中目黒にまた、おもしろい店ができた。7月1日、中目黒駅近くに店を構えたFIREWORK(東京都目黒区/代表取締役 伊藤大輔氏)の1号店、伊勢海老がメインの和創作ビストロ「眞か-SHINKA-」。代表・伊藤氏が謳う「食×伝統×ファッション」というアイコニックなテーマを下支えするのは、前職で磨かれた経営者感覚と強烈な挑戦者意識だ。
自身を「“壁”があるほど燃えるタイプ」と分析する伊藤氏。飲食業界へ転身する前は、8年間アパレル業界に身を置いた。ブランドの立ち上げから携わった会社が念願の上場を遂げたとき、心は次の“壁”を探していたという。「前の会社は入社当初から企画や仕入れ、採用まですべて経営者のつもりで仕事するスタイルだった。それが今の自分のスタンダードになっている」。独立志向はあったが、飲食で勝負すると決めていたわけではなかったという。「いろいろな縁があって飲食でやると決めたが、僕にとって業界=ツールみたいなもの。0から1にする作業の中で自分がどういう生き方をして、どう変化していくかということに重きを置いている。アパレル時代も、全国展開に向けて没頭していたときが一番生きている心地がしていた」。
開店にあたり、自らに設けた“壁”の一つが、多くの業態において初動を支える条件ともいえる「立地」だ。同店があるのは奥まった路地裏。攻めた立地について「店名には<進化>の意味もある。初めからお客さんが来やすい環境では成長できない。お客さんが来にくい場所でどれだけ発信できるのか。今は会社の文化を作る大事な時期だと考えている」と話す。
食材は全国をめぐり、見て触れたものを産地直送で仕入れる。メインの伊勢海老は、活伊勢海老のステーキ(980円~)や伊勢海老と季節野菜のポタージュ(980円)、伊勢海老のサラダ仕立て(1580円)と、リーズナブルに提供。また、アパレル時代の感性から料理=コレクションと捉え、春夏/秋冬シーズンごとにメニューを刷新する予定だ。ワインは惚れ込んだ国内生産者のものをグラス680円・ボトル4500円から。
柱に据えるのは一見キャッチ―な食材だが、伊藤氏はここをトレンディな店にするつもりはない。理念の一つに「伝統を伝える」を置き、器に備前焼や唐津焼などの伝統陶器を使い食体験に付加価値を与え、2階と3階の踊り場、ギャラリースペースでは若手陶芸家の器の販売にも取り組む。美術館然とした上質なカウンター空間も、器が美しく見えるよう計算してのこと。
今後は実店舗に加え、来年に開設予定のウェブショップにも力を入れていくという伊藤氏。高い加工技術を持ちながら高齢化や販路未開拓などの問題を抱える地方産業とのコラボレートや、若手陶芸家の支援に注力し、いずれはヨーロッパや中国圏への進出も視野に入れていると展望を語った。
店舗データ
店名 | 眞か-SHINKA- |
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住所 | 東京都目黒区上目黒 2-7-10 北上ビル 1F-3F |
アクセス | 中目黒駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6303-0862 |
営業時間 | 17:30〜25:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 55坪・50席 |
客単価 | 5000~6000円 |
運営会社 | FIREWORK |
関連リンク | 眞か-SHINKA-(FB) |
関連リンク | 眞か-SHINKA-(HP) |