駅前をはじめ、駅周辺には学生をターゲットにした大衆酒場や、割安の飲食店が数多くある高田馬場。早稲田大学のある“学生の街”として知られているが、周辺にはオフィス、さらに行けば閑静な住宅地と、意外や日常の生活が営まれる街でもある。その場所に、地元に密着した“地域コミュニティ”としての立ち位置を目指すマイクロバル「vivo daily stand 高田馬場」が2010年7月24日にオープンした。 「vivo daily stand」は中野を本店として、代々木店そして高田馬場店と3店舗を展開する。経営はVIVO PRODUCTION TOKYO(ビーボプロダクショントーキョー)。代表の鈴木 健太郎氏は学生時代、スペインで出会ったバルに魅せられたという。飲食業態である以上に、おしゃべりを楽しみに目的もなく立ち寄れる場として、町の人に愛される“バル”。「日本でいつか、毎日でも行きたくなる店を作ろう、地域のコミュニティとなるような店、バルを作ろう」と決意し、会社勤めを経て、2007年5月17日、中野に1号店「vivo daily stand」をオープンさせた。 中野店は、小皿で提供するデリに、リーズナブルなワインがおすすめの“バル”らしい店で、オープン以来、賑わいを見せている。お茶で和む人、トイレだけを借りる人、日に何度も出入りする人など、店を自分なりに使いこなす人もいるという。鈴木氏は「バルを生活の一部として、自由にいろいろな使い方をして欲しい。中野のコミュニティとして活性化させたい」と語り、さらに「地域のコミュニティとなるバルを広げて行きたい」と続ける。 一方、高田馬場店はというと、17:00から22:00までのディナータイムは、本格ビストロ料理が楽しめる。何故なら、同店の責任者である花本氏は、フランスで1年間の修行の後、ホテル、ヴァンピックル、オーバカナルと話題の店でブラッシュアップしてきた料理人なのだ。狭いキッチンから次々と出される本場仕込みの料理は、時間をかけてきっちりと仕込みされたものである。既製品を使わず、食材の持ち味を引き出し、スパイスを使いこなすプロの味に魅せられるファンは多い。花本氏は「100年前からあり、100年後も残る、スタンダードな料理であることにこだわる」と語り、「自ら素直に美味しいと思える料理を提供したい」と考えている。 料理は「田舎風お肉のパテ」(500円)、「エスカルゴのブルゴーニュ風」(600円)、「鶏レバーとフォアグラのムース」(600円)といった前菜から、「自家製ソーセージ」(1100円)、「うさぎもも肉の煮込みマスタード風味」(1300円)などのメインディッシュまで、ベーシックで季節感を意識した15種類前後のメニューが揃う。コース仕立てで食べる人、前菜を幾皿かでワインを飲む人など様々で、構えたフレンチではなく、ラフで普段着のフレンチが味わえる。オーナーの鈴木氏は「花本の料理を生かせることは、従来のバルだけに留まらない幅と特徴を持たせることにもなり、地域の日常生活に密着しやすい」と語る。 その後22:00から明け方28:00までは、バータイムを担当する椋浦 千紘氏にバトンタッチ。22:00になると、一旦オーダーストップとなり、ディナータイムからバータイムへ様変わりするのがユニークである。そんな“チェンジ”を楽しむお客さんもいるという。 バータイムには、ワインをメインに、ヒューガルデンなどの海外ビール6種類と、シェリーに加え、カクテル、ウイスキーも増え、“飲み場”としての色合いを強める。また、料理は中野店から配達されるデリが出番となる。 バータイムにはスタンディングも可能となり、店は思い思いのスタイルで楽しむ客で賑わい、時には壁際で立つほど、人が集まるという。 8席のマイクロバル「vivo daily stand 高田馬場」は、箱としての限られた規模に収まらない多様な側面を持ち、飲食店の枠を越え、鈴木氏が考える“地域の溜まり場”=コミュニティとして機能している店といえる。
店舗データ
店名 | vivo daily stand(ヴィーボ デイリー スタンド)高田馬場 |
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住所 | 東京都豊島区高田3-10-18 |
アクセス | JR、地下鉄 高田馬場駅より徒歩3分 |
電話 | 03-6380-3501 |
営業時間 | ディナータイム 17:00~22:00,バータイム 22:00~28:00 |
定休日 | 月・祝 |
坪数客数 | 4.5坪・8席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | VIVO PRODUCTION TOKYO株式会社 |
関連リンク | vivo daily stand |