代々木上原駅周辺は、渋谷区の中で独自なポジションを確立させている。新しいトレンドを発信する最先端の店が続々と誕生する一方で、代々木上原駅前商店街と上原銀座商店街という古い歴史を持つ商店街も多い。また若者を中心に住みたい街として人気を集めているエリアだが、もともと大山町周辺が高級住宅街として知られているため、リタイアしたアッパークラスなども数多く住む。様々なファクターが交錯しながら、新しい文化を生み出していく代々木上原。こうした特徴を持つエリアのため、都内近郊からも感度の高い層が同エリアに集う。現在、代々木上原で話題を集めている飲食店の一つが1月23日にオープンした「Bistro&Bar Chelsea(ビストロアンドバー チェルシー)」だ。プロデューサーは朝葉吉洋氏で、本当に良いモノを求めている層が多いエリアだからこそ、こだわったコンセプトの飲食店で勝負をしていく。
同店のテーマは“オーガニック”と“クラフトジン”の二つ。ただテーマありきで生まれた訳ではなく、「ちゃんとしたモノをちゃんと提供する飲食店をやろう」と考えた結果、自ずとそうなったのだ。「飲んだ翌日に気分よく起きられたら最高じゃない」とプロデューサーの朝葉氏のアイデアから細部を詰めていって、料理はもちろんアルコールも体への負荷が少ないメニューばかり。食へのリテラシーの高い人たちが集まる代々木上原だから刺さる提案を行う。そういったターゲットにあわせて店内も「上質なカジュアル」をテーマにして、都会の大人が落ち着けるヴィンテージ感のある雰囲気にした。こうした徹底的に“尖った”スタンスが、同店を鮮烈な存在感を持つ店に仕立て上げている。
尖っている姿勢は、もちろん料理も例外ではない。同店で使う野菜の90%近くは千葉県内にある自家農園から仕入れており、パンも天然酵母を使用して店内で手作りしている。メニューには、「豚肉のリエット」(650円)や「ラタトゥイユ 温玉添え」(750円)、「鴨のコンフィ」(1600円)などが並んでいるが、あくまでも目安に過ぎない。客によって料理の好みや食べたい量などは違う。そこで同店では、客のその日の気分に併せて料理も提案していく。幡ヶ谷のフレンチレストラン「リエゾン」出身であるシェフの加藤氏が腕を振るうからこそ可能な提案と言っても過言でない。
ドリンクの中心は“クラフトジン”だ。近年、流行の兆しを見せているクラフトジンは、クラフトビールのように「少量で手作り生産」がしやすいだけでなく、生産地の個性を出しやすいという特徴を持つ。ジンの原料であるジュニパーベリー以外、基本的に何を使っても問題ない。そのため地域で生産している農作物なども使えるので、それぞれのエリアの風土や素材を反映したジンが生まれるのだ。同店では、世界各国のクラフトジンが100種類以上も揃う。日本初のクラフトジン蒸溜所で作られている「季の美」やプレミアムなクラフトジンとして名高い「Monkey47」なども1200円から楽しめる。
実を言うと、プロデューサーの朝葉吉洋氏はソウルシンガーで、ニューヨークにも10年ほど住んでいた経験を持つ。そのときバーテンダーなどをもしており、飲食の世界にも関わり出す。帰国後、たまたま知り合いのバー出店を手伝ったことが縁で、飲食店のアドバイザーやコンサルティング、プロデュースといった業務も行うようになる。同店の出店前は、中目黒で自らが手掛ける飲食店も経営。その際、インテリアデザインを担当したのがオーナーであるモデレージ(東京都渋谷区、代表取締役 橋本洋二氏)の橋本氏だった。そして今回の「Bistro&Bar Chelsea」では、飲食店に精通した両者がタッグを組んで、業界の可能性を広げる挑戦を行っていく。今後のビジョンについて、「代々木上原をベースにしながら、これから代々木八幡と幡ヶ谷にも展開して3店舗はやりたいね」と意気込む朝葉氏。その先に次世代の飲食店が何を提案するべきかの答えの一つがあるだろう。
店舗データ
店名 | Bistro&Bar Chelsea(ビストロアンドバー チェルシー) |
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住所 | 東京都渋谷区西原3-7-4 1F |
アクセス | 小田急線・東京メトロ千代田線代々木上原駅から徒歩1分 |
電話 | 03-5738-7128 |
営業時間 | Lunch 11:00-17:00、Dinner 18:00-1:00 |
定休日 | 火曜日 |
坪数客数 | 10.5坪 15席 |
客単価 | 5000円 |
運営会社 | 株式会社モデレージ |
オープン日 | 2017年1月23日 |
関連リンク | Bistro&Bar Chelsea(FB) |
関連リンク | モデレージ(HP) |