東日本橋、馬喰町、浅草橋、馬喰横山、いずれの駅からも徒歩数分圏内。問屋街として知られるこのエリアに、泡とサンドイッチを主力にしたネオビストロ「Doors」が1月11日にオープンした。オーナーは株式会社サード・プレイスの磯村 幸子氏。自身の1号店であるお好み焼き屋から一転、軽食の代名詞ともいえるサンドイッチを、スパークリングワインとペアリングすることで、料理の領域に押し上げ、新たなジャンルを開拓しようと試みたのが同店だ。「ほんの少し背伸びをして、いつもとちょっと違う扉を開く感覚で訪れてほしい」との思いを込めて名付けた「Doors」は、靖国通り沿いにあるビルの2階に店を構える。店内は通り側が全面窓ガラスになっており開放感に溢れている。キッチンを見渡せるカウンター、テーブル・ソファー席はいずれも空間にゆとりある配置で、コンセプトに即した店づくりがなされている。
下町・浅草に生まれた磯村氏は、新宿三丁目で日本料理店を営む両親のもとで育った。それゆえ、迷うことなく自らも同じ道に進むべくキャリアを築いてきた。明治記念館内にある日本料理店で長らくサービスに従事した後、海外へ留学。帰国後は英語を活かして働きつつも、独立のために経営・マーケティングの勉強に励んだ。そして2011年、念願叶って本郷三丁目に「こな屋」をオープンさせた。4年の歳月をかけて店を軌道にのせ、2015年の夏頃より2号店の出店に向けて始動。父親の影響もあってか、今度は「すっぽん」で勝負しようと熊本の養殖場と話を進めていたが、大地震により断念せざるを得ない状況となり、すっぽん業態の夢は少し先送りとなった。そんな折に同店でシェフを務める鷹羽司 雄基氏と出会う。個店のフレンチや「DAZZLE」で研鑽を積んだ鷹羽司氏には、穏やかな外見からは想像しがたい、フランス料理に賭ける熱い想いとビジョンを抱いていたという。業態を模索する磯村氏と場を探す鷹羽司氏は、両者を補完しあう形で出店に向けて歩み始めたそうだ。
今回、シェフの鷹羽司氏が胸を張って提供するのは「国産牛ステーキとリンゴのサンドイッチ」(1650円)、「フランス産鴨とオレンジのサンドイッチ」(1650円)、「大山鶏とアボカドの自家製ブリオッシュサンド ブルーベリーソース」(1550円)の3種。コース料理のメインディッシュさながら、いずれもフレンチらしい肉料理とフルーツの取り合わせだ。サンドイッチの要、パンは“地場産”を意識し、地元で長く営むパン屋から仕入れているが、ブリオッシュのみ自家製で焼き上げている。また、食べやすさにも配慮し、具材のボリューム感、食材ひとつひとつの手の加え方、サンドイッチの大きさなどシェフの計算は細部にまで及ぶ。見た目にも品があり、フルートグラスを傾けるにふさわしいサンドイッチだ。これら以外にも、前菜から一品料理、メインからデザートに至るまで様々な料理が用意されている。
これらに合わせる泡は、「樽生スパークリング グラス」(白・赤とも490円)。白・赤どちらもあるので気分や好みに合わせて選びたい。また500mlのデキャンタ(白・赤とも2000円)も用意。ボトルに関しては、磯村氏が「本当に感動したものだけを揃えました」と話す通り、造り手の想いやストーリーが詰まった銘柄を厳選。イタリア・フランス産のものを3800円~12000円まで価格帯に幅を持たせてラインナップした。もちろんスパークリングワイン以外にもスティルワインは白・赤合わせて40種ほどがリストに並んでいるため、泡から始まり、料理とともに白から赤へと飲み進めることもできる。
「居心地の良さの中にも、特別感やVIP感を演出できるように」と、サービスや空間づくりのこだわりにも意欲を見せる磯村氏。「泡好きの女性にはもちろん、そうでない男性にも新しい扉を叩く感覚で来てもらいたい」と話していた。生まれ育った浅草にほど近い下町・問屋街で、まだあまり例を見ないこの業態を根付かせ「いずれは他の街にもひとつひとつ展開していきたい」という磯村氏のチャレンジは、今ようやく始まったばかりだ。
店舗データ
店名 | Doors(ドアーズ) |
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住所 | 東京都中央区東日本橋2-16-10マンションヴィップ東日本橋2F |
アクセス | JR 総武線 浅草橋駅・総武本線 馬喰町駅から徒歩5分 都営浅草線 東日本橋駅から徒歩2分 都営新宿線 馬喰横山駅から徒歩6分 |
電話 | 03-5823-4311 |
営業時間 | 11:00~23:00(22:30LO) |
定休日 | 日・祝日 |
坪数客数 | 42坪・46席 |
客単価 | 3500円 |
運営会社 | 株式会社サード・プレイス |