北千住駅東口から徒歩3分、商店街の脇道すぐの好立地にブルーパブ(ビール〔※酒税法上発泡酒区分、以下同〕の醸造所を併設した飲食店)「さかづきBrewing(さかづき ブルーイング)」が3月1日オープンした。同店を運営するのは、合同会社さかづきの代表 金山尚子(かなやま しょうこ)氏。金山氏は、アサヒビールで醸造や商品開発、醸造技術開発に携わったという経歴の持ち主だ。自身が想う、より自由なスタイルのビールをつくりたいと考え独立し、同店のオープンに至った。開店するなら商店街が元気な街にと、苦労の末、北千住の物件を選び、醸造の設備は同じくアサヒビール出身の夫と2人で設置した。クラウドファウンディングを活用することで宣伝効果もあり、開店後の客足は順調のようだ。
ビールは、金山氏が併設の醸造所でつくるオリジナルレシピのもの数種とあわせて、「アサヒスーパードライ」を提供。大手メーカーのビールも人の手で心を込めて醸造しているという実体験から、「マイクロブルワリーのビールも大手メーカーのものもビールの1スタイルとしてわけ隔てせず飲んでほしい」という思いがこのラインナップに込められている。オリジナルビールはベルジャンスタイルの「ブロンドエール」やアメリカンスタイルの「ペールエール」、すっきりとした飲み口の「ドライスタウト」など(取材時)、さまざまなスタイルを提供(各300ml 540円)。バラエティーに富む麦芽、ホップ、酵母の個々の特長を引き出し、それぞれを主役としたビールスタイルを基本としつつ、ゆくゆくはフルーツビールやエイジングなど、さらに自由なビールにも挑戦したいと考えている。
オープン後は予想以上に来客が多く、ビールの醸造が間に合わないほど。休む間もなく次々と新しいビールを仕込んでいる状態だ。限られた人手と設備で、酵母という生き物を相手に日々変化するビールを育てながら、店舗としてコンスタントに提供し続ける大変さ、楽しさが垣間見える。飲み手も、訪れるたびに表情の違うその日の“リアルなビール”を楽しみたいと思うのだろう。醸造家がその場でビールをつくり、できたてを提供する“ブルーパブ”は、現在人気を高めつつある。同店にもブルーパブを開店したいという人が多数訪れるという。醸造家と飲み手が直接相対し言葉を交わしながらビールを楽しむという、一歩踏み込んだ体験型のパブの形として、今後も注目が集まりそうだ。
「さかづきBrewing」のもうひとつの魅力はフードメニュー。ビアパブといえばフードメニューはあまり多くないという店も少なくない。食べるのも大好きだという金山氏は、ビアパブへ行くたびにフードメニューが少なくて寂しい思いをした。そこで同店では、ドイツ料理で30年以上のキャリアを持つシェフが料理を担当し、おつまみから野菜、魚介、肉、食事と幅広く豊富な品数を提供している。「ソーセージ」(1本 450円、3本盛り合せ 1,250円)は独・DLG金賞受賞のマイスターによるもので、食べ応えがあるよう少し大きめに、特別にオーダーしたもの。シェフが数日かけて仕込み、やわらかく深い味わいに仕上げた「ポークスペアリブ」(980円)も人気のメニューだ。
北千住の駅近く、活気ある商店街を開店の地に選んだ「さかづきBrewing」。たくさんの住宅に囲まれた立地で、老若男女が集うような、街の生活に密着した店づくりを目指している。開放的な広い店舗で、フードメニューが充実しノンアルコールも用意しているので、ファミリーでの利用にも適している。取材中も店前を通りかかった高齢者に声をかけられるなど、幅広い年齢層から注目されているようだ。仕事帰りのひとり飲みもよし、ファミリーでの食事にもよし。今後さまざまなスタイルで楽しめることが期待される。はつらつとビールづくりを楽しむ金山氏の「さかづきBrewing」。地元に愛される北千住の名店となりそうだ。
店舗データ
店名 | さかづきBrewing(さかづき ブルーイング) |
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住所 | 東京都足立区千住旭町11-10 コルディアーレ1F |
アクセス | JR、東京メトロ千代田線・日比谷線、東武線 北千住駅 東口から徒歩3分 |
電話 | 03-5284-9432 |
営業時間 | 水〜金 16:00〜22:00(LO) 土 13:00〜22:00(LO) 日・祝 13:00〜21:00(LO) |
定休日 | 月・火 |
坪数客数 | 21.1坪 30席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | 合同会社さかづき |
関連リンク | さかづきBrewing(FB) |