長引く不況の影響により節約志向を強める中、消費者は外食に対してシビアになっている。こうした苦境を打開すべく、全品270円の均一居酒屋やセルフ居酒屋などが注目され、居酒屋業界が熾烈な競争を繰り広げている。しかしながら消費者のニーズは、「安くてお腹がいっぱいになればよい」という単純なものではない。この点にいち早く着目し、本物にこだわった料理と酒を提供するのが、12月8日に東京・赤坂にオープンした「元祖神戸バイキング本舗」だ。同店は、居酒屋の達人である山本浩喜氏(日本居酒屋協会理事長)と、神戸で饂飩料理専門店「八間蔵」の運営を行う、うどんのプロである山根貞人氏(有限会社 JC dining 代表取締役)をプロデューサーに迎え、飲食オーナー倶楽部(東京都港区、代表取締役・高樹公一氏)とウィルウェイキャリアバンク(東京都台東区、代表取締役・金村秀一氏)が運営を行なう。
食べ放題、飲み放題のバイキングスタイルで、料金は90分2000円、120分2500円。料理もドリンクもすべてセルフサービスとなっている。この業態が確立した背景には、かつて、立地条件等の問題から店舗撤退となった場所において、業態や収益性などを顧慮した結果、飲み・食べ放題で料理のクオリティを維持しながら人件費コストを抑えることで素材の原価を上げることが可能となった成功事例が基になっているという。
不景気の余波により外食を避けて“家飲み”する人が増えている昨今、“家飲み”と変わらない価格感覚で、美味しい料理を提供すれば必ず需要はあると見込み、しかも、お腹を満たすばかりでなく、家庭内で食する惣菜(中食)以上のレベルとなる、無添加にこだわった手の込んだ料理をラインナップし、高血圧や痛風の人にも安心して食べることのできるメニューを揃える。
また、何度でも足を運んでもらえるよう、あえてグランドメニューは設定せず、お客様の声を反映しながらのメニュー展開を行なっていくという。
バイキングといえば、こってりとした揚げ物をメインとしたフードが多くなりがちだが、同店のフードコーナーにはバラエティに富んだ“大人”が納得のメニューが並ぶ。新鮮な「刺身」から居酒屋には欠かせない「もつ煮込み」のほか、熱々の「おでん」や「カレー」、「サラダ」に「だし巻卵」など、常に作りたてが並び、料理ができ上がるとスタッフがアナウンスしてお客に知らせる方式だ。
ドリンクは生ビール、サワー、日本酒、銘柄焼酎、ワインなど20種以上。全てセルフ式で、オリジナルの味や好みの濃度のカクテルを楽しむこともできる。また、ランチタイムにはランチのみでしか味わうことのできない“うどん”を提供。昼はモチモチとした食感がたまらない「ぶっかけうどん」に、好きなだけトッピングが楽しめ、その他のメニューも食べ放題で850円。うどん業態はランチタイムの収益は上々であるが、ディナータイムにおいては厳しいといった状況があり、その問題を払拭すべく新たな切り口で、昼はうどんをメインとした食べ放題で、夜は居酒屋というスタイルを山本氏と山根氏が発案し、バイキングスタイルの本質を見直した二毛作的な営業を行なうもの。
今後の展開について高樹氏は、「バイキング居酒屋は、会社帰りのサラリーマンやOLをターゲットとする場合と、ファミリー層をメイン顧客とするなど、都心や郊外などの立地により内容の配慮が必要な業態。しかしながら基本は、安かろう多かろうのバイキングではなく、2000円で美味しいものを飲んで食べることができるサービスを提供することが第一。“元祖神戸バイキング本舗”をしっかりとブランド化し、将来的にはFC展開も視野に入れる」と話す。
客層は学生からサラリーマンまでを想定し、目標月商は600万円。手の込んだ美味しい料理が食べ放題、飲み放題で90分間2000円というお値打ち価格で、財布の紐の固い消費者を取り込んでいけるのか、同店の先手を打った戦略から目が離せない。
店舗データ
店名 | 元祖神戸バイキング本舗 |
---|---|
住所 | 東京都港区赤坂4-2-2 赤坂風月堂ビル1F |
アクセス | 地下鉄 赤坂見附駅より徒歩2分 |
電話 | 03-3585-0088 |
営業時間 | ランチ11:00~14:00、ディナー 17:00~24:00 |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 21坪・50席 |
客単価 | ランチ850円、ディナー2000円 |
運営会社 | 有限会社ウィルウェイ |
関連リンク | 元祖神戸バイキング本舗(ぐるなび) |