五反田は新橋、神田に次ぐ“サラリーマンの街”だ。新橋や品川に比べ、まだ家賃が安いこともあり、大手居酒屋チェーンや関西勢がこぞって出店を狙っている。西口エリアや目黒川を渡り、大崎広小路駅までの飲食店密集エリアも新店オープンが激しい。昨年建てられ東急不動産が管理する横丁「五反田桜小路」の正面2区画に「沖縄屋台バル すいてん」が5月22日にオープンした。
経営は「リアライズ」(沖縄県那覇市)。同社は飲食店経営を主事業とし、沖縄県に3店舗、都内に2店舗を展開する。店長の川口氏は22才の時に東京で同社に入社し、1年後、沖縄に渡り居酒屋2店舗の店長を2年半続けた。その後恵比寿に「首里天(すいてん)」がオープン。同店は、7年間営業していたが今年3月に閉店し五反田に移転となった。川口氏は、移転の理由を「沖縄料理はもともとリーズナブルなものだが、東京にある沖縄料理屋はどこも高い。自分たちも恵比寿で運営しているときは賃料が高く、料理の価格を抑えることが難しかった。もっと安くておいしい沖縄料理を提供したいと考えていた」と話す。恵比寿店は、55坪、席数95席と賃料負担が大きかったため、今回の店舗については、20坪、40席を目安に当初は恵比寿、目黒周辺で新物件を探していたが、どれも賃料が高く決めかねていた。そんな時にこの物件に出会ったという。
五反田エリアはコストパフォーマンスのよい飲食店舗が主流になっていることから、ダイニングからバルに業態を変更。気軽に沖縄料理を食べてもらうため、コンセプトを沖縄料理×屋台×ワインに決めた。席数を増やすために鉄板料理を取り入れて厨房とドリンクの面積は2坪を切るようにした。そして、通路にも席を配置。それが結果的に沖縄の公設市場のような雰囲気をかもし出し、本場感を感じさせるつくりとなった。
屋台コンセプトではあるが食材にはこだわり、都内の沖縄料理店ではめずらしいブランド豚「かりゆし熟成豚」をはじめ、沖縄から取り寄せた厳選素材を使用。タパス感覚で気軽に楽しめる沖縄創作鉄板焼き料理を中心に、ワインによくあうチーズ料理や「ラフテーの赤ワイン煮込み」、「砂肝のバジルソース」などオリジナルバルメニューを開発した。本場の食材を使いながらもリーズナブルな価格設定に沖縄在住の客には「沖縄より安いよ!」と言われたという。メニューはタパス類「野菜のマリネ」(180円)、「自慢のレバーペースト」(400円)。沖縄特産の島タパス「海ぶどう」(450円)、「自家製ジーマミー豆腐」(280円)。鉄板焼き小皿料理「ミミガーのガーリックソース」(180円)、「ソーキのトマトソース」(380円)。ごはんメニューは「沖縄そばを使った沖縄ナポリタン」(480円)。アルゼンチン生まれ、沖縄育ちのご当地グルメである。にんにくたっぷりのチキンロースト「ブエノチキン」(780円)。「沖縄県民が食べる牛ステーキ」(880円)など、盛りだくさんの内容だ。
ドリンクは「オリオン生ビール」(450円)、泡盛を女性でも飲みやすいように工夫をしたメニュー展開「すいてんハイボール(シークワーサーみぞれ)」(480円)、「宮古島ハイボール(パッションフルーツ)」(450円)、「さんぴん茶泡盛ハイ」(320円)など、沖縄色豊かなオリジナルカクテルの数々が注目だ。ワインは、グラスが350円という破格の値段から始まり、ボトルはワンプライスで各1500円に統一。「スペイン産のドンロメロティント(赤・白)」、「チリ産のヴェルデカーズ(赤・白)」、ワインソーダ「ロッシソーダ(赤・白・ロゼ)」(400円)などがラインナップ。
平日はサラリーマンが多く来店するが、土日は近所に住んでいる客が夕暮れ時に外の席でオリオンビールを飲んでいくこともあるという。沖縄でよくみられる光景だ。
川口さんの夢は老後を沖縄で過ごす事。それは今現在でも実現可能だ。しかし今のフェーズでは、東京に本場感のある沖縄料理を伝えて行きたいという使命感を持っている。
店舗データ
店名 | 沖縄屋台バル すいてん |
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住所 | 東京都品川区西五反田1-12-1 |
アクセス | JR五反田駅より徒歩3分、東急池上線五反田駅より徒歩2分 |
電話 | 03-6417-0650 |
営業時間 | 月~金11:00~14:30、17:00~翌1:00(金は〜翌2:00) 土・日15:00~24:00(日は~23:00) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 13坪・50席(外席含む) |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | 株式会社リアライズ |