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大野太陽氏が仕掛ける新たなムーブメント。大衆ガストロノミーなフレンチレストラン「Les Petits Plats(レ・プチ・プラット)」が蒲田に3月28日オープン

夜間は、ガラス張りから漏れる淡い光に誘われて入店する方も多いという
店内にはテーブル席だけでなく、バーカウンターも用意されている
色彩のバランスがよく華やかな印象もある「和牛の巾着」(550円)
器や盛り付け方など、細部まで強いこだわりを感じられる「マグロのコンフィ」(450円)
「Les Petits Plats(レ・プチ・プラット)」の店主である大野太陽氏

(取材=三輪 大輔)


蒲田駅東口からロータリーを右手に見ながら進んでいくと、大衆酒場や老舗の飲食店などが混在するエリアに入り込む。そのまま道なりに歩いていけば、突如として、一面ガラス張りでレンガ作りの建物が現れる。3月28日にオープンした「Les Petits Plats(レ・プチ・プラット)」(店主 大野太陽氏)だ。手掛けるのは「からあげバル ハイカラ」や「パスタバール TASPA」などで飲食業界を席巻した大野氏である。同店では「大衆ガストロノミー」なフレンチレストランをテーマにした、本格的なフレンチをカジュアルに提供していく。

同氏にとって、今回の店舗は原点回帰の場であると同時に、再挑戦のステージでもある。同氏は2000年に、23歳という若さで独立。友人と二人で会社を立ち上げて、弁当を販売する店舗を運営していた。その後、別々の道に進むことになったが、同氏は飲食業界に身を置き続ける。シンプライズを設立し、飲食業界で10年以上に渡り、多くのブランドを成功に導いてきた。しかし2014年に転機が訪れる。会社を畳むことになったのだ。当時の心境を同氏は「効率や収益性だけを求める手法に疑問を感じていました。オペレーション重視の店が、本当に魅力的な店と言えるのだろうか。初めて、飲食業界に飛び込んだ時に味わった楽しさを見失っていましたね」と語る。飲食人として、自分が求めていきたいものは何か。「からあげバル ハイカラ 新小岩店」の一店長として働きながら、それを追求していたという。やがて答えのヒントが、人との繋がりの中からやってきた。それがフレンチとの出会いである。

実は、同店の前にも、この場所で別の人物がフレンチレストランを運営しており、知人の紹介を介してその人に出会った。その頃の様子を同氏は「当初は店舗プロデューサーとして携わっていましたが、オーナーが店を畳むタイミングで、私が引き継ぐことになりました。しかし、今までフレンチの経験はありません。ちょうどそのとき、かつて私の会社でアルバイトとして働いていた窪川玄(くぼかわ・げん)と再会します。彼はフレンチレストランで着々とキャリアを積んでいて、たまたま独立も視野に入れて会社を辞めたばかりだったので、共同経営で一緒にやることにしたのです」と話す。こうして、同氏の培ってきたノウハウとかつての仲間のキャリアから生み出されたのが、本格的なフレンチをカジュアルに提供するスタイルだ。「フレンチといえば、かつては格式ばったスタイルでした。ただ最近では、フランス本国でもネオビストロのようにレストランのサービスをカジュアルに提供するスタイルが主流となってきています。一方で、日本のマーケットで盛り上がりを見せているのは、ビストロやバルなどのカジュアルスタイルの店です。その2つの流れから、それぞれの魅力を持ち込んだ大衆ガストロノミーというアイデアを思いつきました」と同氏。

店名の「Petits Plats」には、「小さなお皿」という意味がある。その店名の通り、同店ではフレンチのコースで出されているメニューを、1つのポーションからオーダーすることが可能だ。メニューには「信玄鶏胸肉の蒸し焼き 赤キャベツのソース」(1200円)や「フランス産鴨のロースト オレンジ風味のソース」(2300円)などの本格的な料理から、「漢方和牛の巾着 冷たいジュレ」 (600円)「マグロのコンフィと葱の一皿」(500円)まで、幅広くラインアップされている。食材にも力を入れており、宮城県の関村牧場で自然交配された「漢方和牛」や山梨県甲斐産の「信玄鶏」をはじめ、博多漁港で水揚げされる鮮魚や福岡県糸島産の野菜などを使用しており、「見た目が美しく、体に優しい」メニューが揃う。アルコールについては、正統派のフレンチレストランでは難しい自由な提案を行っており、ワインはもちろん、自家製サングリアや梅酒、日本酒などのほかに、フランスのクラフトビール「アノステーケIPA」(1200円)も用意されている。

今後のビジョンについて、同氏は「地元に根付いて、街の景色の一部に溶け込む店にしていきたいですね。蒲田は、住宅とオフィス、繁華街が混在しているため、昔から住んでいる方や空港関係者をはじめとしたビジネスマン、旅行客など、幅広い層がいます。蒲田と言えば、大衆酒場のイメージがあるかもしれません。しかし実は、懐の深い街なのです。そのため本格的な料理に対するニーズがとても高く、当店も好評をいただいています」と語る。現在、「自分が楽しくて、やりがいを感じ、お客様も満足してくれる」状況から、飲食人としての原点を思い出しているという。「飲食とは、探求の旅である」と目を輝かせながら話す大野氏の新しい挑戦は、まだ始まったばかりである。

店舗データ

店名 Les Petits Plats(レ・プチ・プラット)
住所 東京都大田区蒲田5‐12‐1

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アクセス JR・東急蒲田駅から徒歩2分
電話 03-6715-8815
営業時間 17:00~3:00
定休日 月曜日
坪数客数 17坪・30席
客単価 4,000円
関連リンク Les Petits Plats(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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