西武新宿線沼袋の駅北口前に12月13日オープンした鮮魚酒場「炉端灰干し でぶろく魚類」、運営は高円寺で人気のイタリアン業態など6店舗を展開するタッチョモ(東京都杉並区 代表取締役秋元貴明氏)。鮮度も質も変わらないが、その分価格が安くなるという規格外の魚を指す市場用語である“でぶろく”。その用語の店名のまま、コンセプトは“安くて美味しい魚を提供する”というシンプルで明快な店だ。魚は日本海をはじめ各地の漁港、漁師から届く鮮魚と火山灰で魚を干すという珍しい灰干し干物が味わえる。
西武新宿線はメガターミナル新宿駅より都下を抜け埼玉までを繋ぐ住宅地を背景にした路線だ。新宿から5つ目、わずか12分の距離にある沼袋は、駅前に昔からの商店街を構えた私鉄沿線らしい日常生活に密着した街の景色が広がっている。ごく庶民的な街であるが意外にも新星もつ焼きの聖地として知られ、もつ焼きファンが通う。そんな街にはない安くて美味しい魚と希少な灰干し干物を味わってと欲しいと、あえて鮮魚業態を出店したのだ。
獲れたての鮮魚を火山灰でじっくりと熟成させる灰干し干物は通常の干物よりもフレッシュ感を残し、旨味が7倍になるという。そんな灰干しに魅了された同社の営業本部長の宮島宏明氏。東京では目にすることも少ない灰干しの美味しさを広げたいとの思いが「炉端灰干し でぶろく魚類」立ち上げのきっかけだったいう。イタリアン業態でスタートした同社であるが「新業態はスタッフが決めます」と代表の秋元氏は話す。秋元氏はイタリアで修行もした実力派のシェフだが、イタリアンだけにはこだわらず、スタッフのやる気、実力に任せている。実際に店にも立つエリアマネージャーの宮島氏は、糸魚川の漁師をはじめ漁港との縁を持ち、鮮魚の目利きと現場では魚をさばく。そして焼き台をまかされるのが炭火と向き合い7年、“炭と友達”と言われる焼き物のプロである店長の岩井誠氏。「炉端灰干し でぶろく魚類」は、その道のプロが魚介をより美味しくもてなす店である。
カウンターに設えた2m近くのアイスベッドには、漁港から直接届く多様な種類の鮮魚が並ぶ。おすすめはこれら鮮魚7〜8種類前後を盛り込んだ「刺盛り」(1680円/一人用880円)。「炉端」とあるように、自慢の炭火焼きで提供する灰干し干物は、秋刀魚、関青アジなど常時5〜6種類(680円〜)を置く。そのほか「アジフライ」(600円)、「ぶりの南蛮焼き」(750円)、「長芋の磯辺揚げ」(650円)、お酒のアテにはイクラ・トビコ・鶏卵を合わせた「らんらんらん」(480円)などメニューは豊富だが、すべて魚だけにこだわり肉は潔くオンメニューしない。焼き魚、煮魚はその日アイスベッドに並ぶ魚介で変わる。基本、料理は全て「ご飯セット」(250円)が可能で、ご飯の店としても使うことが出来る。ドリンクは岩井氏が担当する日本酒がおすすめ。なかでも常時置く宮城県閖上「佐々木酒造」の3銘柄「浪庵」(800円)、「冷瀧」(700円)、「閖」(600円)は地元以外、都内で飲むことが出来ない日本酒だ。高円寺「タッチョモ」のお客さんの友人ということもあり復興支援で繋がっているという。ほかに常時10種類ほど揃える冷酒は130mlオール500円で提供する。10種類ほど揃うサワーや酎ハイのなかで、凍らせたカットレモンを入れた「カチカチレモンサワー」(430円)はとくに人気だ。
場所がら一人客や週末にはファミリーも多いことから、ご飯を食べに立ち寄る客も珍しくないという同店。そんな気持ちを込めた、新鮮な魚介で飲んだり食べることも出来る同店は、まさに毎晩でも寄りたくなる“常夜酒場”だ。今後は、同店のように、潜在ニーズの開拓とマーケットチャンスを求め、西武線沿線での出店と、現在展開するケータリング&デリバリービジネスの活性化を考える秋元氏だ。
店舗データ
店名 | 炉端灰干し でぶろく魚類 |
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住所 | 東京都中野区沼袋1-34-25 |
アクセス | 西武線 沼袋駅北口より徒歩30秒 |
電話 | 03-6454-0390 |
営業時間 | 17:00〜2:00 |
定休日 | 日曜 |
坪数客数 | 10坪・22席 |
客単価 | 3600円 |
関連リンク | 炉端 灰干し でぶろく魚類(フースタキャリア) |