東京を代表するメガ都市、新宿の一角に未だ昭和時代そのままの姿を残す新宿思い出横丁。その中通りに4月7日、「牡蠣と魚」がオープンした。運営するのは良質で安心安全な国産の魚、牡蠣にこだわりを持ち、築地を代表する老舗仲卸である築地三代(東京都中央区、代表取締役:片又孝幸氏)だ。同店は新鮮で質にこだわった厳選の国産牡蠣と本日の海鮮料理をアテにジンソーダや日本酒で気軽に一人でも楽しめるカウンター酒場だ。わずか3坪、カウンター11席の店は68年間も営業していた定食屋「やぶ天食堂」からその権利を引き継ぐ形で営業する。
新宿駅西口脇、青梅街道と小滝橋通りの角地で、昭和時代のオーラを放つ新宿思い出横丁の歴史は、遡れば終戦直後にまで至るという。「やぶ天食堂」同様に60年、70年の時を横丁で刻む人気の老舗酒場は営業を続け、今も昭和の時代を継続させている。軒を突き合わせるように向かい合い、壁一枚でやきとり屋などの極小酒場が立ち並ぶ狭い路地に満ちるカオスな空気を魅力としたディープな呑んべい横丁。そんな横丁は“今日の一杯”を求めるビジネスマンから国内外の観光客までが、ハシゴ酒を楽しみながら行き交い賑わいを見せる。
片又氏は、本業である仲卸に加え、築地と月島で牡蠣専門店と鮮魚の小売りと夜は飲食店となる二毛作店を運営している。当初、魚の質にこだわった美味しい魚と築地ブランドの啓蒙のためにも飲食店を始めたという。しかし、魚自体の減少、漁師不足、乱獲など魚を取り巻く現状は厳しく、価格も高騰する傾向にあり、良い魚=高品質であることへのこだわりを求めることが困難になってきている。一方、国内各地で育てられる牡蠣はクオリティを上げ、数多くの優秀なブランドが誕生していきているという。このような状況や背景をふまえ、片又氏の店では高品質な牡蠣をメインに展開している。そんななかで取引先であった「やぶ天食堂」店主が引退に伴い店を任せるという話が浮上し、今回、築地を離れた新天地で高品質な牡蠣と海鮮を提供する魚酒場の出店を決めたという。
行き交う人々にアピールするように店先に積まれたトロ箱に詰められた牡蠣はその日に提供するもの。通年、仲卸しが日本各地から厳選したクオリティで、鮮度に優れたブランドの真牡蠣や岩牡蠣を常時7種類前後置く。夏の時期には旬を迎える岩牡蠣をメインに、北海道の真牡蠣を揃える。同店ではブランド違いの「食べ比べセット」がおすすめ。価格は真牡蠣の場合は2個800円で素焼き1個+50円、京味噌バター焼き1個+150円。岩牡蠣と真牡蠣2個のセットは1300円〜。蒸し牡蠣は4個850円。牡蠣のほかには「生まぐろぶつ」(580円)など、刺身3~4種類をはじめ旬の海鮮で作る一品料理に力を入れる。鮮度とクオリティへのこだわりからメニューは基本、日替わりとなる。価格は時価となるがサイズを一人でも頼み易いポーションにし、単価を抑えるなど酒場らしい気遣いを見せる。「プレーン」(380円)、「明太子入り」(520円)とある卵焼きは「やぶ天食堂」から継続される味だ。ほかに「今日のおつまみ」など日替わり惣菜も2~3種類用意する。ドリンクは「ジンソーダ」(500円)にタイプ別の純米日本酒3種類(500円〜)などの銘柄をグラスで提供。ほかに「ハイボール」(480円)、「酎ハイ」(480円)、「ワイン」(グラス550円)「スパークリングハーフ」(2800円)と、アイテム数を絞り込んで提供している。
カウンターの中で調理やお酒を作り、元気よく切り盛りする店長の平賀厚子さんは「やぶ天食堂」の先代の娘さんという。歴史ある横丁において、新人である片又氏にとっての心強い相棒でもある。毎日、店先で牡蠣を剥き、一つ、一つ丁寧に個体をチェックしながら店をのぞく人、カウンターに座る人との会話を楽しむ片又氏。日々、人々のエネルギー溢れる老舗横丁とカウンター酒場の面白さを楽しんでいるのだ。高級魚ではないが身近にきちんとした魚を味わえる酒場を作ることが今、そして今後、大事だと考えているという。
店舗データ
店名 | 牡蠣と魚 |
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住所 | 東京都新宿区西新宿1-2-7思い出横丁中通り内 |
アクセス | 各線新宿駅から徒歩2分 |
電話 | 03-3343-2023 |
営業時間 | 【月~土】17:00〜23:00 |
定休日 | 日祝 |
坪数客数 | 3坪・11席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | 株式会社築地三代 |
オープン日 | 2017年4月7日 |
関連リンク | 株式会社築地三代(HP) |
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