古くから高級住宅街として知られ、現在は数々のオフィスや大学、大使館が集まる市ヶ谷。駅を降り、神田川を右手に外堀通りを飯田橋の方へと5分ほど歩くと、真っ赤な看板に行き当たる。2月3日にオープンした注目の焼肉店「炭火ホルモン焼のネバーランド」だ。レトロな白い扉を押して店内に足を踏み入れると、ランチタイムからホルモン焼を楽しむ女性客で賑わう。同店を経営するのは、戸越にも1店舗目を持つ澤田泰広氏だ。「ホルモン焼」というと、各テーブルで客自身が肉を焼くスタイルを想像するが、同店はすべて厨房で調理したものを提供する、新しいスタイルの焼肉店だ。
もともと澤田氏は、イタリアンなどを経て、有名焼肉店「ふたご」で研鑽を積んできた。共同創業者の上野俊樹氏とは浅草出身の幼なじみ。彼も有名焼肉店「亀戸ホルモン」で店長をつとめた飲食人だ。両氏は独立を考えはじめた時期や「焼肉」という方向性が一致。2014年、戸越銀座商店街に1号店「炭火ホルモン焼のネバーランド」を創業した。良質な食材、ハイレベルに追求された味、アイデアに富んだメニューがうけ、瞬く間に地元の名店として認知されるようになった。
店名の「ネバーランド」の意味を尋ねると、「『ネバーランド』という言葉は誰もが知っていますが、実際は誰も知らない世界。だけど、なんだか楽しそうで、ワクワクしますよね。私たちも食を通じて、みなさまに日常を離れて楽しいと思ってもらえる店を目指しています」と話してくれた。遊び心溢れるアメリカンレトロ風の内装も、自身で作りあげたという。店内の階段を上がると、ちゃぶ台が4つ置かれたロフトスペースが広がり、まるで自分たちだけの「秘密基地」に来たような隠れ家気分に浸ることできる。
同店が提案する新しいホルモン焼のスタイルとは。「ホルモン焼は、焼き方によって味がかなり違ってきます。当店は、部位に酔って異なる焼き方を知り尽くしたプロが、すべて厨房で調理してからお出ししています。洋服などににおいが付きにくく、火傷の心配がないのも利点です」と澤田氏。自身の経験を生かしてイタリアンの要素も取り入れる。一皿の量をおさえ、アラカルトを選ぶようにより多種類のメニューを楽しめるよう配慮。そのため、メニューのバラエティも豊富に揃えている。
新たな中心メニューに据えるのは市ヶ谷店限定の「名物ホルしゃぶ鍋」(1480円)だ。 ホソ、珍ハラミ、タンすじなどのホルモンとともに野菜をしゃぶしゃぶにして食べる。〆には定番の雑炊のほか、そうめんや生パスタなども用意する。肉は、牛はホソ、ハツ、ミノ、ホルモンを、豚はシロコロ、ミミガー、病みつきガツ、カシラ、クツベラをそれぞれ390円で提供。「ホルモンが苦手な方に」と、「牛ハラミ」(800円)や「10食限定リブロース丼」(1980円)などの提案も。サイドメニューには、野沢菜を使った激辛の「半殺しキムチ」(480円)や「チーズたっぷり!!トマトすじ煮」(480円)、「ゴマとネギたっぷり一口素麺」(480円)などを用意。さらに、日々新たなメニューを開発しては、SNSを通じて発信している。
オープンから3ヶ月。2店舗目の感触はどうだろうか。「戸越に比べてまだまだ新規のお客様は少ないですが、リピートしてくれる方がかなり多いのがうれしいです」と同氏。新たな地での出だしは上々のようだ。創業の地・戸越とは異なる客層や地域色を探りながら、1号店と同様、地元に根付く「ネバーランド」を目指す。「厨房で調理するという独自のホルモン焼スタイルをまずは定着させたいですね。そこから七輪を使うスタイルも考えています」。彼らの挑戦は始まったばかり。「焼肉」という枠を超えて、飲食業界に新しい風を吹き込む存在になっていく。そう予感させる店がまたひとつ誕生した。
店舗データ
店名 | 炭火ホルモン焼のネバーランド |
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住所 | 東京都新宿区市谷田町3-2 トゥービル1F |
アクセス | JR総武線、東京メトロ有楽町・南北線、都営新宿線市ヶ谷駅から徒歩5分 |
電話 | 03-5579-2989 |
営業時間 | ランチ 11:00〜14:00 ディナー17:30〜22:00 |
定休日 | 日曜、年末年始 |
坪数客数 | 12坪・ 30席 |
客単価 | ランチ1000円、ディナー3500円 |
運営会社 | 炭火ホルモン焼のネバーランド |
関連リンク | 炭火ホルモン焼のネバーランド市ヶ谷店(FB) |
関連リンク | 炭火ホルモン焼のネバーランド(HP) |