日本をリードする企業も多くあり、羽田空港への玄関口でもある浜松町の一角に2016年12月5日、日本酒専門の立ち呑み「日本酒 室MURO(ムロ)」がオープンした。石川県、福井県、富山県の北陸三県の日本酒と能登から届く鮮魚、米、野菜、調味料など、酒と食の文化を東京で「つなぐ」ことをミッションとした意味をもつ飲食店、発展的な立ち呑みだ。そして女将の澤中愛子氏が渾身のペアリングで北陸の日本酒の美味しさを楽しませてくれる。
実は同店を運営するトライドリンク(愛知県名古屋市、代表取締役 牧野充宏氏)の母体は主に中部、北陸エリアを営業範囲とする名古屋に本社を置く創業明治29年という大手老舗酒販卸サカツコーポレーション(愛知県名古屋市、代表取締役 牧野充宏氏)。以前より牧野氏はきちんとした日本の酒文化を次世代、後世に継承する飲食ビジネスの展開を考えていたという。そんなおり、石川県の奥能登にある老舗日本酒酒蔵、数馬酒造(石川県鳳珠郡、代表取締役 数馬嘉一郎氏)の数馬氏が、能登の休耕田を開拓し、栽培した米で日本酒を醸すという地域活性化のための活動に賛同し、コラボレーションしたという。北陸エリアを知る企業として、また同社のコンセプトでもある「つなぐ」に沿って、北陸の造り手と東京の飲み手を「つなぐ」場を具現化させたのが同店だ。
JR浜松町駅の金杉橋口から第一京浜に向かって伸びるビルの谷間のような路地で、軒先に下がる杉玉が日本酒専門店らしさを強調する。さほど広くないこの通り、実は近隣のビジネスマンが通勤路として朝夕数多く通る穴場的な場所だ。和をモダンシックにデザインしたガラリ戸が目を引く店は、蔵のように仕上げた空間のなかで白木の素材が際立つ。壁には額に入った日本酒の銘柄のラベルがギャラリーのように並び、おしゃれな雰囲気の女子目線の立ち呑みだ。
同店の最大のおすすめは、北陸三県の日本酒と料理を女将がペアリングで楽しませる「今週の対セット」(1500円)。このペアリング、日本酒を注ぐ杯、グラスのフォルムまでこだわり、ベストな状態で提供してくれる。また、一日置きに能登の漁師から水揚げ後そのまま直接届く鮮魚の「お造り」(時価)と、同様に農家から届く地場野菜。リアルタイムな現地の食文化が実感できるが、自然の産物のためおすすめは当日来店してのお楽しみ。定番では「竹葉酒粕漬けベーコン一本ステーキ」(980円)、「牛すじ豆腐の酒粕煮込み」(580円)や「酒米の糠を使ったぬか漬け」など、数馬酒造の酒粕や米糠まで無駄なく使う伝統的食を継承する料理が並ぶ。ほかに「福井のへしこのあらい」(390円)といった北陸三県の郷土の味のほか「自家製薫製沢庵と酒粕のポテトサラダ」(420円)など身近な酒場惣菜まで揃える。
日本酒のほとんどは北陸三県の酒蔵の銘柄でスペック違い約30種類。石川県では「竹葉能登大吟一回火入れ原酒(室限定スペック)」(500円)、「奥能登の白菊純米吟醸」(580円)、「大慶特別純米無濾過」(400円)。富山県では「福鶴山廃本醸造生原酒」(400円)、「有磯曙純米生原酒」(400円)。福井県では「越前岬槽搾り純米吟醸無濾過生原酒27BY」(500円)、「越の鷹辛口純米吟醸」(400円)など。数馬酒造「竹葉」ブランドをはじめ、地元酒を軸に東京エリアで飲むことが難しい銘柄にこだわりを見せる。ポーションは80mlで価格は300円から1000円まで。燗酒は1度単位まで温度管理にこだわり、倍量、倍価格となる。
牧野氏は日本酒、地域に限らず、今後も酒を軸にした飲食ビジネスの展開へ積極的であり、前向きに進めていくという。酒は人と人を「つなぐ」大切な文化であり、その酒を扱う業務用酒販店としての役割でもあり、スタンスと考えるからだ。
店舗データ
店名 | 日本酒 室MURO |
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住所 | 東京都港区浜松町2-8-10 Sビル1F |
アクセス | JR各線 浜松町駅から徒歩2分 都営大江戸線・浅草線 大門駅から徒歩4分 |
電話 | 03-6432-0408 |
営業時間 | ディナー【月〜金】16:00〜23:00、【土】14:00〜20:00 |
定休日 | 日・祝日 |
坪数客数 | 7.6坪・14人 |
客単価 | 2700円 |
運営会社 | 株式会社トライドリンク |
オープン日 | 2016年12月5日 |