2008年10月に吉祥寺駅から少し離れた場所に、日本酒居酒屋「ひまり屋」が開業し、地元の日本酒好きの間でたちまち評判店となった。2011年4月には西荻窪に2号店「勝手口 ひまり屋」がオープン、そして今年6月1日に3号店となる「吉祥寺銘酒立呑 米○(こめまる)」が吉祥寺駅南口から徒歩1分のビル地下階にオープンした。同店は、全品500円(税込)の低価格ながら、しっかりした銘酒を揃え(90mm・126mm:500円)、日本酒に合うあて料理も充実の高コスパと評判を呼んでいる注目店だ。経営は、エイト(東京都武蔵野市、代表:加藤洋平氏)。代表の加藤氏は、高校時代に寿司屋でバイトを始めたことがきっかけで、飲食業界に興味を持ち、その後「二代目魚玉」(調布)や「博多串焼もつ鍋 よだれ屋 鬼瓦」(府中)を運営するYDRに勤務。「二代目魚玉」の店長を20代前半で任されたり、また渋谷の「炉端 五代目 よだれ屋」の立ち上げの責任者など幅広く経験を積んだ。
「東京出身で田舎がなかったので、田舎の風景への憧れもありましたし、それまで日本酒を売るだけで、造り手の蔵元さんの所へ行ったことがなかったんです。だからバイクで全国を回って、各地の蔵元さんを訪ねたりしました。それで地方の良さ、日本の良さを改めて感じ、日本酒の魅力にハマりました」と、日本酒をコンセプトにした理由を加藤氏は語る。特に、佐賀では銘酒「鍋島」に出会い、唐津焼の酒器などにも触れ、地元の酒の肴を食するなど、日本酒を軸に広がる日本文化の素晴らしさを実感したという。3店舗目となる同店は、既存店に比べよりカジュアルながらも、47都道府県の全ての日本酒を揃えるという加藤氏の強いこだわりがうかがえる。東京に居ながら自分の出身地の酒を飲み、田舎を思い出し、日本の良さを味わい楽しんでもらいたいと話す。
日本酒の取り揃えは、南は沖縄から北は北海道まで47都道府県、全ての日本酒がライナップ。種類によって五勺と七勺となっているが、価格は500円均一となっている。季節ごとに「旬」の日本酒を楽しんでもらいたと、その時に一押しのものがオンメニュ―している。各地の日本酒の味を満喫してもらいたいとの思いから、全国制覇を気軽に目指せるスタンプカードも導入。日本地図の形が印刷されたカードには、1種類を飲み終えるごとに、1スタンプが押される。こんなちょっとした遊び心も、加藤氏のアイディアであり、お客さん同士のコミュニケーションにも一役買う楽しいツールとなっている。
料理は、すぐに出せる小鉢もの(2品で500円)などのグランドメニューと、本日の鮮魚や旬のメニュー、今秋から始めた「おでん」(お好み4品)など、日本酒に合う料理が並ぶ。「卵黄味噌漬け」「なめろう」「明太子」「刺身」などは、人気の品々でオーダー率が高い。また焼き魚も人気で、取材当日は、「秋刀魚塩焼」がオススメに載っていた。サクッと呑んでつまんで明瞭会計の同店は、待ち合わせ前のちょっと一杯に、また2・3軒目使いにも重宝する使い勝手の良い店として浸透しつつあるようだ。
「まずは店の認知度を上げ、日本酒をもっと盛り上げて行きたいですね。最初の店をオープンしてからの7年間で、蔵元がずいぶんクローズして減っていますから。日本には日本酒という素晴らしい酒があることをもっと多くの人に伝えていけたら」と語る加藤氏。日本酒愛に溢れる同氏だからこそできる方法で、昨今の日本酒ブームを、単なるブームで終わらせず、日本酒の真の魅力、美味しさを、今後も益々広げていくに違いない。
店舗データ
店名 | 吉祥寺銘酒立呑 米〇(こめまる) |
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住所 | 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-5-11 丸善ビル B1F |
アクセス | JR・京王井の頭線吉祥寺駅南口より徒歩1分 |
電話 | 0422-24-9222 |
営業時間 | 月~金 17:00~1:00、土 15:00~1:00、日・祝日 14:00~22:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 10坪・15人(イス席10) |
客単価 | 3000円台 |
運営会社 | 株式会社エイト |
関連リンク | ひまり屋 |
関連リンク | 吉祥寺銘酒立呑 米〇 (FB) |