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丁寧に手作りしたおでんとおばんざいで“おかえり”と迎える。「さんだるきっちん」2号店は、西荻窪に9月1日オープン!

店先にはオリジナルの小さな手作り屋台が置かれ、冬はおでんなどを提供したいという
店の中央にあるカンター席。カウンターを挟んで店の手前にはテーブル席、店の奥には座敷がある
座敷の背景には、タイルでデザインした見事な赤富士が。ちゃぶ台との相性もよく店の雰囲気づくりには大切な役割を担っている
今日のおばんざい。大皿に盛られ、カウンター上に並べられているため、香りが食欲をそそる。見ているだけでほっこりとした気分にさせてくれる
2品目の今日のおばんざい。野菜の煮浸し。季節の野菜を使って作る、惣菜の定番料理
仲の良さがうかがえるスタッフの写真。右がオーナーの鈴木氏、中央が店長の手塚氏

(取材=小野 茜)


西荻窪の駅前から伸びる通りを5分ほど歩くと、右手側に大きなのれんのかかる酒場が目に入る。ここは、サンタルウム(東京都杉並区、代表取締役:鈴木 伸弥氏)が運営する9月1日にオープンした「さんだるきっちん」だ。2015年1月、阿佐ヶ谷に1号店を開業してから約2年半。開業当初より、立ち上げに携わってくれたスタッフとともに「2年で2号店を出そう」とビジョンを打ち立ててやってきたそうだが、この9月に有言実行となった。

この地を選んだ理由は、1号店の阿佐ヶ谷からほど近いことと、この沿線界隈が最近居住地として人気が高い2点にあるという。1号店ですでに常連やファンをしっかり獲得していることから、集客に関する安心感も多少あったというが、意外にもオープン早々、西荻窪の新しい顧客が毎夜席を埋めているという。「工事期間中から、僕らが作業している様子を見ていてくれたようで。『やっとオープンできたね』って、店に顔を出してくれるんです。」と教えてくれた。

店内は奥行きが広く、手前からテーブル、カウンター、座敷に分かれている。引き戸を開け、足を踏み入れてまず目に飛び込んでくるのは、壁面に描かれた「赤富士」だ。1号店のスタッフが壁画デザイナーであることから、「銭湯のような富士山を描きたい」と、デザインを依頼したという。すべてタイルを使い、微妙に異なる色や形を巧みに組み合わせながら、悠然たる富士山の姿を見事に再現した。座敷の畳には小さなちゃぶ台と座布団を用意。壁によりかかりながら美味しい酒と食事に酔いしれる客をカウンターから眺めてみると、「まるで湯船に浸かっているかのように見える。」という憎い仕掛けもあったりする。「銭湯みたいな裸のつきあいを、この店でもしてもらえたら。」と狙いを語る。「知らない客同士が店で出会い、関係を深め、店を通して長く繋がってくれたら」、そんな想いが込められたデザインなのだ。

メニューは、店長の手塚 愛氏がメニュー考案から調理までをすべて手掛ける。家庭科の教師や料亭の仲居など豊富なキャリアを持つ手塚氏は、無化調はもちろん、食材の仕入れや、じっくりと手をかけた調理にこだわりを見せる。魚は手塚氏の出身、千葉県の大原から漁師が直送してくれており、野菜は国立の「しゅんかしゅんか」という八百屋から仕入れている。「しゅんかしゅんか」は東京で減少する農家を助けるため、畑に出向き収穫から手伝うというユニークな八百屋として注目される。そのため、採れたてで鮮度の高い野菜の仕入れが可能だ。品目や供給量の安定性では劣るかもしれないが、強いこだわりを持った八百屋。「僕らも、そういう意志のある人たちとお付き合いしたい」と鈴木氏は言う。

おすすめのメニューは「おひとり鍋」。昆布出汁に野菜たっぷりの「草鍋(くさなべ)」と旨辛スープに浸ったお揚げがクセになるという「辛鍋(からなべ)」の2種。ほっこりとできる鍋料理を一人でも気兼ねなく味わってもらえるようにと考案したものだ。加えて、丁寧に出汁をひく「おでん」も同店のいちおし。夏は冷やし、秋冬はあったかおでんと通年提供する。そのほか、酒のアテには「セグロイワシのごま酢漬け」(480円)や「チビあじの炙り」(350円)、「イカのなめろう」(580円)。1号店でも人気を博す「手作り人参ドレッシングのたっぷりお野菜サラダ」(680円)や、魚料理の「サバの味噌酒粕焼き/塩麹焼き」(各750円)。お酒が飲めない食事利用の客に向けた「本日の定食(おばんざい3点・ごはん・お味噌汁)」(1050円)も用意し、アルコールなしの利用も大歓迎している。

ドリンクでこだわっているのは、お茶と果実酒。「振りたて抹茶ハイ」(500円)は水出しの抹茶をシェイカーに入れ、シェイク仕立てを提供してくれるため人気が高い。あるいは「まろやか烏龍ハイ」「ファインジャスミンハイ」「抹茶入り玄米茶ハイ」(各450円)と、いずれもお茶選びから力を入れるラインナップ。一方の果実酒は、「濃厚ラフランス酒(山形県)」「とろーり桃酒(長野県)」「果肉たっぷりみかん酒(和歌山県)」「食べるいちご酒(長野県)」(各550円)など、県産果実を使用した果実酒を“七福神シリーズ”と呼び全7種用意している。

自身を「寂しがり屋」と分析する鈴木氏は、“人が集まってくる場所”を作りたくて脱サラし、飲食の道へ進んだ。とはいえ「専門的なスキルや技術があるわけではない」と付け加え、だからこそ店長の手塚氏を時間をかけて口説き落とした末、ジョインしてもらったのだという。

2年以内に中央線沿線にもう1店舗出したいと意欲を見せるが、店舗数や売上など数字を追うことはないと、ゆるやかに断言した。実はオープン前夜、壁の「赤富士」は作業が遅れ、どう見ても完成の目処が立たなかった。すると1号店の常連客が大勢手伝いに来てくれて、奇跡的に間に合い、まさに登頂気分を味わったという。「『山登りはこれからだ』って、お客さんに突っ込まれました(笑)。でも富士山は登りより下りの方がきつい。だから、登った山をゆっくりゆっくり僕らのペースで下山するように店を作っていきます。」と、同社のこれからの歩みにむけ、意気込みを見せてくれた。

店舗データ

店名 おかえり酒場 さんだるきっちん
住所 東京都杉並区西荻南2-20-8山田ビル1F

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アクセス 中央線 西荻窪駅から徒歩5分
電話 03-5941-5856
営業時間 18:00〜2:00
定休日 水曜日
坪数客数 15坪・24席
客単価 2500円
運営会社 株式会社サンタルウム
オープン日 2017年月9月1日
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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