①「安・旨・粋の酒場系居酒屋(ベタおしゃれ居酒屋)」単価3000円ゾーンでMD高品質、高平均点の ふだん使いできる居酒屋・バール。従来の赤い看板、赤提灯、縄のれんのイメージではなく、ベタなんだけどちょっとオシャレで粋な店が人気になる。これは 2006~2008年前半までブームが続いた「立飲み」「スペインバル」「魚屋系居酒屋」の進化系だ。女性ニーズも高い。横丁やビル一棟借りの集積性と訴 求力に注目。・「ビストロ魚金」ほか、魚金新業態・「手前みそ」(サザビーリーグ)・「串かつ でんがな」(フォーシーズ)・「根室食堂」「焼きもん屋 炉端かば」「薩摩八郎」など一棟借り業態・もつやき い志井グループ・「東京ドラム缶酒場 カルビ道場」など ②「郷土料理の第2ステージ」「郷土料理ブーム」はなんでもありから、選別・細分化されるだろう。県の アンテナショップ的なものは飽きられ、素材の専門性を打ち出したMD、出店テーマやコンセプトのストーリー化が求められるだろう。さらに大衆性のあるご当 地B級グルメも意外なマーケット拡大を見せる可能性がある。「富士宮焼きそば→厚木シロコロホルモン」など。・「塚田農場」「じとっこ」(APカンパニー)・「土佐ジロー」「竜馬が如く」(DD)・「秋田漁場酒場」・「みんなの居酒屋/ヒノマル食堂」・「88屋」・「八兵衛」(博多から12月12日上陸)など ③「素材調理特化型の専門業態」調理法にこだわった専門業態。2008年は「蒸し料理」がトレ ンドとなったが、素材を訴求するだけでなく。ダシやタレや調味料にも徹底的にこだわる。魚なら魚、豚なら豚など、専門を極める店がこれから強い。また、 「新しい料理の提供法」も大きな要素だ。「鍋料理」も細分化し、強い軸トレンドとなるだろう。・「(畑)ハレノヒ」→“ムシケン”・「鍋ぶん海ぶん」→多種鍋、年中鍋・「おかじゅう」→焼き鍋・「べコヒラ」→牛タン塩茹で・「鴨丸 祐天寺分校」→鴨料理など ④「ニューエスニック料理」韓国料理やタイ、ベトナム料理店の人気が一巡、これからは新しいエ スニックやアジア料理が来る兆しがある。新興国の経済成長が後押ししている点も見逃せない。インド料理、トルコ料理、マレーシア料理などに注目。日本の外 食企業のアジア進出が進めば、現地の人気レストランの日本出店の動きも出てくるだろう。・「HATII」(インド料理)・「ガネーシャガル」(ネオ・インド料理)・「JOM MAKAN」(モダン・マレーシア料理)・「DENIS」(トルコ料理)など ⑤「日本酒系居酒屋」の復権と「角(ウィスキー)」ブーム食材の本物志向の影響で、旬のある生 きた酒として、「日本酒」の人気が戻ってきた。日本酒党ばかりでなく、30代、40代の「日本酒ブーム」(1980年代)を知らない世代や女性にも志向が 広がっている。ベタおしゃれ業態や郷土料理、鍋などの専門業態の増加に伴って、それに合う日本酒を提案する店も増えた。新しいポーション検討や提供スタイ ルがポイント。一方、サントリーが仕掛ける「角(ウィスキー)」ブーム。角ハイボール専用サーバーも登場。12月3日には青山に女性ターゲットの「Splitz’ Aoyama(スプリッツ青山)」オープン。ハイボールは酎ハイ、サワー対抗軸になるか?個人的には「生ホッピー」に期待。・「野崎酒店」・「方舟」・「庫裏」・「井のなか」・「あて」・「Splitz’ Aoyama」
コラム
2008.12.11
2009年「飲食トレンド」を予測する!(後編②)
今週は、2009年の飲食トレンド予測の後編。その②(業態トレンド予測)を掲載する。先週のマーケットトレンド予測を踏まえ、2009年は具体的にどんな業態がトレンドとして注目されてくるか、それを5つのキーワードとともに見ていきたい。
佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。