JR吉祥寺駅北口から東へ線路沿いを歩くこと5分。吉祥寺シアター周辺は、東急裏の繁華街と比べれば静かな場所だが、知る人ぞ知る実力店が点在している注目のエリアだ。立川の隠れ家立地で、連日女性客が埋め尽くす大人気店となった「やきとりの玉屋」と「玉屋KITCHEN」を経営する、ちゃんばら(東京都立川市、代表取締役 尾作亮太氏)の3号店「玉屋 吉祥寺店」が、吉祥寺シアター裏手に11月13日オープンした。コンセプトは「和魂洋才(わこんようさい)」。代表の尾作氏は、大学卒業後、北前そば高田屋などをFC展開するタスコシステムのFC事業を行なう会社に入社。7年間従事し、飲食店経営のノウハウを身につけて、2010年に独立起業した。
花と緑が迎え入れてくれるオープンテラスが印象的なファサード。心地よい時間の流れるカフェのような佇まいから、焼き鳥がメインの店だとは思わないだろう。奥行きのある店内には、代表の尾作氏が買い付けて来た古材を使ったテーブルや椅子などのアンティーク家具が、温かみを添えている。着目すべきは、全てがアンティーク家具ではなく、新旧を織り交ぜている点だ。古く慣れ親しんで使われていたものと新しく息吹が吹き込まれたものを、尾作氏のセンスでまとめた居心地のよいおしゃれな空間に仕上がっている。
メニューは、朝挽きの“大山鶏”と“健味鶏”を毎日串刺しする焼き鳥がメイン。寿司のように串に刺した焼き鳥の上に薬味を添えた「ささみ」や素材の旨味を引き出すために「つくね」と「きも」以外は、奄美大島の海塩をベースにしたオリジナル塩で提供するなど、美味しく楽しんでもらうための一工夫がある。そのほか、「あおさのオムレツ」(650円)、「ガリ巻き玉子」(650円)、「温野菜の和バーニャ」(800円)など、和なら和、洋なら洋といった一般的な概念にとらわれることなく、柔軟な思考で他店にない新しい商品を生み出している。また、窯元を訪れて買い付けてきた益子焼きの器や丁寧につくられた竹ざるなどが、手仕事を感じさせ、料理を引き立てている。
ドリンクは、日本酒と国産ワインを中心に取り揃えている。なかでも「勝沼のあわ(泡)」「甲州(白)」「長野メルロー(赤)」(各グラス 750円)は、バランスが良く焼き鳥に合うという。「トマトの白サングリア」(600円)、「かぼすの赤サングリア」(650円)、「林檎の泡」(700円)など、ほかにない組み合わせのドリンクもおすすめだ。
同社は、立川市内の個店の魅力を「店舗デザイン」「商品力」「接客」などの視点において、約300店舗の中から審査して表彰する「立川市輝く個店グランプリ」にて、飲食部門の2013年度グランプリを受賞。2010年の1店舗目オープン時から全席禁煙制度を導入するなど、地元密着のスタイルを大切にし、地元の人に愛される、型にとらわれない店づくりを行なってきた尾作氏。
今後は、1年後に鎌倉で上質の朝食と昼食だけを提供する4号店を計画中だという。さらには、都内出店も考えており“自分自身が知りたいと思う街”や“これから開拓される街”に多店舗展開をして行くと話す。“SUSHI”や“TEMPURA”のように、“YAKITORI”をグローバル化させるために、海外進出も視野に入れている同氏。「“社員第一主義”を掲げ、会社の成長とともに、スタッフが生き生きと働ける職場環境をつくることで、人を大事にしたいです。今後は6時間、8時間勤務制を導入し、女性社員を積極採用していく考えです」と尾作氏。きっと、同氏のひたむきな人柄に人が集まってくるのだろう。注目の若き経営者だ。
店舗データ
店名 | 玉屋 吉祥寺店 |
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住所 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-34-2 |
アクセス | JR・京王井の頭線 吉祥寺駅から徒歩5分 |
電話 | 0422-27-6165 |
営業時間 | 月~金 16:30~23:00、土 14:00~23:000、日 14:00~22:00 |
定休日 | 2月まで月曜休み、3月より年中無休 |
坪数客数 | 28坪 40席+テラス |
客単価 | 5000円 |
運営会社 | 株式会社ちゃんばら |