地元では名を馳せた名店ながらも、東京ではまだまだ無名の存在。そうした隠れた地方の繁盛店は多数存在する。各県の繁盛店が東京に進出するケースがここ数年、目立って活発化してきており、地方と東京を結ぶ“繁盛”の架け橋として大いに注目を集めている。なぜなら、地方には地方の、東京には東京の、それぞれの地域でしか通用しない独特の繁盛法があり、それらが交わることによって飲食業界のさらなる底上げも強く期待されることになる。よく錯覚されがちなことだが、決して東京の人気店の動向だけで外食業界がまわっている訳ではない。それと同様に、東京の人気店の実力は他県の飲食店が考えている以上にとてもダイナミックで、かつ先鋭的に時代を先取りしている。つまり、互いに伸びしろが十二分に残されており、お互いが刺激を受け合うことで飲食業界はよりいっそう大きく成長する可能性を秘めている。そうした起爆剤となるやもしれない地方の繁盛店が5月21日、東京に初進出した。それが「ぶあいそ 高田馬場」だ。 同店は地元福岡では誰もが知る繁盛居酒屋であり、1972年の創業以来、地元の人々に広く親しまれながら着実に足場を固め、今回、満を持して東京進出を果たしたのである。「ぶあいそ」というちょっと変わった店名は、漢字では“無愛想”ではなく“無愛憎”と書き、これは「愛も憎しみもなく風のように生きていけたらな」という想いを込めて名づけられたもの。福岡の「ぶあいそ」はアマージュ(福岡県福岡市、代表取締役社長・溝上永二氏)が経営。「ぶあいそ」以外の業態も含めて20店舗ほどを展開する。そして今回、東京に進出した「ぶあいそ」はアマージュの子会社のびるしゃな(北海道札幌市、代表取締役社長・溝上永二氏)が運営を行なう。 メニューは醤油(980円)、塩(1100円)、味噌(1280円)と3種揃えた「もつ鍋」や、「一口餃子」(8個 380円)、「やみつき手羽先」(1本 160円)、「まきまき串カツ」(1本 150円)、「酢もつ」(300円)などが特に人気が高い。その他、熊本直送馬刺しの「盛り合わせ」(1380円)、「赤身」(900円)、「ふたえご」(850円)や、「牛肉のたたき にんにくのたれ」(550円)、「博多屋台の卵焼き」(420円)、「地鶏のたたき 博多甘ポン酢」(500円)、「トンペイ焼き」(550円)など80種ほどのバラエティーあるメニューで構成する。こうしたアラカルトメニューを提供する一方で同店が力を注ぐのが、これらをベースにしたフード50品+ドリンク50品の食べ飲み放題。これは制限時間2時間4名からの予約制で、3500円プラン(現在、オープニング企画としてクーポン利用で2980円)と4000円プラン(同じく現在3480円)の2種を揃える。アラカルトとの注文比率は食べ飲み放題の方が6割と多く、客単価の確保の面からもこちらを主軸に据えていきたい意向だ。 また「ぶあいそ 高田馬場」の大きな特徴が、その強烈なまでのインパクトある外観。大通りに面したビル2階にある立地を生かし、大きく「ぶ」の文字を掲げてアイキャッチ効果を高め、通行人の関心を強く引き寄せて店の存在をアピールしている。客層は学生や30~40代女性が多く、実に女性客が6~7割をも占める。目標月商は1000万円で、同店の繁盛を足がかりに東京での2店舗目、3店舗目も計画中だ。長年に渡って福岡で築いた繁盛法がはたして東京で通用するのか? あるいは東京の飲食店にいったいどのような刺激を与えるのか、今、同店の動きから目が離せない。
店舗データ
店名 | ぶあいそ 高田馬場 |
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住所 | 東京都新宿区高田馬場1-25-32 |
アクセス | 地下鉄高田馬場駅より徒歩1分、JR高田馬場駅より徒歩3分 |
電話 | 03-5155-7799 |
営業時間 | 17:00~翌1:00(L.O.24:00) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 40坪・80席 |
客単価 | 2700円 |
運営会社 | 株式会社びるしゃな |
関連リンク | ぶあいそ(ぐるなび) |