「住みたい街No.1」常連の街・吉祥寺。新旧の歴史や文化、個性が混在し、古くから続く商店や多くの学生、ファミリーで活気に満ちた街だ。吉祥寺駅を中心に数多の店が広がり、飲食激戦エリアでもある。2015年12月20日、和牛熟成肉とワインの「吉祥寺ワインバルBiBBER(ビバー)」がオープンした。場所は、駅南口から吉祥寺通りを5分ほど下ったところ。多くの観光客が訪れる井の頭恩賜公園を臨む立地だ。経営は、Dress Circle(東京都府中市、代表取締役 雨宮春仁氏)。2005年、鮮魚居酒屋「とくとうせき」を府中に出店し創業。続いて府中、調布エリアに3店舗を展開。今回の吉祥寺店は5店舗目にして、初めてのエリアでの挑戦となる。代表の雨宮氏は「駅から少し離れていますが、お客様にわざわざ足を運んでいただける店になるよう日々試行錯誤しています」と語る。
同店の魅力はなんといっても、〝本物〟をリーズナブルに提供している点だろう。メイン食材である和牛熟成肉は、鑑定書とともに厳選した産地からのみ国産黒毛和牛を仕入れ、それを独自の方法で熟成をかけ、常に高い品質を保っている。野菜は、契約農家の無農薬栽培のものを直送。ワインは、ボトルで1980円からと、高級なグランヴァンも気軽に楽しめる価格で提供している。同氏がここまで追求するには、あることがきっかけだったという。「飲食業界の先輩に、『おいしいね。だけど、二度とこない』と言われたんです。『どうしてか』と聞くと、『おいしいけど、どこでも食べられる味だから。ここでしか体験できないものが何一つないからだよ』と指摘されたんです。この言葉で火がついて、食材も製法も価格も運営もすべて一から作り直しましたよ」と話す。
雨宮氏はもともと全国にチェーン展開する大手飲食企業で料理人として腕を磨いていた。同氏がいた頃は、チェーン店といっても、すべて店舗内で手作りだったそうだ。「一日何百本も手羽先の仕込みをしたり、焼鳥の串打ちをしたり大変でしたけど、そこで相当基礎体力がつきましたね」と当時を振り返る。学生時代に飲食の世界に足を踏み入れ、それから一筋。30歳で独立をすると心に誓い、一店舗目を地元に開いた。これまで培ってきたノウハウをフルに生かして、着実に地元の常連客をつけていった。その矢先、あの言葉があった。効率的でシステマティックな運営だけでは、真に魅力ある店にはなれない、ということを痛感し、早速各地の産地を飛び回った。すべては「うちの店でしか体験できない食事」のために。
野菜は、山梨県甲州市の契約農家「マル神農園」から旬の無農薬栽培されたものを仕入れる。厳選したワインやステーキなどを100円で提供するイベントを開催したり、生ハムをテーブルで切り分けるなどパフォーマンスを増やし、食べる以外にも客が楽しめる要素を盛り込んだり、日々工夫を重ねることを怠らない。
フードメニューは、目玉となる「国産黒毛和牛の熟成肉3点盛り」(1880円)、「国産黒毛和牛の熟成肉ハンバーグ」(1280円)などのこだわりの熟成肉を中心に構成する。契約農家の野菜を使用した「マル神農園の無農薬野菜のバーニャカウダ」(1280円)、旬の食材を使った「自家製ピッツァ」(常時3種類、880〜1280円)、「自家製白レバーのパテ」(480円)など、家族の健康を気づかう主婦層にもウケがいいメニューが並ぶ。ワインはボトル1980円、2980円、3980円とリーズナブルな3つの価格帯で提供する。初心者でも手軽に様々な種類のワインを楽しめる。また、月替わりで特定の産地の日本ワインを打ち出す取り組みにも力を入れている。
スタッフには接客から経営まで習得し、独立できるよう教育にも熱心な同氏。今後は、都内で10店舗の出店を目指すという。将来的には日本食の価値を国外へ広めたいとの思いから、海外出店も視野に入れているようだ。同社の新たな挑戦が、飲食激戦区・吉祥寺に新たな流れをつくることだろう。
店舗データ
店名 | 吉祥寺ワインバルBiBBER(ビバー) |
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住所 | 東京都武蔵野市御殿山御殿山1-5-7 コア吉祥寺1F |
アクセス | JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩5分 |
電話 | 0422-79-9480 |
営業時間 | ランチ 11:30〜15:00 ディナー 月〜金 16:00〜24:00、土日祝 15:00〜24:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 20坪・ 29席 |
客単価 | ランチ1000円、ディナー3500円 |
運営会社 | Dress Circle(ドレス・サークル) |
関連リンク | 吉祥寺ワインバルBiBBER(FB) |
関連リンク | Dress Circle(HP) |