株式会社久世(東京都豊島区東池袋・久世健吉氏)が、生鮮野菜および農産品の調達・品揃え・販売を目的に設立した子会社久世フレッシュ・ワン(東京都豊島区東池袋、菱岡俊晴氏)の配送センターが9月末に竣工し、その稼動が本格的に始まった。 もともと久世は、調味料や低温・冷凍品を外食・中小市場向けに供給してきた。しかし、時代の変化とともに、近年は生鮮品を加えた新たなフルラインの要請やワンストップショップなどのニーズが高まってきた。それに加え、世間では“専門業態”“本物志向”“鮮度”などの外食ブームが巻き起こり、一般消費者の嗜好が大きく変化。このような時代背景の中、久世としても将来を見据えた新事業の構築が急務となり、今回、生鮮品を専門とする子会社設立に踏み切った。新配送センターは東雲に構え、冷蔵設備を備えた徹底品質管理のもと、まずは生鮮野菜及び農産物の取り扱いを開始。物流システムの確率及び販路拡大とともに、鮮魚、精肉へと品揃えを拡大していく計画だ。 新規事業のひとつのゴールとして目指すのが、現在、マーケットに溢れる“お悩み野菜”の取り扱いだ。“お悩み野菜”とは、一般よりも形が悪かったり、皮が傷づいているなど、なんらかの欠陥を持ち、販売まで辿り着かない規格外品である。「大卸や仲卸が大量に抱えているこのような商品は、一般消費者向けの場合、なかなか販売が難しい。しかし、我々が既に持っているお客様(個店〜中小飲食店)は、“訳あり”でも鮮度のいい品をできるだけ安く買いたいと望んでるんです。そこを着地点にしたい」(久世フードサービスソリューション部部長 佐藤純平氏) 久世が生鮮品に参入することで顧客側は仕入れ作業一元化による効率化が図れるとともに、なかでも個店〜中小企業にとっての最大のメリットは「生鮮品仕入れ値のコストダウン」である。これまで、卸による食材の値付けは、仕入れ規模が大きい大手企業にはできる限り安く、個店〜中小には高めに設定されていた。つまり小規模店ほど“卸のいいなり”状態。この“卸”と“飲食店”の間に東京23区内を中心に個店マーケットを既に切り開き、約9000店舗の外食ユーザーを取りまとめる久世が参入することで市場や産地からの仕入れ価格の交渉が可能となる。卸にとっても外食産業の約8割を占めながら開拓が難しいといわれる個店〜中小飲食店への販路拡大が図れ、共存共栄が成り立つ仕組みだ。 久世フレッシュ・ワンの注文受付は24時間。定時配送2便体制(深夜1時、翌朝5時)で、23時迄に発注すれば翌朝には商品が届くためランチに力を入れる飲食店にとって活用し易い仕組みだ。 事業目標としては、来年度中に取引店舗を2000店舗に増大。年商は初年度3億円を目指す。まず生鮮野菜や農産物で物流システムをしっかり構築し、ゆくゆくは精肉、鮮魚含めた生鮮3品によるフルラインサービスの提供で、更なるビジネスの拡大を図る。
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[フードビジネス]
2009.11.04