400種のテキーラを提供する「AGAVE」(アガヴェ)の上階にメキシカングリル&ワインの「La Cocina GABRIELA Mexicana」(ラ・コシーナ・ガブリエラ・メヒカーナ)が 10月23日オープンした。2店とも経営はリードオフジャパン。同社は1985年中米・南米の酒類の専門商社として設立。1990年食材仕入れを事業化。1998年「AGAVE」(アガヴェ)を開店した。以来14年六本木に店を構え、先月京都に2号店を出店した。
店舗開発においてこだわっているのは、『現地の食文化を出来るだけそのまま再現する』こと。日本人の口に合わせたローカライズも大切だが、他国の文化そのものを体感することを含めて、食を楽しんでもらいたい、という気持ちの表れである。ちなみに同社は六本木に北フランス料理とワインのレストラン「ブラッセリー・ヴァトゥ」も運営しているが、この店ではパリの街角にあるブラッセリーを本場の空気感そのままに再現している。
メキシコ料理は、2010年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。あまり認知されていないが、食文化が登録されるのは初めてのことである。メキシコ料理は、数十種類に及ぶ豊富な種類の唐辛子やハーブを用いて、2000年以上の歴史の中で多彩な料理を構築し、当時と変わらない調理方法で継承されている。そのことが高く評価され、世界から注目を浴びている。
同店ではメキシコの伝統文化が色濃く残るハリスコ州の料理を基本に、日本では初となる薪で肉を直接焼く「カルネ・アサダ」(牛)などを提供する。炭にはない独特のスモークで燻す肉が風味を引き出し、薪の強い直火でじっくり焼くことにより、ステーキ本来の醍醐味をストレートに味わう事が出来る。また、肉、チレ(唐辛子)、豆類、小麦、魚介類、野菜、フルーツなど、食材はほとんどメキシコ産のものを使用し、本場と変わらぬ料理を味わえる。
店内中央に配置された「炉」で、毎日焼かれるブロックの肉は見た目にも大迫力で、担当のシェフがこまめに焼き加減を確認。本場の味を再現するために、料理長とシェフはメキシコと日本を何年も行き来し調理法を取得した。メキシコ人女性スタッフも厨房で定番のサルサなどの調理をサポートするという徹底ぶりだ。
メニューは、「薪直火焼き『カルネアサダ』牛肉300g(赤身)」(3900円)、「薪直火焼き『セルドアサド』骨付き豚肉400g」(3300円)、「薪直火焼き『カブリート』骨付き乳飲み子羊(生後1カ月)400g」(4500円)、「クレソンのサラダ パラペーニョドレッシング」(1400円)、「ウチワサボテンのマリネ グアダラハラ風」(1200円)、「アサリのワイン蒸し サルサ・ベルデ(グリーントマト&青唐辛子風味)」(1200円)など。また、世界的に著名なメキシコ出身の画家夫婦ティエゴ・リベラとフリーダ・カーロが好んで食べていたレシピを、そのまま再現したメニューを月替わりで提供する。
ドリンクは自社で輸入しているメキシコワインの最高峰、ラセットが主軸となっている。メキシコに移民したイタリア人達が自国の伝統を受け継ぎながら造るワインは、250ものメダルを受賞。加えて中南米産中心のワインを提供する。ビールはライトな飲み口のメキシコナンバーワンビール「テカテ」などを取り揃える。
現在世界に流通しているメキシコ料理の多くは、アメリカでカスタマイズされた「テックス・メックス」と呼ばれている料理が主流。私たちが口にしているのは、本来のメキシコ料理ではないものが多いのだ。まずは日本にその素晴らしさを広げ、さらに今後の展望として、アジア圏に本物のメキシコ料理の奥深さを伝えて行きたいという。