しいですね」と語る赤塚氏。「『自分たちの会社らしさ』は守りながら、新しい挑戦は続けたい」という赤塚氏の夢は広がる。
店舗データ
店名 | DRAEMON7(ドラエモンセブン) |
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住所 | 東京都新宿区西新宿7-11-15 ミヤコビル1F |
アクセス | JR・地下鉄 新宿駅西口より徒歩7分 |
電話 | 050-5595-6311 |
営業時間 | 【平日】16:30~24:30(LO23:30)、【土】16:00~24:30、【日・祝】16:00~24:00(LO23:00) |
定休日 | なし |
坪数客数 | 30坪60席 |
客単価 | 3200円 |
運営会社 | 株式会社DREAM ON COMPANY |
オープン日 | 2018年6月21日 |
関連リンク | DREAM ON COMPANY(HP) |
関連リンク | DRAEMON7(HP) |
関連リンク | DREAM ON COMPANY(FB) |
関連ページ | 渋谷道玄坂DRAEMON(記事) |