星野リゾートによるホテル「OMO5東京大塚」や複合飲食店「東京大塚のれん街」が開業し、再開発の進む大塚。大きな再開発の渦中にある大塚に、小さいながらも光る店が誕生した。それが、3月17日にオープンした、日本酒と和食が楽しめる店、「kuwan(くわん)」だ。運営は、茗荷谷でカフェ2店舗を展開するLifeWood(東京都文京区、代表取締役:佐久間翔氏)。
運営会社のLifeWoodは、2013年2月、代表の佐久間氏とその友人2名の計3名で茗荷谷に「Cafe&Bar totoru(トトル)」を開業。非日常を感じる独自の空間演出や、「植村さんのチーズケーキ」をはじめとしたスイーツや食事をウリに、地域を代表するカフェへと成長した。好調につき2016年5月には同じく茗荷谷に2号店の「Cafe&Factory PaLuke(パルケ)」をオープンしている。そして佐久間氏が次なる展開に選んだ業態が、和食と日本酒が楽しめる店だった。
同店の開業を実現させたのは、同店で店主を務める金井崇氏との出会いだ。金井氏は和食で10年ほど研鑽を積んできた料理人。ダイニングバーや居酒屋のホールスタッフを経て、料理の道へ進んだ金井氏。イタリアンレストランでパティシエを経験したのち、「食べていて一番落ち着くのは和食」と、和食の道へと進んだ。佐久間氏は共通の知人を介して金井氏と出会い、意気投合。佐久間氏は金井氏に新店舗の店主を託し、店づくりから、現在の運営まで金井氏が中心に行っている。
同店のテーマは、「初心者でも気軽に日本酒と和食が楽しめる店」。和の素材を取り入れ、手作りにこだわった料理と、全国各地からそろえた日本酒をリーズナブルに提供する。まずはお通しとしてその日の小鉢、ウェルカムドリンクとして日本酒を提供する。「この最初の日本酒はフルーティでほどよい酸味のある、伴野酒造『beau Michelle(ミッシェル)』。日本酒らしかぬ味わいで、日本酒に苦手意識のある人にも飲みやすい一杯。こうした工夫で、当店が初心者の方にとって日本酒の“入口”になるのが目標です」と金井氏。
料理は、金井氏の和食経験を生かした品々が並ぶ。「ナガラミの甘辛煮」(400円/税込み、以下同)、「お造り3種盛り」(980円)、「鶏レバーの生姜煮」(400円)など、日替わりで約20品。日本酒もスタッフ同士で意見を交わしながら、多様な味わいのものを約30品そろえ、400円~。日本酒1杯は一合よりやや少なめの量で提供するのは、「たくさんの種類を飲み比べてもらい、お客さま自身の好みを見つけてほしい」(金井氏)という思いからだ。客単価は2000~3000円。「和食や日本酒に馴染みのない方にも気軽に楽しんでほしくてリーズナブルに設定しています。とはいえ、原価に対して少し安く設定しすぎてしまいました(笑)。今後、客数を伸ばすなどしてバランスをとっていきたい」と金井氏。
内装は、佐久間氏自身がデザイン。自らで店舗をデザインすることは佐久間氏の長年の夢だったという。デザインの勉強を重ね、3店舗目にしてその夢を実現した。店名の「kuwan(環)」とは、田んぼ、米、日本酒と、生産物がめぐる“環”をイメージして命名。それに合わせ、農業を営む佐久間氏の実家から取り寄せた木材や、自然の土から作った土壁など、テーマに沿ったアイテムを散りばめ、和の趣を感じる空間に仕上げている。
「当社は、“お客さまも自分たちも楽しむ”をモットーに、スタッフ主体の店づくりをしています。コンセプトから大きく外れなければ、スタッフの自由な発想でやりたいことができるのが魅力。今後も、カフェや居酒屋に限らず、さまざまな業態で展開していきたい」と金井氏は話す。同店の売り上げも徐々に向上中。近隣の20代後半~40代を中心に集客している。「よく、『東京大塚のれん街』の開業に合わせてこの場所を選んだのかと聞かれるのですが、再開発のことはまったく知りませんでした(笑)」と金井氏。大型施設が登場する一方で、小さいながらも個性の光る店づくりを発揮する「kuwan」。大塚の街を盛り上げる一端を担っていくであろう一軒だ。
店舗データ
店名 | kuwan(くわん) |
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住所 | 東京都豊島区北大塚2-26-7レートビルディング1F |
アクセス | 大塚駅から徒歩3分 |
電話 | 03-4400-6806 |
営業時間 | 17:00~23:30(LO23:00) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 約15坪13席 |
客単価 | 2000~3000円 |
運営会社 | 株式会社LifeWood |
オープン日 | 2018年3月17日 |
関連リンク | kuwan(FB) |
関連リンク | cafe&bar totoru |