今やワインファンにとって魅力的な店舗が集積するエリアとなった“裏銀座”。その一角、新富町に昨年2月オープンした、シェアハピネス(東京都中央区、代表取締役:白根智彦氏)が運営する「ぶーみんVinum」。1周年を迎えて間もないこの時期に、神田の「ばんざい手豆や WINE BAR」から移転という形で、今度は新川に「ぶーみんVinum 新川バル」が3月1日にオープンした。新富町の店舗から数百メートルという場所に店を構える同店も、やはり“裏銀座”エリアだ。近くには大手企業のビルが立ち並び、昼時や仕事終わりの時間帯にはビジネスマンが多く行き交うが、そうした需要に即した飲食店が案外少ないという。一方で、近隣のマンションに暮らす住民の利用も見込め、食経験が豊富で店を使いこなせる“ちゃんとした”大人達をターゲットに、好アクセスとは言い難い場所で、「この立地に敢えて人が集まる店」を目指し、出店を決意したそうだ。 料理でもワインでも、「店が想いを持って極めたものを、楽しく気楽に味わってもらいたい」との考えから、料理は1000円以下となるよう価格設定を心がけた。50種を越える豊富なメニューで極楽の実現に努めている。新富町の「ぶーみんVinum」同様、やはり豚肉を使った料理が自慢。料理の監修をする飯田氏が「ぜひ、食べてもらいたい」と薦めてくれたのは、あたたかいパテ・ド・カンパーニュと表現する、トリュフ入りの「自家製 焼売」(4個・680円)と、オーブンで焼き上げた「ロシア風ロールキャベツ」(880円)、どちらも個性的な豚料理だ。また、居抜きで借り上げたらオーブンが2台もついていた事から、「シカゴ風ピザ」(S:980円、M:1380円)や、「ラタトゥイユのグラタン」(680円)、「バジル風味 たことエリンギ・ブロッコリーのアヒージョ」(680円)といったオーブン料理も、今回新たに力を入れた主力メニュー。さらに、移転前の「ばんざい手豆や WINE BAR」で出していた「静岡黒おでん」も、スペシャリテとして継続するという。“ソムリエ・メイド”と謳われるこのおでんは、“ワインで煮込んだワインのためのおでん”と言えるほど、ワインとの相性が抜群だ。驚くほど大きい「黒ドデカ大根」(400円)や、静岡おでんならではの「黒はんぺん」(200円)は必ずオーダーしたいが、「牛すじ」(300円)、「厚揚げ」(150円)、「玉子」(150円)、「白たき」(150円)といった定番ものも捨てがたい。すべて1品単位で注文できるので、ぜひともワインのお供に試してほしい。ランチはパスタに特化し、時間の限られたビジネスマン向けに、男勝りで豪快なパスタを5~6種、900円前後で用意するようだが、価格以上のクオリティーが感じられる、味に妥協のないもので100食を目指すという。 変わってワインについて白根氏は「今回は、あまり飾る場所がなくて」と言うが、それでも300種ほどは厳選したものを用意し、ストックするそうだ。グラス・ボトルではもちろんのこと、デカンタでも楽しめるようにと、ワインリストにデカンタ価格が表記されている。また、ビールは「注ぎ方にこだわって、丁寧に提供します。4分ほど時間がかかりますが、その分じっくり味わってほしい」そうで、「ハートランド」「ブラウマイスター」「一番搾り」の生ビールを、泡がこんもりと高い山を作るくらいに、ゆっくりと注ぐ。その他、世界のビールは瓶で「ストックできる限り」ラインナップするという。大人の心をくすぐる、細かなこだわりが要所に散りばめられている。 店内は中央にスタンディングスペースがあり、それを囲うように、テーブル席・カウンター席が配された20坪弱の広さ。「ふらっと立ち寄れる気軽さと、ちゃんと食事ができるという両面をポジティブにフュージョンしました」と表現する白根氏。「辺鄙な場所でも時間をかけてコツコツと認知度を上げ、東京の“トライベッカ”を創りたいんです」と続けた。今後も「5年で10店舗ほど展開します」と宣言する。次は年内秋頃の出店を見込み、来年の4月には「京橋3-1プロジェクト」で計画されている大規模複合ビルへの出店も決まっている。「裏銀座のワイン村を目指し、ドミナント的に出店していきたい」と語る白根氏は業界にも大きな影響を与え、今年、裏銀座は一層の賑わいを見せそうだ。
店舗データ
店名 | ぶーみんVinum 新川バル |
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住所 | 東京都中央区新川2-21-9 |
アクセス | JR八丁堀駅より徒歩7分 |
電話 | 03-3206-5977 |
営業時間 | 11:30~14:00(L.O.13:45)、17:30~23:00(L.O.22:00) |
定休日 | 日曜日 |
坪数客数 | 19.7坪・39席 |
客単価 | 昼950円、夜4000円 |
運営会社 | 株式会社シェアハピネス |