“ホルモン戦争”の様相を呈している外食業界に、斬新でユニークなホルモンメニューが登場した。その名も“海鮮ホルモン”。
壷カルビ・壷ホルモン・壷ハラミの壷シリーズで人気の「ホルモン焼肉 縁」を展開する縁商事は、現在、計12店舗(うちFCが5店舗)を展開している。最近では新ブランド「海鮮ホルモン 再会」を立ち上げたところで、09年9月28日に巣鴨店、同10月20日には阿佐ヶ谷店の2店舗をオープンさせた。
「海鮮ホルモン 再会」の看板メニューになっているのが、店名にもなっている「海鮮ホルモン」780円だ。和牛A5ランクの濃厚な旨味のホルモンに、えびやホタテなどの海鮮素材を詰め込んだ同店のオリジナルメニュー。
「商品開発に半年以上を費やしました」と話すのは、同社・取締役の李京妟(イ キョンミン)氏。現在33歳、韓国人の若手経営者だ。「ホルモンの脂特有の甘味と海鮮の旨味――この二つを一度に贅沢に味わえるように考えました。他では味わえないホルモン焼きで、当店の自信作です。仕込みに手間をかけることで商品価値を高めました」と李氏は説明する。
和牛ホルモンの中でも脂ののったマルチョウ部位を使用し、軽くボイルしてすぐに氷水に入れて身を引き締める。そしてホルモン1つに食材をひとつずつ丁寧に詰め込んでいく。「焼いた時に中身がホルモンから飛び出さないように詰め方を研究しました」と李氏。
中に詰め込む素材はホタテ・エビ・イカ・カニという4種の海鮮食材に万能ネギの計5種。辛みそダレでからめて一皿に5種のホルモンを盛り込む。提供時にはホルモンの中身がはっきり見えないのだが、焼いていくうちに外側のホルモンが縮小していき、エビやカニなどの中身が見えてくるのも一興だ。仕込みに手間がかかるので一日20皿の限定販売。「これから“海鮮ホルモン”をもっと浸透させていきたい」と李氏は意気込む。
他にも同店では、牛ゲンコツをベースにした「特製ホルモン鍋」(1人前1260円)や「レバ刺し」609円、「ミノガツ」294円、豚ののどの部位を使った「のどがしら」294円、豚の耳のスライス「コラーゲン焼」294円などもラインナップ。ホルモン焼24種(280円~480円)、焼肉8種、刺身6種、一品料理12種、食事メニュー16種などを揃える。平均客単価は約3000円。
内装は昭和レトロな雰囲気で、店内の壁にはトタンや昭和時代のポスターを配し、昔懐かしい造作を施している。ファサードには赤提灯を吊るし、さらに「ホルモン280円」の大きな看板を掲げ、“気軽に立ち寄れる大衆店”を強くアピール。
韓国・済州島出身の李氏は2000年に来日し、すし店などで働いた後、2003年から店舗展開をスタートした。「来日当初は日本語がぜんぜんわからなかった」(李氏)こともあり、物件取得などでは不利な場面も多かった。
しかし「私は外国人経営者。国籍より会社を見てもらおう」(李氏)と奮闘してきた。その結果、今では不動産会社の方から話が持ち込まれるようになり、「ホルモン焼肉 縁 池袋店」では7坪×3階の規模で、月商1000万円を弾き出している。
李氏は毎朝、自ら大宮の市場などを訪れ、自分の目で肉質を確かめて厳選し、全店舗分をまとめて仕入れる。東京・十条にはすでにセントラルキッチンを設置しており、そこで肉の切り分け作業などを行なっている。「店舗展開のための準備が整ってきた」と李氏。
今後も「ホルモン焼肉 縁」や「海鮮ホルモン 再会」の出店を重ね、2010年には都内を中心に20店舗体制まで拡大していく予定だ。将来的には韓国や中国へも出店したい考えだ。
店舗データ
店名 | 海鮮ホルモン 再会(SAIKAI)巣鴨店 |
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住所 | 東京都豊島区巣鴨2-1-3 1F |
電話 | 03-5394-4288 |
営業時間 | 17:00~翌4:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 20坪・56席 |
客単価 | 約3000円 |
運営会社 | 縁商事株式会社 |
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