中野駅南口近くのレンガ坂に9月15日、「麦酒大学(ビールだいがく)」がオープンした。現在日本で唯一、「キリンラガービール」の注ぎ分けを行っているビアバーだ。ビルの2階が立ち飲みフロア、3階がテーブルフロア+テラスの2フロア構成。オーナーの山本祥三氏が立つ2階の立ち飲みフロアは壁2面全面が黒板になっていて、お客の好奇心をくすぐる“大学”らしい雰囲気を醸している。さらに目を引くのがカウンターに設置された4基のビアサーバー。うち1基はヱビスビール記念館に保管されている昭和8年当時のものを忠実に再現したレプリカだ。このサーバーと現代のサーバーを使い、様々に注ぎ分けたキリンラガーの生ビールを提供している。
メインの注ぎ分けは、現代のビアサーバーを使った現代風の「麦酒大学注ぎ」、銀座ライオンと同じ昔ながらのスタイルの「一度注ぎ」、昭和20年代〜40年代頃の居酒屋隆盛期に主流だった「二度注ぎ」、キリンシティと同じドイツスタイルの「三度注ぎ」の4種。「一度注ぎ」はシャープな味わいを、「二度注ぎ」はクリーミーな泡を、「三度注ぎ」は苦味を抑えたマイルドな味わいを楽しむことができる。現在はさらに6種の注ぎ分けをメニューに追加。日々異なるビールの状態を見分け、細やかかつ正確に注ぎ分けられるのは山本氏の知識と技術があってこそ。サーバーの洗浄も水を流すだけではなく、毎日必ず全ての部品をバラしてブラシで洗い、完璧な管理を行っている。
山本氏は、業務用酒類卸業「広島屋」で約20年間勤務したのち、自らが生まれ育った町である中野に「麦酒大学」を構え独立した。「広島屋」ではビール担当として飲食店を回り、ビールサーバーのメンテナンスをレクチャーしていたという。「洗いたてのサーバーで注ぐ生ビールの味わいは格別です。そのおいしさに驚くお客様の笑顔を見るのが大好きで。もっともっとお客様を喜ばせたいという思いでこの店を開きました」と語る山本氏。山本氏は子供の頃から料理人になるのが夢で調理師免許も取得したが、ビールに出会い魅せられて、この道を突き進んだ。世界最高峰の技術と味を誇る日本のビール。何でもいいからとりあえず、ではなくて、日本のビールの奥深さとその楽しみ方を知ってほしいという。
注ぎ分けの技術は、広島「ビールスタンド重富」の重富寛氏に学び、「麦酒大学」は旨味と苦味がしっかりとしている「キリンラガービール」専門の店とした。“大学”にしたのは、ビールの奥深さを学ぶ楽しさを知ってほしいという思いから。店内にはビールサーバーの部品や、ビールにまつわる資料、様々な形のビアグラスなどが展示され、黒板に書かれた注ぎ分けの説明や豆知識なども興味をそそる。内装の仕上げは株式会社ヌリーズに依頼。壁一面の黒板や立ち飲みテーブルの塗装などにもこだわったという。1フロアを立ち飲みにしたのも、「日本のビールは座って前かがみに飲むより、立って上向きにグッとあおった方が断然旨いから」。ビールの好きな人も、苦手だった人も、ワクワクしながら新たな発見をしてほしいという思いが、ビールの注ぎ分けはもちろん、店の細かな部分にも現れている。
山本氏は中野の食べ歩きバルイベント「まちなかのバル」の実行委員長も務めている。2015年のスタートから、次回で9度目の開催となる「まちなかのバル」。大好きな中野にもっと人を呼び、遠くからも足を運んでもらって、中野の飲食店の魅力を知ってほしいという思いで活動している。「麦酒大学」も現在は「キリンラガービール」単一科目の“カレッジ”だが、今後は店舗を増やし、他の銘柄も扱う総合大学=“ユニバーシティ”を目指したいそうだ。ゆくゆくは飲食店向け・一般のお客向けのセミナーも開催し、お店でも自宅でももっと多くの人にビールを美味しく楽しんでほしいという山本氏。「麦酒大学」を通して、今後も日本のビールと中野を盛り上げていく。
店舗データ
店名 | 麦酒大学(ビールだいがく) |
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住所 | 東京都中野区中野3-34-23 辻ビル 2階・3階 |
アクセス | 中野駅から徒歩2分 |
電話 | 03-4291-8571 |
営業時間 | 17:00〜24:00 |
定休日 | 日曜日 |
坪数客数 | 16坪・2階 立飲み15人、3階16席+テラス4席 |
客単価 | 3,200円 |
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