創業50年を迎えた新宿歌舞伎町の老舗酒場「樽一本店」を運営するネオユニバース(東京都千代田区 代表取締役:佐藤慎太郎氏)が、新宿三丁目に姉妹店「樽一三丁目店」を8月27日に出店した。「樽一」は高田馬場で創業以来、宮城県三陸の銘酒浦霞と三陸の海の幸を、今も変わらずに守り提供し続ける老舗郷土酒場と知られる。現在の本店は140席の大箱だが、新店「樽一三丁目店」はあえての15坪22席の小箱で出店。昭和43年12月に高田馬場で7坪からスタートさせた先代の原点に立ち返り、「樽一」を後世に伝承するために二代目佐藤慎太郎氏が新たに始動させた酒場でもある。小箱だから出来る細やかなサービスで三陸を味わい楽しませる。
昭和43年の4月のある日、新聞に掲載された記事から始まった「樽一」。素晴らしい郷土の銘酒、佐浦酒造の浦霞を知り、先代佐藤孝氏は直ぐに酒蔵へと足を運んだという。そしてこの美味しい浦霞とその日本酒を引き立てる肴に選んだ三陸の海の幸。孝氏は自ら仕事を辞め、高田馬場でサラリーマンが憩える店として「樽一」を起業したのだ。当時、流通も今ほどでないなか三陸の新鮮な海産を提供するために奮闘する店主の店は当然ながら話題となったのだ。その後、順調に46年池袋、48年神田、そして49年には新宿歌舞伎町のビルに以前の本店50坪の「樽一新宿」を出店し、事業を拡大した。時期は昭和の高度成長期であり、多くのサラリーマンでどの店も連日、賑わったという。慎太郎氏は18歳から新宿の店で働き、先代の「樽一」に向ける真摯な想いを間近で学んできたという。しかし、バブルも崩壊し、低価格競合も増えるなかで既存店を閉鎖する事になり、その難しい仕事を受けていたのが慎太郎氏だった。その後、「樽一本店」は現在の場所に移転したが、慎太郎氏は先代から受け継いだ三陸への情熱と価格満足の心で140席の大箱を賑わせている。そんな今、創業50年の節目だからこそ、慎太郎氏は先代の原点に立ち返るために「樽一新宿三丁目店」出店を決めたという。常に客と向き合いお客満足を最優先にしてきた「樽一」マインドを次の世代に繋ぐためでもある。
「三丁目店」では基本、本店同様に「樽一」そのものである三陸の郷土を代表する幸が並ぶ。「鯨刺身三種盛り」(1480円)、「尾羽毛」(860円)、「赤身竜田揚げ」(980円)、「ベーコン刺身」(780円)など今では貴重品でもある鯨料理は名物だ。店自慢の手作り自家製「樽一あつあつ笹かま」(880円)。「三陸名物 松藻」(600円)、「莫久来」(860円)といった三陸の貴重な肴は変わらない。ほかに刺身をはじめとした「大根唐揚げ」(450円)、「出し巻玉子」(600円)といった酒場人気のその日のおすすめ料理メニューも用意する。合わせるのは「樽一」の代名詞でもある浦霞を軸に東北の日本酒が揃う。浦霞は「樽一専用特撰酒 原酒(金ラベル)」(小730円、大1350円ボトル3000円)を筆頭に「辛口本醸造」(小680円、大1260円)から「純米吟醸禅」(小1690円、大3380円)と造り違いを7種類揃えている。ほかに「阿部勘」、「蔵王」、「花文」といった宮城の日本酒銘柄もある。日本酒は片口(150cc)と大徳利(300cc)で提供されるが、飲み比べを楽しむためにぐい呑み(80cc)でも提供している。大箱の本店で出来ない細やかなサービスもまたこだわりである。ほかにクラフトビール、焼酎、酎ハイなどまで夫々アイテムを絞り込みながらも、対応性ある構成となっている。
多くの飲食店に加え、大型量販店、アパレルショップと繁華街らしい賑わいを見せる新宿三丁目。そんな三丁目駅からも近い場所に建つ、飲食ビルの4階で静かに店は構える。エレベーターを開けると、そのまま酒場空間が目の前に広がる同店。外の喧噪からは想像できない、酒をシンプルに楽しむ昭和の酒場らしい空気感を醸し、50年を経てきた貫禄を見せる。流行に捕われず、ぶれずに「樽一」にしか出来ない酒場を継承する慎太郎氏の姿勢に今後も期待である。
店舗データ
店名 | 樽一新宿三丁目店 |
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住所 | 東京都新宿区新宿3-28-2フクモトビル4F |
アクセス | 新宿駅から徒歩2分 |
電話 | 03-5361-6653 |
営業時間 | 【月~金】17:00〜23:30(L.O22:30)、【土】17:00〜22:30(L.O21:30)、【日祝】16:00〜22:00(L.O21:00) |
定休日 | 無休(年末年始を除く) |
坪数客数 | 15坪・22席 |
客単価 | 4000円 |
運営会社 | 株式会社ネオユニバース |
オープン日 | 2017年8月27日 |
関連リンク | 株式会社ネオユニバース(HP) |