東急東横線 都立大学駅近くの線路沿いに1月16日、気軽なフランス料理と自然派ワインが楽しめる「hugo(ユーゴ)」がオープンした。店舗はビルの2階。店内のデザインは「有限会社 K+(ケイ・プラス)」(埼玉県川口市、代表者 皆川雅之氏)に依頼し、オープンキッチンと白い壁、木の家具の温もりある空間に仕上がっている。オーナーシェフの佐々木啓太氏は現在35歳。日本とフランスの数々のフランス料理店で経験を重ねた後独立した。子供の頃、昔ながらの商店街の近くに住んでいたこともあって、いつか自分らしい小さな店を持つことが夢だったという佐々木氏。10坪ほどの「hugo」はオープン間もないながらもどこか落ち着きがあり、料理の一皿ひと皿にも、佐々木氏の人柄が感じられるような温かさがある。
小さな頃から木工やプラモデルなどの物づくりが好きで、自らの手で何かをつくり出す仕事がしたかったという佐々木氏。大学に進学したが、飲食店でのアルバイトをきっかけに料理の世界に惹かれ、大学を中退し調理師学校に入った。いつかは自分の店を持ちたいと思っていたこともあり、最初に就職したのはオーナーシェフが夫婦で営む18席ほどのフレンチ「ラ・リューン」(麻布十番)。寝る間も惜しんで料理に打ち込むシェフのストイックな姿に憧れたという。その後中目黒のブラッスリー「Huit(ユイット)」やフランス料理店「ラ・レネット」(現在は閉店)を経てフランスに渡り、二つ星レストラン「シェ・リュッフェ」(当時一つ星)で1年間修行を積んだ。
「シェ・リュッフェ」はスペイン バスク州に接するフランス南西部、ピレネー山脈の麓に店を構えるレストラン。シェフのステファン・キャラード氏は土地の名産である鴨や鳩、フォワグラをはじめ、自らの故郷で採れる白いんげん豆やバスクで採れる魚を積極的に使うなど、地元の食材を大切にするという。一方、ワサビやみりん、ゆずなど日本の調味料も早くから取り入れ、食材へのこだわりと柔軟な発想の調理で人気を呼んでいる。このシェフの元でも、学ぶことは多かったそうだ。帰国後は渋谷の「シノワ」を経て、代々木上原「Gris」の立ち上げにあたりシェフに就任。様々な業態を経験しながら約3年半かけて「Gris」のスタイルを確立させ、この度の独立に至った。
「hugo」は気軽に普段使いできるような、カジュアルなフランス料理店。クラシックすぎず、かといってモダンすぎない、ニュートラルな店作りを目指すという。佐々木氏がその時最も美味しいと思う旬の食材を最もふさわしいと思う調理法で、自分らしい自然体の料理として食べて欲しいそうだ。写真の「仔羊のロースト 金柑 人参」(2,800円)は、肉質の良い仔羊に丁寧に火を入れ、心地よい歯切れと臭みのない肉の美味しさが楽しめるよう仕上げた一皿。じっくりとローストして旨味を引き出した金柑と千葉県「サンバファーム」の旬の野菜が添えられ、マッシュポテトと、仔羊のフォンにタメーリックでほんのりと香りをつけたソースが全体をまとめている。厳選した食材を丁寧な調理で仕上げた美しい料理だが、堅苦しさはなくどこか優しい。佐々木氏らしさが伝わる一皿だ。
メニュー構成は簡単なおつまみや冷・温前菜11種(600円〜1,600円)、メイン4種(2,600円〜3,200円)、デザート3種(各800円)、チーズの盛り合わせ(1,500円)。ドリンクは自然派ワインが中心で、グラスは800円〜1,200円(いずれも取材時の内容)。皿は笠間焼や益子焼を使用している。家具作りや陶芸などにも興味があり、自ら皿も焼いているという佐々木氏らしく、食器や店内の細部にもこだわりが感じられる。これから「hugo」を地元のお客様に愛される店に育て上げ、将来は2店舗目の出店も考えているそうだ。奥様の実家が飲食店向けに炭の卸をしていることもあり、炭火を使った店もやりたいのだとか。「hugo」と佐々木氏の今後に注目していきたい。
店舗データ
店名 | hugo(ユーゴ) |
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住所 | 東京都目黒区中根2-13-20 内田ビル2F |
アクセス | 都立大学駅から徒歩1分 |
電話 | 03-5726-9728 |
営業時間 | ランチ 12:00〜14:00 L.O.(土日祝のみ) ディナー 17:30〜22:00 L.O. |
定休日 | 水曜日 |
坪数客数 | 10坪・16席 |
客単価 | ランチ 3,000円/ディナー 6,000円 |
関連リンク | hugo(FB) |