四ツ谷のホテル裏の路地に11月10日オープンした「塊肉ビストロ BLOCKS」は日本固有の希少価値牛、秋田県のかづの牛と岩手県の短角牛、そして1000時間熟成させた千刻牛を塊肉で豪快に提供する肉ビストロだ。経営は、主に四ツ谷を中心に赤坂、新宿で店舗展開する今年注目されるライナ(東京都新宿区、代表取締役 小川雅弘氏)だ。
脂肪分が少ない赤身肉が美味しいと評判の短角牛は、旧南部藩の南部牛をルーツにし、明治時代外来種と掛け合わせ生まれた日本固有の和牛。子牛期間は母乳をしっかりと飲み、夏には山で冬には牛舎で豊かな自然と人の手間をかけ飼育されるために、ストレスのない健康的な牛になるという。現在は秋田県、岩手県、宮城県、そして北海道で飼育されているが、頭数は限られた希少の牛。なかでも、同店が取り扱う秋田県のかづの牛は県外には殆ど出荷しないために高い価値を持つ。そのような希少な牛肉を味わえるのみならず、同店は都内で一番安価と自負する。
同店は飲食店が建ち並ぶ四ツ谷の飲食街として知られる「しんみち通り」を抜け、四谷三丁目方向へと延びるホテル裏、飲食店の数も少ない路地に構える。レンガタイルが古い倉庫のような雰囲気を醸すファサード。駆体のままを残し、レンガタイルや古木の素材感が活きる、まさに塊肉に相応しいミートファクトリーといった印象の空間は、造作の殆どがスタッフの手によるものという。
大学卒業後IT関連の仕事に赴くも、飲食で起業したいと、この業界へ参入した代表の小川氏。当初は苦労もあったというが、四ツ谷の1号店から8年、四ツ谷を中心に、赤坂、新宿御苑エリアで10店舗をドミナント展開するまでに成長させた。そこには、同氏のコンセプトワーク後、内装工事を含めた店作りの殆どをスタッフ達が手作りする同社の独自性がある。初期投資を抑えることでの価格への還元と共に、スタッフ達の思い入れが接客などの形になって反映されるのも、“楽しさを造るのが飲食店”をモットーとする同氏の想いがしっかりと伝わっているからだ。
塊肉ビストロと、そのまま店名のキャプションにつける同店の看板MDの「BLOCKS名物1Kg盛り」(4980円)は炭火でじっくりと焼いた本日の肉、Aグループ“熟成の千刻牛、短角牛”にBグループの“八幡平ポーク、地鶏、オーストラリアのラム肉”までも全てが盛られた肉食派向き。AとBからそれぞれ1種類の肉を選び合わせて400gとなる「選べる2種類盛り」(3600円)もある。サラダにもハムやローストビーフなどが入ったボリューミーな「ブロックスのお肉サラダ」(980円)が。ヘルシーファンには「パクチー香草が入ったデトックスサラダ」(750円)がお勧め。前菜の「お肉屋さんのアイオリポテト」(480円)などから「短角牛のラグービアンコ」(1000円)などの〆までしっかりと揃える。
ドリンクのおすすめは、塊肉とベストマッチングなコストパフォーマンスなワイン。赤白合わせ20種類以上も揃えるその日のグラスワインはオール500円で、ポーションも150~160mlとたっぷりだ。ボトルワインもオール2500円とリーズナブル。ガッツリと呑んで食べて、ワイワイと楽しんで欲しいとの想いをそのままメニューにしている。
日本酒専門店、ビストロ、バル、クラフトビール店と多業態展開を行なっている同社を支えるのが、職人気質でスキルの高いスタッフ達の存在だ。今回、希少和牛、短角牛の提供を実現させたのもそんなスタッフのバックアップがあってこそだという。力強い結束でドミナント展開を続ける同社、今後の飛躍に期待である。