昨年末まで、アイディー(東京都中央区、代表取締役:梅田恭敬氏)の運営する「ギョバー 茅場町店」で2年間修行を積んだ吉田正也氏が、2月18日神楽坂に“食いしん坊のためのワインバル”「Viande(ヴィヤンド)」をオープンした。Viandeとは、フランス語で肉のこと。オーナーの吉田氏が、食べていて幸せになれる大好物の「肉」を、そのまま店名にしたそうだ。同店のコンセプトは「みんなHappy!」。それぞれに好きなものを好きなように味わってHappy!になってもらえるよう、「ジャンルを問わず、美味しい料理と美味しいワインを安心して楽しめる価格設定にし、気分も舌もお財布もすべてがHappy!」を目指すという。 神楽坂の名店「五十番」の角を入った本多横丁は、フレンチ・スペイン・和食ともに人気店が並ぶ通りであるが、吉田氏もそれらの店に引けを取らず、これまで多様な経験を積んで独立に至っている。調理師学校を卒業後、フレンチ業態、スペインバルの繁盛店を経て渡仏。パリ5区、注目のネオ・ビストロ「Restarant Itinéraires(レストラン・イティネレール)」で1年修行をした。料理や食材についてはもちろんだが、週末は地方へ出かけるなど、生活を通して食の愉しみや豊かさなどをシェフから教わったという。帰国後はアイディーに入社し、「ギョバー 茅場町店」に勤務。梅田氏の下で独立のノウハウも学び、念願であった自分の店「Viande」を誕生させた。 料理は素材感を打ち出すため、極力、食材の持ち味を引き出すことに徹底し、複雑さを排除した真っ直ぐな料理が吉田氏らしさだ。具体的には「北海道産!村上さんのポテトフライ」(400円)や「北海道産!えぞ鹿モモ肉のタタキ」(900円)、「国宝の生ベーコン」(500円)や山形の「米の娘ぶた」を使った「自家製 粗挽きソーセージ」(900円)などがその例として挙げられる。そのほか、「ワイン片手にバゲットと一緒に食べてもらいたい」と薦めてくれたのが「南仏名物!オリーブとアンチョビのペースト」(500円)、「濃!釧路のマスカルポーネとアカシア蜂蜜」(500円)、「自家製!豚肉のリエット」(500円)、「イベリコ豚とピスタチオのパテ・ド・カンパーニュ」(700円)だ。加えて、「僕も意外でしたが、締めに食べてくださる方が多いんです」と教えてくれた「オニオングラタンスープ」(500円)も自信作だ。「2人でたっぷり食べて飲んでも、1万円を切るようにしたい」との考えで、リーズナブルな価格設定を意識している。 ワインは赤・白・泡ともにグラスで500~750円。ボトルは2800円からあり、3000円台を厚めに取り揃え、高いものでは1万円を越えるものもある。しかし、いずれもコストパフォーマンスの高さを感じられるような自然派ワインを中心に、セレクトしたという。 店は、吉田氏の同級生で、レストランやホテルなどでサービスを経験してきた兵庫直樹氏と2人で切り盛りする。お喋り好きの吉田氏と会話が楽しめ、細かな点まで行き届いた兵庫氏のサービスにもてなされるカウンター席は、同店を最も楽しめる場所かもしれない。しかし、2軒目利用や軽めに飲みたい時などは、入口付近の立ち飲みスペースをお薦めしたい。「お客様との距離が近く、活気に溢れる賑やかな店にしたい」と話す吉田氏は、「いつかはパリにお店を出したい」という将来も描きつつ、今、目の前で求められているHappy!に奮闘している。「パリで見て印象に残ったビストロを真似て造りました」という鮮やかなパープルの店構えは、通りのなかでも一際目立っている。3月28日からはランチも始め、近隣に務めるビジネスマンをターゲットとして、野菜や魚介を使ったカレーをメインに提供する。神楽坂にまたひとつ、グルメに嬉しいワインバルが誕生した。
店舗データ
店名 | Viande(ヴィヤンド) |
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住所 | 東京都新宿区津久戸町1-14 サンハイツ飯田橋101 |
アクセス | JR飯田橋駅より徒歩6分 |
電話 | 03-6280-7352 |
営業時間 | 11:30~13:15(L.O.)、17:00~24:00 |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌火曜) |
坪数客数 | 10坪・18席+スタンディング |
客単価 | 夜4000円 |