毎年8月15日を中心に行われる3年に1度の例大祭・深川八幡祭が江戸三大祭りの一つに数えられ、江戸勧進相撲の発祥の地としても知られる富岡八幡。その門前であり、下町を代表する商業の街でもある門前仲町に、仙台のスタイルスグループ(宮城県仙台市、代表取締役 佐々木浩史氏)の新業態2店舗、宮城県・女川町公認「宮城県女川町 産直鮮魚とマグロの明神丸」と宮城県漁業協同組合推奨「三陸カキ小屋 THE OYSTER MANS」が8月4日同時オープンした。立地は、永代通りを挟んだ富岡八幡の向いにある新築ビルの1階と2階で、両店舗とも宮城を発信する専門店だ。
1階にある「三陸カキ小屋 THE OYSTER MANS」は、宮城県漁業協同組合推奨の店舗として宮城県全域のカキを揃える、カキに特化した専門店。宮城県東松島を代表するカキ生産者のカリスマ・高橋洋氏から直送されるカキを楽しめるほかに、東松島の種カキから成育した全国各地のカキも揃え、カキのストーリーをも味わわせてくれる。大きな鉄板に大きな蓋をして蒸し焼きされたカキを豪快にスコップで提供する、三陸スタイルが特徴だ。「宮城・仙台に拠点を置く自分たちだからこそ、宮城のカキを三陸の鉄板焼きスタイルで提供することにこだわりました。しかし、カキ専門店として年間を通じて提供するためには、宮城産のカキだけでは難しいです。そこで、種カキに着目し、消費者にあまり知られていない『全国各地で養殖されるカキの約8割が宮城の種カキによるものであること』をストーリーとして伝えることで全国のカキを揃え、年間を通して安定提供できるようにしました」と代表の佐々木氏。同店では、宮城のカキを提供するだけでなく、宮城のカキの歴史と文化を継承することをも担っているのだ。
2階の「宮城県女川町 産直鮮魚とマグロの明神丸」は、宮城県・女川町公認のアンテナショップ居酒屋。7月27日には、女川町との協定調印式も行われた。佐々木氏は石巻出身で、東日本大震災では身内を失った。震災以降は、宮城を中心に地産地消の鮮魚居酒屋業態を店舗展開する方向にシフトしたほど、地元に対する強い思いを持っている。石巻市の隣町である女川町には水産関係者の友人も多く、そこを訪れるたびに町の再生へ向けての一枚岩となり行動している人々の姿に感銘を受けたという同氏。今回、彼らとともに東京に新店舗として女川町のアンテナショップ居酒屋をつくりあげたいと女川町長の須田善明氏に提案し、実現したのだ。同店は、女川町に知らない人はいない“マグロ漁船の明神丸”を店名に冠し、新たなブランド化を目指す“女川マグロ”を余すところなく仕掛けていく。そのために、加工場と同じ-60℃の瞬間冷凍装置を導入し、「内蔵」や「血合い」などの希少部位も付加価値として提供する。三陸随一といわれる女川の定置網漁から獲れる豊富な鮮魚だけでなく、未だ埋もれている食材で女川の魅力を発信し、復興を含め、現地に足を運んでもらうことを目指すのだ。
同店が生産者とともに宮城の食材だけでなく、郷土料理や伝統的な食文化までも含めて発信し、売り出していくことができるのは、東日本大震災以降、同社が生産者と一緒にステップアップしてきたからこそである。いまでも戦後の復興期にできた大衆酒場が数多く残り、地域に根ざした店が集まる門前仲町から同店を通じて、被災地・宮城の産業復興や地域再生につながる経済効果として地元に還元されることだろう。早くも、来春3月と6月には地元仙台で商業施設へ出店も決まっているという佐々木氏に今後も注目だ。
店舗データ
店名 | ①宮城県女川町 産直鮮魚とマグロの明神丸(2階) ②三陸カキ小屋 THE OYSTER MANS(1階) |
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住所 | 東京都江東区富岡1-24-6 1・2階 |
アクセス | 東京メトロ東西線・都営大江戸線 門前仲町駅 2番出口から徒歩3分 |
電話 | ①03-5646-5250 ②03-6458-8270 |
営業時間 | ①17:00〜24:00 ②11:00~14:00、17:00〜24:00 |
定休日 | ①②無休 |
坪数客数 | ①15坪・30席 ②15坪・40席 |
客単価 | ①②3500円 |
運営会社 | 株式会社スタイルスグループ |
関連リンク | スタイルスグループ(HP) |
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