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【記者会見レポート】新型コロナウイルス感染症の影響を受けた飲食店を救済すべく、「外食産業の声」委員会が発足、「家賃支払いモラトリアム法」を提案

4 月21 日、「外食産業の声」委員会は、「家賃支払いモラトリアム法」策定を訴える記者会見を開催した。同委員会は、タリーズコーヒージャパン創業者・元参議院議員でEGGS 'N THINGS JAPAN代表取締役の松田公太氏、DDホールディングス取締役 CCO・ゼットンファウンダーの稲本健一氏を中心に外食産業の有志で、広告代理店ベクトルグループのイニシャルのバックアップのもと結成。新型コロナウイルス感染症の影響により打撃を受ける飲食店が生き残るため、国に対し、家賃の支払い猶予の法律の策定を求めた。


■「家賃支払いモラトリアム法」策定の提案

会見では、まずは松田氏が飲食店の現状を説明。現在、国や行政が打ち出している支援策では飲食店が生き残るには不十分だとし、売上が立たない現状で各種支払いが迫る中、なによりも早急な支援策が必要だと強調。そこで、固定費の中でも大きな割合を占める家賃の減免や、家賃支払いの猶予(モラトリアム)を盛り込んだ「家賃支払いモラトリアム法」の策定を訴えた。具体的な提案内容は以下。

・不動産オーナーにテナントとの話合いに応じることを義務化
・日本全体が厳しい今、“痛みの分かち合い精神”で減免交渉に応じることを義務化
・不動産オーナーの都合で減免や支払い猶予が難しい場合は、政府系金融機関が代わって家賃を振り込む制度の策定。まずは金融機関が家賃を肩代わりし、テナントは期間を置いてその返済を行うというもの。なお、その制度を申請する際は不動産オーナーとテナントとの合同で行うこと。金融機関はオーナーとテナントの両方から決算書見て公平なジャッジを行い、テナント側が不利にならないよう配慮する

「飲食店の中には、今月や来月の支払いが厳しいところも多く、すでに倒産してしまったところもある。時間が迫っている。早急な対応が必要だ」と松田氏は強調した。

■飲食店経営者の声

会場では個人店代表として六本木「鮨西むら」オーナーの西村文輝氏、企業代表として串カツ田中ホールディングス代表取締役社長の貫 啓二氏も登壇しコメントした。

・ 「鮨西むら」西村文輝氏
この状況が続けば、当店も5月まで持つかどうか、周りもそういった状況。早急に何とかしてほしいと、今回参加をした。

・ 串カツ田中ホールディングス貫 啓二氏
「串カツ田中」のFC企業は多くが中小企業ということもあり、来月の家賃を払えるかどうかの瀬戸際に追い込まれている。外食産業は仕入れ業者や生産者のもとに成り立っている。それらの連鎖倒産の恐怖も感じている。

また、会場でZoomにて北海道から沖縄まで全国の飲食店経営者と中継し、それぞれが画面上からコメントをした。

・楠本修二郎氏 カフェカンパニー株式会社
このまま日本の食文化を毀損してはいけない。日本の食文化は国の宝だ。当社も売上が立たないので家賃の減免を訴えている。松田さんの「家賃支払いモラトリアム法」には全面賛成。先日、西村康稔経済再生担当大臣と話したが、政府も迅速に対応してもらっている。とはいえ、現場の実情と政府の人達では認識に乖離がある部分もある。今回を機に声をあげて、さらに国にこの実情が伝わることを期待している。アメリカでは中小企業救済支援ローン(PPP)というシステムが稼働している。1社ごとの融資で給料を払ったら返済不要。このような早急に資金が調達できる仕組みが必要だ。

・中村貞裕氏 株式会社トランジットジェネラルオフィス
当社は都内の商業施設に多く出店。現在は商業施設自体が休業している。家賃について、商業施設の休業前は交渉すらできない状態だった。非常事態宣言を受けて施設自体が休業になったら、大手では日割りで減額するなど交渉に応じてくれるところも出てきた。しかし、その減額期間がいつまでも続くわけではない。今は闇の中にいるような感覚。雇用を守るため歯を食いしばっているのが現状だ。

・秋元巳智雄氏 株式会社ワンダーテーブル
すでに2月頃から都内ではインバウンドが2割ほど減少し始めた。当社の都内のレストランは売上が3~5割落ち込んだ。3月20日にはロイヤルホールディングスの菊地唯夫会長とともに総理官邸で意見交換した。政府も支援策を打ち出しているが、目の前の問題として賃料が払えない、社員の給料は払えないということがある。4月8日の緊急事態宣言の日には、有志40社の代表と支払を差し止めできないか、賃料支援をしてほしいと東京都にも話をしたところだ。

・松村厚久氏 株式会社DDホールディングス
当社も苦しいですね。

・石田 聡氏 株式会社サイタブリア
運営する4店舗すべて営業を自粛している。当社はケータリング事業で使う大きなキッチンがある。「Sincere(シンシア)」石井真介シェフを中心に料理人の声から、医療関係者の厳しい状況を飲食の力で何かしたいと立ち上がり、医療機関にお弁当を届けた。4月13日に最初の病院に100食のお弁当を届け、計3回にわたって行った。医療関係者に話を伺うと、「ろくに食事する時間がない」「外に出れない」「時間通りにも食べられない」ということだった。なので、冷めても美味しい、かつ衛生に気を付けたお弁当を意識した。製造中も人が集まると感染の危険が高まるので、スタッフの人数も絞って製造した。届けた医療機関からは有難い声をもらってやってよかったと思った。この動きは全国に広がってほしい。

・新田治郎氏 株式会社ジェイグループホールディングス
東京以外、地方の様子も紹介したい。当社が展開する名古屋の現状について、名古屋は5店舗から10店舗規模の事業主が多い。愛知県からの支援策は、一社一律50万円。しかし、10店舗の人にはこの金額では足りず、店舗数に応じた支援策を希望する。名古屋は規律正しい人が多いのでみんな自粛をしている。外食はせず、休業している店がほとんど。松田さんが提案する家賃の支援があれば有難い。

・八島且典氏 株式会社ハチベイクルー
私からは博多の現状を。福岡市長は家賃8割負担を発表し、かなり助かった。でも、博多の若いオーナー達は自粛をやめたり、お弁当を売り始めたり。もちろん応援したいが、一方で怖いという気持ちもある。もしもそこで新型コロナウイルスの感染や食中毒が出たら、街の人々のマインドが一気に冷え込む。心から応援できないこの現状が悲しい。例えば、不景気や災害なら「元気出せ」と言えるが、今の敵は、姿の見えないウイルス。街場は何が何だかわからない状況が続いている。

・吉武広樹氏 株式会社ソラファクトリー
当店は20席を10名のスタッフでまわしている規模なので、何とか売上を確保しようとテイクアウトを始めた。しかし、通常の2割の売上にしかならない。その中でどう固定費をやりくりするのか頭を悩ませている。

・大坪友樹氏 株式会社ラフダイニング
当社が展開する北海道では、2月28日、全国先駆けて緊急事態宣言が出された。倒産件数も10で全国トップ。さらに追い打ちで、先日の全国の緊急事態宣言。自粛に異論はない。北海道は観光地として全国的に飲食の売上が高いエリア。今後も倒産するところはたくさん出てくるだろう。札幌の歓楽街のすすきのでは、半分くらいの店がなくなるのではないかという予測もある。短期間で街の明かりが戻ることはないだろう。潰れてからは遅いので、「家賃支払いモラトリアム法」に賛成する。私達は、居酒屋、飲食業として北海道で最高のおもてなしをできることを仲間とともに取り組んでいきたい。

・田野治樹氏 株式会社みたのクリエイト
当社からは沖縄の現状を。5月8日が当社のデットライン。ここが超えられないと倒産します。沖縄に来る観光客は人口の10倍、それが今は皆無。休業している店も家賃は発生するし、給料も補償しているのでキツイ。当社が生き残りたいということではなく、このままでは沖縄の雇用が守れないので家賃を保証してほしいと思っている。

■「家賃支払いモラトリアム法」の早急な実現を訴える

最後に松田氏はこう話した。「皆さんの声を聞いて改めて切実な状況を感じた。当社も9割以上売上が下がっている。なんとか雇用を守りたい。国の支援は、実際の数字を見ると足りないように感じる。人件費の9割が保障されると言われているが、実情とかけ離れている。経済的な困窮により、自殺者も増えるだろう。少なくとも、家賃は保証してほしい。今はとにかく時間がない。『家賃支払いモラトリアム法』であればすぐに実現できるはず。早急に実現してほしい」。

稲本氏は、「サイタブリア石田社長が話したような飲食店による医療従事者の支援活動のような動きもある。また、これから気温が上がる中テイクアウトの方法にも気を付けたい。飲食店だけでなく生産者のサポートも必要だ。いつか、この状況が収束し晴れた時に立ち上がるために、立ち上がる方法を皆で発信したいと思った。でも一番は『5月がデットライン』という田野社長の言葉。支払いが一気に来たときに耐えられるか。倒産した会社、店はもう二度と作れない。なんとか守りたい。そんな思いで私はこの会を代表しています」と締めくくった。

(取材=大関 まなみ)

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