京王線・調布駅東口から徒歩3分の場所に、恵比寿でバルブームの先駆け店として誕生して20年を迎える、スペインバルの巨匠・檀上氏の「Tio Danjo(ティオダンジョウ)」が4月10日に移転オープンした。経営は、ティオダンジョウ(東京都調布、代表取締役 檀上桂太氏)。移転後もコンセプトは変わらず、若き日の檀上氏が出会ったスペイン現地のバルそのままを感動とともに伝えようと再現したスタイル。白壁とスペインタイルのコントラストが目を引く店内は、ワインの蔵をイメージした曲線が美しく映えるカウンターが印象的。店舗デザインは、恵比寿店と同じデザイナーのアールエイチプランニングの槌矢正子氏によってスペイン現地で買い付けて来た装飾品を随所に使った、スペインらしい雰囲気満点の空間だ。
檀上氏は高校卒業後、立ち上げ前のセンチュリーハイアット(現ハイアットリージェンシー)を飲食世界のスタートに選ぶ。ホテルではサービスや調理スタッフ含め、様々なポジションで10年間の経験を重ねたと振り返る。その後、恵比寿のスペインレストランを任される依頼があり、ホテルのフェアでは現地シェフを招き、本格的なスペイン料理を経験済みだが、同氏が実際に現地を訪れたことがなかったので、オープン前にマドリッドのレストランへ向かったという。その時、夜にプライベートで訪れたバルにカルチャーショックを受け、バルに魅了されていく。そこから3年後に、街の再開発情報を得て、同じ恵比寿に「Meson Tio Danjo(メソン ティオ ダンジョウ)」というレストランとバルの中間の位置付けの店を開く。10年後に、同店舗の1階部分にスタンディングのバルをオープンし、2階はテーブル席だけのレストランに改装した。
今回の移転のきっかけは、両親の介護が必要となり、3年前に地元に移り住むことを決めたため。また、自身が調布駅周辺を散策した際にも、本格志向の個人店やスペイン系の店がないことに需要を感じたことや、調布駅周辺の再開発も決定要因となったという。同時に独立から20年の節目でもあることと、スタッフ達が1階のバルと2階のレストランをそれぞれ買い取って独立したいと決意したことが重なる。
料理は、檀上氏がスペイン現地で1000件以上食べ歩いてきた中から選んだ25種類の定番に季節や本日のおすすめ5種で、恵比寿の時と変わらぬまま。なかでも「マッシュルームの鉄板焼き」は、現地で有名なバルから最初に同氏が持ち帰り、再現し、日本中のバルに広がった逸品だ。肉厚でジューシーなマッシュルームの旨味の秘密は、農家に希望をリクエストし専用につくってもらっているマッシュルームに隠されている。 ドリンクも檀上氏がスペイン全土で見てきたワイナリーからセレクトしたワインがメイン。例えば、カバだけでも8銘柄も揃えており、ワイン通なお客にも喜ばれている。ワインリストは作っておらず、セラーにある60銘柄以上のワインにひとつずつ価格を書いたシールをつけている。赤白グラス「ワイン」(500円〜)「ボトル」(3000円〜)で用意されるワインは、オープンに向けてカジュアルなラインから希少なものまで400本を仕入れたが入りきらず、倉庫と自宅セラーで保管している程の充実ぶりだ。
「数店舗のオーナーとして経営するより現場が好きで、小さな店でも最後まで料理をして終わりたいです。店を大きくすることより、地元でもある調布の街にせっかく帰ってきたので、この店からの発信が最後のテーマだと思っています。実際に深大寺のそばとスペイン料理やワインのコラボイベントや、公民館の料理教室の依頼をもらっていて、生まれたところに少しでも貢献できればと考えています」と今後を檀上氏は語る。スペインの風を日本にもってきた同氏が、郊外で活躍していく姿は、今後の新しいロールモデルとしてさらに注目されるだろう。
店舗データ
店名 | Tio Danjo(ティオ ダンジョウ) |
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住所 | 東京都調布市布田2-37-7 エランクラス1FB |
アクセス | 京王線 調布駅東口より徒歩3分 |
電話 | 042-444-5903 |
営業時間 | 17:00〜24:00(L.O.23:30) |
定休日 | 月 |
坪数客数 | 10坪・14席(内カウンター6席) |
客単価 | 4000〜5000円 |
運営会社 | 有限会社ティオダンジョウ |