渋谷駅に直結した渋谷マークシティの南側は通称マークシティ裏と呼ばれる、昭和の面影も残す飲食エリアとなっている。そのなかでもさらにコアな一角のディープな路地に12月1日オープンしたのが先鋭的な酒場力オーラーを放つネオ酒場「酒場 晩酌 TEZUKA(てづか)」だ。運営するのは恵比寿横丁の「だるまてんぐ」や「タイ屋台ラオラオ」、大門の焼鳥「ふくなが」と個性的な飲食店を展開するだるまてんぐ(東京都渋谷区、代表取締役:八條憲之介氏)だ。旨いつまみと旨い酒をコンセプトに自分達が飲んで食して美味しいと思えるプロだからこその極みを提供する。
華やかな賑わいを見せる渋谷駅周辺のなかで未だに昭和の面影を残す雑然とした渋谷マークシティ裏の飲食エリア。そのなかでも渋谷のブラックホールと自らが呼ぶ、怪しい路地に立つビルの1階にあえて出店を決めた八條氏。集客性に優れたブランド飲食エリアにあるぽっかりと穴を開けたディープなスポット、飲食エリアのブラックホール。飲食経営者なら避けるようなブラックホールで勝負する八條氏は、すでに恵比寿で「タイ屋台ラオラオ」を繁盛店にした実績を持つ。「面白いか面白くないか。お客さんにとり会社にとり自分の未来にとり面白か」を経営理念としている八條氏の飲食ビジネスに対する独創的なスタンスが伺える。それは調理師専門学校を卒業以来、飲食業界一筋というなかで多様な経験で得たものが八條氏の信念であり会社の基軸となっているのだ。
既存店全ての基本コンセプトは週一通える、使い勝手の良い店だ。「酒場 晩酌 TEZUKA」もその例外ではなく、まして晩酌を楽しむ酒場として飽くことのない旨い料理と旨い酒の提供と環境造りに徹底的にこだわったという。その結果、オープン予定は大幅に遅れたが、満足の出来る独創的で個性的な店に仕上がった。
提供するフードは和食をベースにアジアや洋などのテイストも取り込み、揃えるドリンクとのマッチングを意識している。おすすめは本場韓国のプルコギ鍋を使った「和牛と豚バラと生鶏の焼肉鍋」(1350円2 人前から)や雪平鍋で作る「ハマグリと天然ブリのしゃぶしゃぶ鍋」(1250円2人前から)のように美味しさのために鍋自体までにこだわりを見せる。つけダレもオリジナルで2種類を用意し、一鍋でテイストバリエーションが楽しめ、お酒の種類も広がる。メニューは「さっくとおつまみ」、「窯焼きとおつまみ豚」、「揚げもの」、「アボカドのおつまみ」、「和牛の炙り」といったように食材やカテゴリー毎に分かれている。それぞれに「角切り旨生ハム」(520円)、「海老とキノコのグツグツ窯焼」(690円)、「自家製パテメンチカツ」(620円)、「和牛肩三角炙りユッケ」(980円)など、その時々に食べたい思った料理が揃う。お酒も「飲み始めと葡萄と純米酒」、「焼酎と発見と旨い茶割り」と大きく2つのカテゴリーに分かれている。そこから「クラフトTYハーバーIPA」(890円)、「伊ビオワイングラス」(赤白580円)、「メイヤーレモンサワー」(490円)と詳細なアイテムに分かれる。日本酒は料理との相性から蔵元まで足を運んだという「鯉川」(780円)、「新亀」(980円)などの辛口6銘柄。ワインは自然派と日本ワイン。どれも八條氏をはじめ代表取締役の福永巧氏、料理長の手塚佳典氏が飲んで美味しいと選んだものだ。
わずか2m足らずの間口から飛び出るキッチンから伸びる70㎝幅のローカウンターがこの店の要だ。キッチン前の席以外、向かい合わせのシーティングは客同士のコミニュニケーションが弾み、一体感と面白さも盛り上がるからだ。固定概念にとらわれず0からスタートで、どこにもない面白い店造りに真剣に取り組みこだわる八條氏。オープン時に100%ではなく、あえて1年後に80%の完成を目指し、残り20%はお客さんが決めることだという。それは客目線、客の立場を尊重できるプロだからこその証である。既に幾つかの業態アイディアを持つ八條氏の今後に期待である。
店舗データ
店名 | 酒場 晩酌 TEZUKA |
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住所 | 東京都渋谷区道玄坂1-13-1B |
アクセス | 渋谷駅より徒歩2分 |
電話 | 03-6455-0452 |
営業時間 | 17:00〜24:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 6.9坪・18席+外席立ち4人 |
客単価 | 3000円〜4000円 |
運営会社 | 株式会社だるまてんぐ |
オープン日 | 2018年12月1日 |