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コラム

“新・池袋戦争”勃発!

外食不況の下、池袋に二つの飲食商業空間が新たに誕生した。一つは、西口メトロポリタン口前にオープンした東京メトロの「エソラ池袋」6~9階の飲食ゾーン。もう一つは、東口の三越跡にオープンしたヤマダ電機「LABI日本総本店」の7階レストランフロア。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


ただでさえ、池袋は飲食店“供給過剰”といわれている。駅には西武百貨店、パルコ、東武百貨店、東武メトロポリタンプラザの各レストランフロア、東武レストラン街SPICE、さらに東京メトロが今年3月29日、Echika(エチカ)池袋をオープンさせ、ゼットンがハワイアンレストランを出店するなど、話題をまいた。それらが客の争奪戦を繰り広げる“池袋戦争”に、新たに二つの飲食街が参戦したわけだ。いったい、どんな会社がどんな業態を出したのだろうか?まず、立地から言うと、東武の牙城に匕首を突きつけるように建ったのが「Esola(エソラ)池袋」である。オープンは11月27日。地下鉄有楽町線の改札口と直結。また、同日にオープンした「エチカ池袋」の新ゾーン“エスパス・アール”と地下通路で結ばれた。5階までがファッション、雑貨、コスメ等、F1女性層をターゲットとした物販、6~9階がレストランゾーンである。6階は、“お一人様”でも入りやすいお店を集めたカジュアルでオープンなフロア。アキナイが三菱地所の丸の内国際ビル「クニギワ」で当てたスパインバル「ラ・ボデガ」を出した。フロアの真ん中には、やはり三菱地所の新丸ビル「デリツィオーゾ フィレンツェ」(恵比寿が地元だが)のポジティブ&ブレインの「ボナイタリア」が入った。ユニークなのは、女性ターゲットの「純正コラーゲンスープ店」。こちらは8/9階に「KICHIRI」を出したきちりの新業態である。直球派らしいきちりがコラーゲンブームに乗って俄かに作った業態だろう。びっくりしたのは、エーディエモーションの「フミーズグリル」である。いまやルミネなどの女性ターゲット商業施設出店の常連になった同社が、中村文裕さんの1号店ブランドで出てきたのだ。そのほか、香港ダイニングで展開を加速させている「香家」(有限会社香家)も出店。7階は仙台から人気の牛たん専門店「牛たん炭焼 利久」が東京初出店。リン・クルーが“リトル韓国”をコンセプトとしとた「韓韓食堂」を出した。8階は「接待、会食、デートなど『ここぞ!』という場面で、予約をしたくなるようなレストラン」(東京メトロのリリース文)だという。ミュープランニング&オペレーターズがモダンタイレストランの「ジムトンプソンズ」、ビー・ワイ・オーが、米を主役としたコース料理を楽しめるカジュアル割烹「あやの」、きちりが新業態「KICHIRI relax&dine」を出店。「あやの」と「KICHIRI」は9階との2層空間。「Esola」(いい空)」の最もいい場所を押さえたわけだが、オープン後覗いてみたら、客足はまばらだった。やはり節約消費、自腹消費時代に接待、会食ニーズは減っているようだ。“お一人様”ターゲットの6階は賑わっていた。一方、東口の三越跡に10月30日堂々オープンしたヤマダ電機の「LABI日本総本店」。東口には2棟目である。東口エリアは家電ビルが増え“アキバ化”しているが、三越の跡にヤマダが入ったことはまさにエポックメイキング的な出来事と言っていいだろう。さて、その「LABI日本総本店」7階にはレストランが9店舗入る「ikebukuro dining」がオープンした。屋上にフットサル専用コートの「adidas FUTSAL PARK」を設けたのもユニーク。秋葉原の「ヨドバシ」ビルには、やはりレストランフロアと屋上にゴルフ練習場がある。ヤマダがそれをベンチマークしたかどうかは定かではないが、“単なる家電ビルではない”という自己主張が感じられることは確かだ。「ikebukuro dining」の9店舗を見てみよう。まず、一番目立つスペースに、「KollaBo Korean Restaurant & Cafe」が入った。7つの韓国料理店を集めた“コラボ”施設。本場の人気店「仁寺洞カフェ」や炭火焼肉「高麗屋」の名前も。メトロポリタンに「島ぬ風」「はーべすと」「香港蒸籠」を出店しているクリエイト・レストランツがオーダー形式の食べ放題寿司「雛鮨(ひなすし)」としゃぶしゃぶとすき焼きの食べ放題「しゃぶ菜」の2店を出した。ほかに、ヨドバシ秋葉原8階にもある「日本海庄や」、「にんにくや」のエンテックが展開するカジュアルイタリアン「神戸パスタ」東京1号店、池袋東口駅前の明治通り沿いあった「串家物語」(フライヤーで自分で揚げるスタイル)、さらに高崎LABI1にもある「百味物語」「上海華龍」。これらは群馬食材を使った“地産東消”である。不思議なテナントミックスだが、池袋らしいラインナップと言えるかもしれない。 

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