“神楽坂+81Restaurant”や“味噌汁BAR 1CHIDO°”など、話題の飲食商業施設の企画プロデュースのほか数々の繁盛店の設計デザインを手がけるスタジオナガレ(東京都渋谷区、代表取締役 横井貴広氏)は、飲食店専門の居抜き物件検索サイトを運営するぶけなび(東京都新宿区、代表取締役社長・勝山泰樹氏)とタッグを組み、今年、渋谷、恵比寿にオープンさせた“アウトレットワイン”が売りのヨーロピアンバル「ワヰン酒場」のライセンス展開を開始。渋谷・赤坂で”博多華善“などを運営する、マウントウィナーズ(東京都新宿区、代表取締役社長・勝山泰樹氏)はライセンス販売の第1号店となる「神楽坂ワヰン酒場」を11月5日、神楽坂通りにオープンした。 「ワヰン酒場」は、今年7月、渋谷にオープンしたフランスを中心にイタリア、チリなどの“アウトレットワイン”と小皿料理を楽しめるヨーロピアンバル。品質には全く問題ないもののボトルのラベルにシミ等があることで店頭販売出来なくなった“訳あり品”のワインを独自のルートで仕入れ、市場価格と同等の価格でボトルワインを提供する。グラスにおいては、三つ星レストラン等でも扱う高級ワインがワンコイン以下から飲めるとあって、早くもファンが急増。10月13日、恵比寿にオープンした2号店目は予想を超えるロケットスタートで、店舗面積7坪(立ち飲み25人収容・1日平均100人)、客単価2000円で日額売上15〜20万円。今後、深夜営業を開始することも含め、月額売上800〜1千万円を見込む。 同店のパートナーとして名乗りをあげたのは、ぶけなびの勝山社長だ。 「今、飲食店には、“安いのは当然。さらにいいもの”であることが強く求められています。そのど真ん中である“アウトレット”をコンセプトに持ってきた横井さんのセンスに共感し、居抜き物件を提供する我が社にとって、ビジネス展開を図る上でもとても魅力な案件だと感じたので共同展開を提案しました。また、ライセンス化を成功させるにはまず自分でやってみることが先決と考え、丁度神楽坂でいい物件がでたのでオープンさせることにしたのです」と、勝山社長。 ライセンス展開を見込み、“できるだけ保存し易く、且つ提供し易い”というコンセプトに基づいて横井氏自らが開発した“煮物”“漬物”等、既存店のメニュー構成はそのまま導入。加えて、居抜き物件を用いた店舗拡大により、店によっては調理場の制限がかかることも見越し、神楽坂店では、より扱い易い“詰物”(缶詰めやハンバーガー)等も取り入れ、ライセンス化により最適な業態、オペレーションシステムの構築を図る。 現時点での目標店舗数は、都内に15、関西15、九州15、東北5の計50店舗。既に、11月末には人形町出店が決まっており、今後加入店を募りながら、来年4月までに一気に15店舗の拡大を目標とする。 「“居抜き”というのがこの業態の強みです。儲かっていないバーや居酒屋など経営難に喘いでいる店が“アウトレットワイン”というコアなコンテンツを落とし込むだけで再生できる」とは、横井社長。“いいものを安く楽しみたい”という生活者視点であるのはもちろん、廃棄同然だった商品の利用価値が得られたメーカーにとっても、個性の打ち出しに迷い厳しい経営状況に落ち入っている経営者にとってもメリットのあるwin-winの業態である。不況下において、またひとつ、逆境を逆手にとった賢明な経営努力による新業態が産声を挙げた。
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[フードビジネス]
2009.11.11