多くのビジネスマンが行き交う飲食激戦区の神田駅周辺。長く愛される居酒屋を中心に、さまざまな業態の飲食店がしのぎを削る。近年このエリアで新たなコンテンツとなりつつあるのがクラフトビールである。近年、ビールの売れ行き伸び悩みが指摘されるが、クラフトビールは好調だ。「多彩な味わいから好みの味を見つけたり、産地にこだわって銘柄を選ぶ、といった楽しみがコーヒーやワインのような大人の嗜みとして受けているからだろう。女性のファンも増えている。若年層への認知はまだ低いが神田のような大人の街のビジネスマンの嗜好とはマッチする。そうした状況の中、神田駅の南口より徒歩2分の繁華街にクラフトビールバー「びあマ神田」が2018年4月19日にオープンした。運営は株式会社谷口(東京都足立区、代表取締役:谷口祐一)である。
びあマを運営する株式会社谷口は、北千住で50年以上の長きに渡って酒類小売業を営んできた酒販店。2年前に小売りから大きく業態チェンジを試み、北千住の飲み屋横丁にクラフトビール専門店をオープン。なんと常時1,500種ものボトルビールを店舗の冷蔵庫に常備し、ファンを驚かせた。冷蔵庫の中にズラリと並べたボトルを自由に選べる楽しみのある「ボトル小売り」に加え、常時10種の樽生ビールと相性のよいフードを、気軽なスタンディングスタイルで提供する。
このたびオープンした「びあマ神田」は3フロアからなる構成で、客席はすべてスタンディング。1階はクラフトビールの樽生8タップとフード、2階は壁一面の冷蔵庫に並べたボトルビール約800種と樽生2タップを提供する。建物には地階もあり、ビアグラスや関連グッズを販売。グラスサイズは3パターンでLが400ml(900円~)、Mが324ml(800円~)、Sが265ml(600円~)と設定した。フードは当初、「ピザ」(400円)、「パテドカンパーニュ」(400円)など、調理が平易なものを中心にしていたが、「ムール貝のクラフトビール蒸し」(500円)、「から揚げ」(500円)など、ひと手間加えたものも加わった。会計は各階でキャッシュオン。席へのアテンドや過度な接客はしないが、ビールについての質問や要望は大歓迎としている。「同じ銘柄のビールを『樽生ドラフト』『ボトル』『缶』で飲み比べできることが強みです」と店長の松村千春氏。
北千住本店には1,500種を常備するが、神田ではスペースの都合から800種とした。定番銘柄を中心に限定品もラインナップ。レアな銘柄はすぐに入れ替わるが、ビール好きには入れ替わりの早さも魅力となる。全10タップは1日の営業でで3・4回入れ替わることもあるほどだ。クラフトビールに加え徐々に人気が高まっているのがクラフトジン。瓶入りのトニックウォーター・ソーダ・ジンジャーエールで添え、セルフで割って飲んでもらうスタイルが受けている。
これだけ多くの品ぞろえができるのは、酒類小売業で長年培ってきた生産者や問屋、輸入業者との揺るぎない信頼の賜物だ。これまでの実績がよりよい商品・安定的な仕入れを引き寄せる。オープンして一か月が過ぎ、クラフトビールファンからは、「北千住は遠いが、山手線内の神田ならアクセスが容易。気軽に立ち寄れるようになったのが嬉しい」との声が寄せられている。「クラフトビアマーケットなど、同業の店舗は少なくないが、競争してすり減ることなく、お互いに高め合い、神田をさらなる“クラフトビールの街”として盛り上げていきたい」と、松村氏は今後の展望を語る。
店舗データ
店名 | びあマ神田 |
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住所 | 東京都千代田区鍛冶町1-6−4 |
アクセス | JR線ほか神田駅から徒歩2分 |
電話 | 03-3527-1900 |
営業時間 | 16:00~23:00、日・祝~21:00 |
定休日 | なし |
坪数客数 | 全席立食・約45坪 |
客単価 | 2000~3000円 |
運営会社 | 株式会社谷口 |
オープン日 | 2018年4月19日 |
関連リンク | びあマ神田 |