クラフトビール激戦区の渋谷で人気を誇るビアダイニング「THE GRIFFON(グリフォン)」が、新宿歌舞伎町1丁目、靖国通り沿いミスタードーナッツの入居するビル地下2階に2月10日オープンした。オーナーは山口照尊(てるたか)氏。味わいよりノリで飲食店を選びそうな、新宿の歌舞伎町という立地で店を展開することはとても意義のあること。客層は30~40代がメイン。渋谷店のリピーターも多いが、新規顧客も多いという。山口氏は福岡出身。大学時代はホテルのレストランでアルバイトに明け暮れていた。大学卒業後、上京。不動産会社の社員となるが1年後に退社。当時、ワールドビジネスサテライトでも取りあげられるほど勢いのあったGDに転職する。わずか三ヶ月でお台場「権八」の店長に抜擢。「店長業務は未経験。毎日が手探りだった」と、当時を振り返る。その後、飲食のコンサル会社をGD時代のメンバー達と立ち上げた。五反田のアイリッシュパブ「ザ・グラフトン」が担当の一つだったが、5~6年後、山口氏は同店店長となっていた。ドラフトは4種だったが、店長になってから徐々に12種に増やしていく。瓶ビールは50種を扱うようになっていった。
きっかけは客だったという。当時、ベルギーやイギリスのビールが飲める店は東京にもまだ少なかった。海外に行った客が「現地で飲んだビールがうまかった。日本でも飲めたらいいのに」と話すのをよく耳にし、ネットやカタログで調べて仕入先を探しながら増やしていったという。世界のビールを仕入れていったが、そのうちに「日本のあの土地で飲んだあのビールがうまかった」という話を聞くようなっていった。それは、地域で作られているクラフトビールだった。しかし、クラフトビールの多くは問屋以外流通していなかった時代。電話で注文しても断られる日々。そこで、造り手に会いに行った。すると皆、「いいよ」と言って仕入れさせてくれる。それからというもの、福岡、北海道、大阪と全国の醸造所を回る。加えて、各地のビアバーや、ビールイベントに参加していくうちに自然と造り手の顔見知りが増えていったという。2008年には独立し、「THE GRIFFON 渋谷店」を開店。クラフトビールのビアパブとして人気店に。自らの思いというより、客のニーズに応えていった結果が店づくりのコンセプトにつながっている。
クラフトビールの仕入れは日々変えているが、国内だけでなくアメリカやスコットランドなど海外醸造所の銘柄も置いている。合わせるフードメニューはフレンチ出身の正木シェフが担当。前職で店の統括や商品開発を行なっていた経験を生かし、自らも大のビール好きという正木さんは、好きなビールに合わせるメニューを日々開発している。「宮崎県産きな粉豚 焦がしアンチョビバター」(980円)には、「前略、好みなんてきいてないぜSORRYホワイトIPA」(700円)。「ビールに鰹節のアミノ酸を入れているので、アンチョビとも合います」と話す。一番人気のメニューは「バジルと松の実のピザ」。しっかりと食事をする時は、バランスの良い味わいの「ちょんまげビール ペールエール」(700円)がおすすめという。グラスサイズのクラフトビールが700円~800円と均一価格なのも嬉しい。
同店の魅力は、山口氏が厳選した他では見かけないめずらしい醸造所のビールが飲めること。ラガー系・エール系などバランスよく揃えていること。ビールについて詳しく教えてくれること。味わいだけでなく造り手の人柄まで話してくれること。しかし、それだけではない。こだわりの味わい深いビール以外に、この店を利用する目的がある。それは、出会い。一人で来店しビールの知識を広げたい人、はじめてクラフトビールを飲む人であっても、山口氏が会話をつないで楽しませてくれる。また、客同士が仲良くなれるようにさりげなく促してくれる。結果、自然とビール好き同士が情報交換をしたり、FB友達になったりしている。昨年、渋谷店では5組のカップルが生まれたそうだ。まるで「人間関係製造所」だ。山口氏のエネルギッシュな接客で店内は明るいパワーにみなぎっている。来店で元気になれることが最大の魅力のようだ。
店舗データ
店名 | BEER DINING THE GRIFFON(ザ・グリフォン)新宿店 |
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住所 | 東京都新宿区歌舞伎町1-2-1 ナインティー新宿B2F |
アクセス | 東京メトロ 新宿駅、新宿三丁目より徒歩3分 |
電話 | 03-6302-1810 |
営業時間 | 18:00~05:00(日・月は24:00まで) |
定休日 | 年中無休 |
坪数客数 | 15坪・33席(カウンター5席) |
客単価 | 3000円 |
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