駅前の大通りを都電荒川線の路面電車が通り抜ける大塚。駅前周辺に昭和の面影を残す商店街もあり、庶民的な風景を作り出している。大塚は古典をはじめ、名高い日本酒専門店が多く、日本酒ファンにはちょっと知られた街でもある。そんな大塚の駅前商店街から4~5分歩いた住宅地との境となる場所に「ワイン厨房 tamaya」はオープンした。 ワインバルブームの先駆けとしても注目された1号店「ワイン厨房 tamaya」は、下町の風情が多く残る湯島にオープン。上質なワインをカジュアルに楽しめるとあって、その名は瞬く間に広がり、地元民のみならずわざわざ他エリアから通う客も多い。その後、2号店「beer&wine 厨房 tamaya」を同じく下町ロケーションの八丁堀に登場させ、そして1号店から2年半で3号店となる「ワイン厨房 tamaya」を大塚にオープンした。今、順調に店を展開させているのは、オーナーの高田和則氏(TAMAYA 代表取締役社長)だ。1号店をはじめ、出店地を下町にこだわる高田氏は、生まれも育ちも、そして現在も下町に住まいを構える生粋の下町っ子。実家は荒川区町屋で中華料理店を営んでいたという。そして1号店を起業する以前は、浅草の有名酒販店に10年在籍していたことから、高田氏のホームグランドは常に下町、浅草にあるという。 「かつては花街も有り、古くは料亭などもあった大塚の街の雰囲気がどこか浅草と似ている」と高田氏は語る。そんなことから、躊躇なく3号店をこの地に選んだという。さらに高田氏は大塚が日本酒の名店が集まる街でありながら、自身の店のようなハイカジュアルなワインバルはない、という面にも着目した。高田氏は、嗜好上から上質な日本酒好きはワイン好きになるとの持論を持っている。そんなことからも、まだまだ大塚ではワイン自体を始め、ワイン専門店に馴染みが薄い雰囲気があるが、潜在ニーズは高いのではないか、と確信している。地域に代々根付き、地域関係を大事にする下町では、生活基軸や生活の志向を大きく変化させることは少ないという。しかし、反面、一度関わるとその信頼関係を大事にするという。高田氏自身も、そんな下町気質を受け継ぐように、当初から中央エリアや山手エリアでの出店は考えずに、下町に根付く店づくりを目指したのだ。 「ワイン厨房 tamaya」では、なによりもきちんとした会話を心がけることで信頼関係づくりを重視している。なぜなら、ワインを美味しく飲んでもらうには、店への信頼感が大事だからだそうだ。どんなテイスト、タイプのワインを勧めるにも選ぶにも、まずはいいコミュニケーション作りから始まるのだ。同店にラインアップされるワインは約300本。クオリティにこだわりながらも、カジュアルに楽しめるワインが揃い、初心者にもワインファンにとっても楽しめるリストが揃っている。ボトルスパークリングは1800円~で28種類。上は3万円台も。ハーフサイズも3種類。赤白のボトルも1800円~で、ボリュームは2000円台、3000円台。グラスワインは日替わりで400円~用意しているが、気軽にボトルを楽しめるのが嬉しいところだ。4、5000円から上は3万円台のグランヴァンもラインナップし、専門店としてのこだわりを見せる。 料理は、とりあえずのオリーブ(480円)から、女子が好きな16品目野菜のデットクスサラダ(1080円/ハーフ680円)。冷たい前菜には、定番のフランス産鴨肉の田舎風パテ(880円)など。温かい前菜はトリッパのグラタン(900円)のようなボリューミーな1品も。メインは仔鴨胸肉のロースト赤ワインソース(1780円)がおすすめ。生ハムとチーズ、〆のパスタまで、幅広いメニューが揃っている。店はノーチャージであり、サービス料もないので、気負いなく1杯のワインから“軽飲みからガッツリ食べ飲み”まで楽しめる。 古くから変わらない飲食シーンの多い下町に、新鮮でかつ価値のある飲食シーンの楽しさを広げていきたいと、今後も下町エリアでの出店を考えている高田氏。3年後、5年後も鮮度を失わずにいいサービスを提供続け、その地に根付く店でありたいという、氏の信念は堅い。
店舗データ
店名 | ワイン厨房 tamaya 大塚店 |
---|---|
住所 | 東京都豊島区南大塚3-39-7 パインセンターハイツ1F |
アクセス | JR大塚駅南口から5~6分 |
電話 | 03-5928-1616 |
営業時間 | 17:00~翌3:00 |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 30坪/50席 |
客単価 | 4500円 |
運営会社 | 株式会社TAMAYA |
関連リンク | ブログ |