飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

ヘッドライン

デザイン制作会社が飲食事業を展開、コンセプトは“発酵”。発酵食品で健康を届ける浅草の「Hacco‘s Table」

大通りから1本入った細い路地に立地。白やグレーを基調とし、シンプルでスタイリッシュな店舗デザインが印象的
木のあたたかみの感じられる椅子やテーブルを配置。入口付近には物販コーナーも設けている
自家製の糠床で漬けた「ぬか漬けのスティック スパイスを添えて」(900円)は、4種類のスパイスを添えて提供
「グリーンサラダ 甘酒特製ドレッシング」(900円)。まるで野菜畑のような盛り付けが印象的。ドレッシングに使用する甘酒は自家製だ
飲食事業ディビジョンマネージャーの石島誉士氏(写真後列左端)、代表取締役の柿澤正博氏(写真後列左から2番目)とスタッフの皆さん

(取材=大関 愛美)


日本有数の観光地、浅草。観光客がにぎわう喧騒を抜けた先、昔ながらの商店や職人の工房が点在し、のんびりとした下町情緒漂う花川戸エリアに、10月21日、「Hacco‘s Table(ハッコーズテーブル)」が開業した。「私のカラダが喜ぶ、菌のある生活」をブランドコンセプトに、日本の伝統食である発酵食品を生かした料理を提供し、多くの人に健康を届けることをミッションとしたレストランだ。

同店の経営は、デザイン制作を主力事業とするシースリー・ブレーン(群馬県前橋市、代表取締役:柿澤正博氏)。今回の出店は同社において初の飲食事業となる。同社のクライアントの3~4割は飲食店で、店舗に対して販促ツールの作成などを行っている。出店の狙いについて、「自社で店舗を開業することによって飲食店経営のノウハウを蓄積し、現在行っているデザイン制作事業に応用するほか、コンサルティングなどの新たなビジネスチャンスにつなげたい」と同社代表取締役の柿澤正博氏は話す。

今回、業態のコンセプトとして目を付けたのが発酵食品。その理由は、同社飲食事業のディビジョンマネージャーの石島誉士氏の経験に基づいている。「私はもともとアレルギーやアトピーがあったのですが、ヨーグルトの乳酸菌を取り入れた食品や料理で身体の見直しを行い、体質が改善したんです。その体験を通じ、私同様にアレルギーに悩む人に発酵食品の魅力を伝えたいとの思いが募り、同店を開業するに至りました」(石島氏)。

メニューには、発酵食品を使ったもののほか、全国各地から厳選した和素材を使用した料理が並ぶ。甘酒、醤油麹、糠床などの発酵調味料を店内で自家製し、「グリーンサラダ 甘酒特製ドレッシング」(900円)、「醤油麹アボカドのかつお節和え」(750円)、「ぬか漬けのスティック スパイスを添えて」(900円)などに使用している。また、「日本各地には、高品質ながらも、まだ広く知られていない和素材がたくさんある。当店を通じて多くの人に知ってもらいたい」(石島氏)と、静岡県焼津産のなまり節を使った「静岡県焼津産 鰹のなまり節」(650円)や、石川県能登産のいしるで味付けした「Hacco’sラタトゥイユ」(600円)などをラインアップし、料理を通じてその素材の価値を広く紹介していきたい考えだ。発酵食品や和素材を使用して健康志向である一方、しっかりとボリュームのある肉や魚のメイン料理も充実させた。千葉県香取市の銘柄豚「恋する豚」を使った「肩ロース 塩麹漬け厚切りポークジンジャー」(1880円)などがその一例だが、この「恋する豚」は発酵飼料で飼育し、栄養価の高い素材。ここでも「発酵」や「健康」というコンセプトを表現している。

ドリンクも、発酵食品を扱う同店ならではの品を用意。三重県の「御蔵酢」を使った「ブルーベリー酢カクテル」「みかん酢カクテル」(以上720円)や、乳酸菌を生かした「ピーチカルピス」(720円)、豆乳と甘酒の「豆乳甘酒~カシス~」など、オリジナリティあふれるカクテルは、今後、人気の品となりそうだ。この他、新潟をはじめ全国各地から厳選し、約10品をそろえる地酒(グラス680円~)や、オーガニックを含む7品のワイン(グラス680円~)、各種カクテルなど幅広く用意する。

アドバイザーとして腸内フローラの研究者、東京医科歯科大学の名誉教授の藤田紘一郎氏を迎え、メニューの監修を行った。「長年、発酵の健康効果について研究を重ねてきた藤田教授の監修が入ることで、発酵食品の効果についてより説得力の高い商品に仕上がりました」と石島氏。今後、同店では、藤田氏はじめ有識者による発酵や健康に関する講演やワークショップの開催も予定している。

人情味あふれる下町の雰囲気に惹かれ、この場所で開業を決めた同店。周辺住民には高齢者も多い。目指すのは地域密着店だ。「メインターゲットは、近隣住民含むシニア層と、加えてSNSでの発信力の高い20代女性。料理の味はもちろんですが、見た目にもこだわり、写真映えを意識しています」と石島氏。今後は発酵食品を使った惣菜のテイクアウト販売や、同店で使用する素材の物販の事業も検討中だという。

発酵食品という健康面での価値の高い商品を打ち出した同店。これからの時代、飲食店経営において、従来の「味」や「価格」だけでなく、「健康」というキーワードも、お客への訴求ポイントとしてますます重要性を帯びてくるだろう。同店はその先駆けとして、他が追随する存在となっていくにちがいない。

店舗データ

店名 Hacco‘s Table(ハッコーズテーブル)
住所 東京都台東区花川戸2-9-10

 >> GoogleMapで見る

アクセス 浅草駅から徒歩5分
電話 03-6231-7855
営業時間 11:00〜15:00、17:00〜22:00
定休日 火曜日
坪数客数 約30坪34席
客単価 3500円~4500円
運営会社 株式会社シースリー・ブレーン
オープン日 2017年10月21日
関連リンク Hacco‘s table
関連リンク Hacco‘s table(FB)
関連リンク 株式会社シースリー・ブレーン
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

ヘッドライン一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.