飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

コラム

“安旨粋”の「ワイン居酒屋」がブームに!

スペインバル、イタリアンバール、ビストロバルとバル系"業態の広がから"がぶ飲みワイン"が新しいスタイルになっているが、いま"ワイン×居酒屋"系ともいうべき「ワイン居酒屋」がブームになりつつある。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


独特の居酒屋文化をつくってきた楽コーポレーションが渋谷で長く親しまれてきた「くいもんや楽」を2月25日、「東京ワイン倶楽部」にリニューアルオープンした。客が定価のついた好みのボトルを選び、プラス1,000円で飲める。空間はかつての居酒屋の雰囲気を残しながら、ところどころに洋風のデコレーションを施している。まさに“ワイン居酒屋”そのものである。神田のサラリーマンやOLの新名所となっている「CUL DE SAC(キュル・ド・サック)」。コンセプトはガッツリ食べてガブガブ飲む“ワイン食堂”だ。料理は1,000円以下でもシェアを考えたポーション、ボトルは2,000~3,000円台が中心。ボトルを1本といわず2本3本と気軽に楽しく飲んで欲しいとのスタンスであり、テーブルに用意される箸が一層に身近さを感じさせる。“アウトレットワイン”を打ち出した「ワヰン酒場」。渋谷に1店舗目を出店してから、つい最近オープンした「人形町ワヰン酒場」ですでに4店舗となる。ライセンス、FC展開も進み、年内に30店舗と急拡大の模様だ。このように、いまデイリーワインを居酒屋感覚で楽しむ「ワイン居酒屋」業態が大きな広がりを見せ始めている。ちょっと一杯ならぬ“ちょっと一本”のワイン業態が繁殖しはじめているのだ。グラス500円~、ボトル2,000~3,000円台がボリュームゾーン。料理は500円台~トップ価格1,500~1,600円台未満。客単価も2,500円から高くても3,500円を想定、価格も居酒屋ポジションといえる。そして、最近の傾向は、「東京ワイン倶楽部」のように居酒屋を居抜きでワイン業態に変えてしまうというもの。2009年6月にオープンした「RaySam神楽坂」は神楽坂や五反田などで和業態の居酒屋を展開するグループが手がけるワイン業態。居酒屋の居抜きの環境で、やはり和洋折衷の惣菜で若いカップルからおじさんグループまで盛り上がりを見せる。「Wine&Tapas IZAKAYA シブヤ209」も和の豚業態からの変更。シブヤ109の裏手にあり、グラスワインは390円からボトルも2,900円~、和洋惣菜をタパス風に仕立てた小皿料理で、20~30代の客を捉え、渋谷のマーケットニーズに応えている。さらにもう一つの特徴は、居酒屋同様、オーナーの個性を感じさせるコンセプトの多様化だ。「下町バルながおか」は上野で気軽にワインを飲めると話題である。気取りのない雰囲気でまさに“ワイガヤ系”居酒屋ポジション。「KINOKUNI京橋」は“KINOKUNIブランド”で大門店をはじめ都内4店舗を構える。壁一面にワインボトルが並ぶ。高級ワインもあるが2,500円台からのリーズナブルワインも多く揃え気軽なワインスタイルが楽しめるのは、ワインインポーターである木ノ国酒造が経営しているからだ。三軒茶屋の横丁にある「ほしぐみ」は“ワイン”の文字が浮かぶ赤ちょうちんにが目印。もつ煮込みとワインをコンセプトに、ワインの新しい楽しみを広げる。都内にビストロやイタリアンカフェ、ケータリングを展開すシンプライズは新橋に「パスタバールTASPA」をオープンさせた。パスタと小皿料理、ワインを提供するカジュアルスタイルで立ち寄り、最寄りの居酒屋ポジションとなっている。小皿料理はやはり和洋混合の惣菜料理で気取りがない。東銀座にオープンしたばかりの「LE CURRY DE PALL」&「Pont du Gard Express」は立ち飲みスタイル。昼はカレー、夜は立ち飲みワインと2毛作業態。がぶ飲みタイプのワイン居酒屋「Pot De Gard」とパリスタイルのビストロ「Cave de Lyon」の姉妹店で、両店とも予約の取れない店として人気が高い。小ぶりのグラスにまるで日本酒のようにこぼれるほど注がれるグラスワインは500円から。スパイシーなもつ煮込みがワインに合う。ボトルは2,500円台からと日常使い。渋谷マークシティ脇、「根室食堂」隣の新しいビルの2階に2月1日オープンした「hiro」は立ち飲み。ソムリエである店長が厳選したボトルはなんとジャスト2,000円からでハイクオリティ。人気店必須である。次世代産地ワインの登場や、デフレに伴い“バリューパフォーマンス”の高いワインが流通にも増加しているいま、気難しいワイン神話からの解放がワイン業態の居酒屋化を促すといえる。酒をコンテンツとする業態の話題が乏しかったなかで、今後の広がりに注目したい。 

コラム一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.